甘党です
メリークリスマス♪
※本編終了、光る海あたりの小噺です。
今日は久々に、如月とカフェで、お茶をしている。
ただ単に、勤務中の空き時間なのだけど、如月とふたりだけだから、デート気分だ。
如月はコーヒー。私は紅茶とチーズケーキ。
運ばれてきた紅茶を口にしながら、つい疑問に思う。
「ねえ、如月さん」
私は、如月の手にしたカップをみる。
「ん?」
「如月さん、ブラックコーヒーですよね?」
「ああ」
如月は、「それが?」という顔をする。
「如月さん、普段はお砂糖とミルク、入れてますよね?」
前から気になっていた。
如月は、職場でも家でも必ず砂糖とミルクを入れる派で、外で飲むときだけ、ブラックなのである。
「ああ、そうか」
如月は苦笑する。
「なんかさ。俺が甘党だってわかると、相手に驚かれることが多くて。面倒になったから、外ではブラックで飲むことにしている」
なるほど。
確かに、如月が甘党であった事実には、私も最初は驚いた。
「背伸び、しているのかもしれないな」
コーヒーの湯気を顎に当てて、如月はそっと肩をすくめた。
「背伸び、ですか?」
「特にマイの前では、大人で、カッコイイ男に見えるようにしたい」
ニコリと如月は笑う。
ブラックコーヒー飲める飲めないで、カッコよさが変わるものでもない。でも、如月でも、そんなことにこだわるんだなあと思うと、なんだか可愛いなと思った。
「最初から、超甘党だって、まるわかりでしたよ?」
クスリと私は笑う。
「甘党でも、辛党でも、如月さんはカッコいいです」
言いながら。私は、ケーキの皿を如月の前にすすめた。
「ひとくちどうですか?」
如月は微笑した。
「あーん、とかは、してくれないの?」
ちょ、ちょっとなんですか? その、クールな外見とは無縁のリクエストは!
私はカーっと顔が熱くなるのを感じる。
「……そっちの甘いのは、ちょっと私的に、私が無理です」
「マイは、照れ屋だな」
如月は、全方向に甘党なのだと、私は知ったのだった。
2019/1/15 書籍化されます。 ありがとうございます。
※来年にも、短いお話を更新予定です♪




