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第七話

「…どうする?」

俺は今悩んでいた。

「休みの連絡はしたから問題ない。むしろ問題は今日の残りの時間をどうやって潰すかだ」

正直今の状態じゃ、寝れないし、ゲームや漫画はやる気出ないし。

「かといって、外を出歩くのはなあ〜」

誰かとエンカウントしたら面倒だ。


〜♪〜〜♪〜〜♪〜


「電話?この時間帯に誰からだ?」

俺の携帯に電話が掛かってきたので、相手を確認すると…

「は?東?」

電話の相手は現在学校に向かっている筈の東からだ。

「何考えてんだ?あいつ」

メールを送信して直ぐに電話してくるなら分かるが、何で今?

「取り敢えず、でるか。…もしもし、東」

『………』

「?おい、東!!」

『…おー、でてくれたか…』

「東?」

何か様子が変だな。

『あんま時間ないから、状況だけ説明するぞ』

「状況?おい東。お前何の話を…」

『九条さんと染宮さんが三年に連れて行かれた』





「とうちゃ〜く」

私が連れてこられたのは、意外にも学園の敷地内だった。

と言ってもここはちょっとした事情で使われなくなった旧武道館。だから滅多な事がないかぎり人は来ない。

「おっとそういや忘れてた、彩音ちゃんに‘これ’を着けてもらわねえと」

そう言って、集団のリーダーらしきゲス男(名前を知らない、知ってても呼ばない)が手錠を取り出した。しかもそれは…

「[対異能者用特殊手錠]。嫌な物を所持してるわね」

対異能者用特殊手錠。名の通り私達異能者を捕らえる為の手錠。

あの手錠の中には気を押さえる特殊な鉱石が埋め込まれている。

その為、アレを着けられたら異能が発動出来なくなる。

異能者とは言え、一般の学生が手に入れられる代物じゃないはず…。

「平和的にいく為じゃねえか」

ゲスが醜い顔に笑みを浮かべる。気持ち悪い。

「最低ね。やっぱりあの時風紀委員に連絡して‘拘留’してもらえば良かったわ」

この学園に退学は存在しない。

学園には異能者しかいない。つまり問題をおこした生徒も異能者。そんな生徒を退学にして学園の外に出す事は、危険人物を解き放つのと殆ど同じ事。

だから問題をおこした生徒は風紀委員又は教師によって拘束され、問題のレベルによって学園にある拘留所に拘留される。

「そうだな〜。あの時彩音ちゃんが連絡しなかったおかげで、今こうしていられるんだからなあ〜」

ゲスが一歩近付いて来る。私は逆に一歩下がる。

「おいおい彩音ちゃ〜ん。離れられたら手錠がかけられないだろおぉ〜」

ゲスの笑みが深くなる。

「まあ。彩音ちゃんがどうしても拒否するなら、アッチの子に相手してもらわねえとなあ〜」

「っ!!」

そう言ってゲスが見た方には既に手錠をつけられ、未だ気絶している女子がいる。

藤堂くんと一緒にいた…染宮さん、だったわね。

「さあどうする〜?彩音ちゃ〜ん」

とことんゲスね。

彼女は何も関係ない。巻き込まれただけ。こんな形で傷付く理由は彼女にはない。

私はゲスの方に手錠がかけやすい様に両手を出した。

「く、クヒャハハハハハ!!物分かりが良いねえ〜。彩音ちゃ〜ん」

ゲスが私に手錠をかける。

「うっ!!」

瞬間、私の身体に力が入りにくくなっていく。

「ヒャッハッハッハッハ!!さあ、これからゆっくりたっぷり楽しもうぜ〜!!」

ゲスが少しずつ、私に近付いて来る。

一歩近付かれる度に、私の中にさっきまでなかった感情が大きくなっていく。

「…いや…来ないで…」

怖い。

さっきまでなかった…いや、押し込んでいた感情が手錠により力が入りにくくなり、抑えきれなくなってしまった。

怖い…助けて…。

「さあ!!楽しいショーの始まりだぜー!」

大和…いないのは分かってる。けど、怖いよ。だから…

「助けて…大和」

それはとても小さな声で、誰にも聞こえないと思ってた。

「あいよ!」

けど…。


ドゴオォ!


「グバッ!?」


ドザアアァァァ!


返事と共にゲスが私の前に現れた人物によって、蹴り飛ばされた。

「ふう、間に合った」

神裂大和。彼がそこにいた。

「やま、と…」

私の声に彼が振り返る。

「大丈夫か?九条」

‘九条’名前では呼ばれないが、彼に心配されるだけで私の中にあった怖さは消えていく。

…でも、どうしてここに…

「東から九条と染宮が連れて行かれたって聞いてな」

「藤堂くんが!?大丈夫なの!?彼!!」

彼はゲスの仲間に頭を攻撃された筈…

「知らん」

……は?

「え?ちょ、『知らん』って…」

何で!?どうゆうこと!?

「俺は東から電話でお前らが連れて行かれたと聞いただけだ。東に直接会って聞いたわけではない」

「はあ!?ちょっと大和!!そこは藤堂くんと合流して彼を病院に運ぶなりしてから来るもんでしょ!!」

「知るか!!さっきも言ったが、俺は東からお前らが連れて行かれたとしか聞いてないんだよ!!東が何処でどうなってるかとか知らねーんだよ!!つーかそれで東捜してたら今間に合ってなかっただろうが!!」

「そうだけど『あーもううるせー!!ちょっと静かにしてろ!!』モガッ!?」

喋ってたら口の中に甘い何かが…

「…チョコ?」

口に突っ込まれたのは板チョコだった。何で?

「それ食いながら大人しくしてろ。くそっ!!俺の朝の摂取糖分が!!」

「朝の摂取糖分って…!?」

既に半分ほど無くなっている板チョコ。

ま、まさか…こ、これ!か、か、か、間接…。

(?どうしたんだ九条の奴。急に顔が赤くなって黙りこんだぞ。…よく分からんが大人しくなったしいいか)

「さてと、それじゃあお前ら、空気を読んで待機しといてくれてありがとよ」

「テメエェ!!よくもやってくれたな!!何処のどいつだ!!」

「俺か?俺は1-3の神裂大和。通りすがりの、Fランクだよ」

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