<記念日企画>恋人の日 SS
PV3百万、ありがとうございます。
1)マイ&悟
「マイ、ちょっとこっち向いて」
振り向くと悟が、携帯を私に向けていた。
「何?」
満足そうに微笑んで、ひょいひょいと携帯をいじっていたかと思うと、自慢げに私にみせる。
……待ち受け画面に私がいる。
「今日は、恋人の日らしいから」
「……私たち、結婚していますよね? 恋人じゃなくて、夫婦ですよね?」
そもそも、職場も同じなのだ。写真を持って歩く必要は皆無だと思う。
「夫婦だと、写真を持って歩いたらダメなのか?」
「ダメではないですけど……」
シュンとした悟の顔に、胸がキュンとしてしまう。
……結局、私も悟の写真を待ち受けにすることになった。
2)沢渡くん
『ねえ、沢渡君、写真交換しようよ?』
写真添付付きで、共演した女性タレントからのメール。まいったなあ、とオレは思う。
彼女の事務所、煩いンだよね。
しかも、写真交換って、今日が『恋人の日』ってわかってやっているっぽい。
六月十二日は、どこかの国で恋人同士が写真交換するお祭りの日だって、誰かに聞いたことがある。
ヤダヤダ。ひょっとして、釣り? バラエティ番組である『ハニートラップ』系?
共演者に手を出す男って、言われちゃってつるし上げられる番組、あったよなあ。
『いや、さすがに、そういうの、マズイっしょ』
ことわりのメールを入れかけて。添付された彼女の写真に目を向ける。
……背後にいた。映るはずのない影だ。しかもタチが悪そうだ。
オレは、ため息をつく。
「あ、もしもし」
オレは、彼女の事務所に防魔調査室の連絡先を教えたのだった。
※恋人の日 ブラジルのお祭り。 恋人同士がフォトフレームを贈りあうイベント。
(写真だけを贈るわけではありませぬ。すみません)




