帰ろう。
帰ろう。帰ろう。
歩いて、歩いて、帰ろう。
懐かしい家、古き日の故郷、憧れたあの日へ帰ろう。
朝日を越え、夕暮れを迎え、夜に立ち向かって帰ろう。
帰ろう。帰ろう。
走って、走って、帰ろう。
親しき友、顔を見る事もできなかった子供を見に帰ろう。
銃火を越え、増援を迎え、塹壕で立ち向かって帰ろう。
帰ろう。帰ろう。
戦って、戦って、帰ろう。
でも、でも、何処へ帰ろう?
懐かしい家は、古き日の故郷は、憧れたあの日は。
親しき友は、顔を見る事もできなかった子供は。
一体、何処に残っているというのだろう。
帰ろう。帰ろう。何処へ帰ろう?
全て燃え朽ちた後の残骸の町へ、帰ろう。
既に残滓すらない、友と子の元へ帰ろう。
泣きながら、それでも帰ろう。