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歩み寄る戦い


西暦2049年。核戦争により荒廃し死の星と化した地球が未宇宙から降り注いだ知のエネルギーによって再生され、再び生命の星として穏やかな日々を取り戻したが、世界は3つの勢力に割れ、オルタエネルギーの所有権を懸けて、各国が帝国建国の願望を掲げ、再び戦乱の世へと動き始めていた…。


中立を宣言し、三大勢力に融和的な立場となったここ、日本。








「と、こうやって現代に再び戦争が勃発することになったわけです。この戦争を帝国戦争と呼び、三大勢力の衝突はいまもなお続いています。」


さらさらの長い黒髪に前髪をピンで止めている女性がモニターを指して世界の情勢について語っていた。


キーンコーンカーンコーン!



「はい!ここ試験にでるから、よーく覚えておくように。では、現代社会の授業を終わります。さぁ、今日は早く家にかえってテスト勉強しなさいね、皆。寄り道なんてしたらどうなっても知らないからね」



ここは独立経済大国日本のSシティと呼ばれる街にある、空海高校の2年5組の教室だ。5限目の現代社会の授業が終わり、一日の学校生活が終わった。生徒達は次々と教室を後にする。


先程の黒髪の女性がとある少年の席に歩み寄っていく。

向かっていく先には、チャイムがなったにもかかわらず机に伏せてイビキをかいている少年が一人いる。


机にたどり着くと女性は手にもっていた教科書を丸め、力強く握り野球選手のような素振りで少年の頭を叩いた。


バコンッ!!!




「いっでぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」


強烈に痛々しい音を立てて少年の頭に教科書がぶつかると同時に、眠っていた少年は絶叫と共に起きた。


「天木くん、次のテストで赤点取ったらあなた、どうなるかわかってるわね?」


女性が少年に恐ろしい視線と鈍い声で問いかけた。



「あだだ…。て、あら、心咲(みさき)先生!や、やだなぁ、そぉなんかいも赤点なんて取るわけないじゃないですか」


黒く無造作に伸びた髪に爽やかな顔立ちをした少年が動揺を隠せずおどおどした口調で言う。


彼は天木(あまぎ)リョウ。Sシティの空海高校に通う高校2年生のワンパク少年である。ヤンチャであり、実はうぶで心優しく素直な一面も持つ。



「あら、そう。毎回赤点取って居残りさせられては泣き言いう子は誰だったかしら。全く。居残りに付き添わなきゃならない担任の気にもなってほしいわよ。」


彼女は心咲(みさき)ユナ。天木達の2年5組の担任で、26才のきりっとした顔立ちの美人教師であり、成績が悪い天木によく世話をやく。



「あ!もぉこんな時間だ!俺今日ちょっといろいろあって帰らなきゃなんで、失礼しまーす!!」


そぉいうと天木は凄まじい早さでバッグをとり、教室を一瞬にして脱出した。


「あ、こら!テスト範囲わかってるんでしょうね!?私もぉ知らないからね!!」


と、心咲が叫んだ時にはすでに彼はいなかった。


「まったくもぉ…。ん?そうか、今日はあの子おそこに行くんだったわね。なら、今日だけは見逃してあげましょうか…。でも、次はホントに知らないんだからッ!」


彼女は何かを察し、一瞬だけ彼を心配するかのような目をした。





学校近くの商店街を天木は歩いていた。

商店街のいたるとこに巨大なモニターが設置され、絶えず帝国戦争の速報のニュースが流れている。

思わずモニターを見上げて天木はニュースを見ていた。



「本日、日本時間午前9時頃、EU連合が宇宙にオルタエネルギー調査の目的で惑星有人探査船を発射した事が判明しました。同日、EU領土のマスドライバーにシャトル打上に対して反対を主張する保守派のテロ集団により、襲撃テロが発生。これに対しEU連合は機装歩兵部隊を派遣。テロは食い止められ無事にシャトル打上は成功しました。なお、シャトルは惑星オルタに向けて発射されました」



平凡なニュースも流れてはいるが、必ず戦争の速報は入ってくる。天木は帝国戦争に対して、反感は有るものの、自分は日本の中で戦争とは無縁に生きているため、平和な日々が当たり前だと感じてはいるものの、やはり世界は戦争の炎に包まれていることを忘れてはいけないと危機感を抱いていた。


「テロだなんて。同じ国に生きる中で内紛なんてなぁ…。難しくてよくわかんないけど。それより惑星オルタ、か。いったいどんな星だったんだろう。」


有人探査船が打ち上げられた惑星オルタに対し、天木は好奇心と探求心を抱いていた。





「目標まであと20キロ。富士山付近の研究所に運び届けるって、楽な仕事だな。」



商店街を抜けたとこにある信号に止まっている巨大なトレーラーがあった。その中には運転手である中年男性と、助手席には茶髪のショートヘアーの女性が座っている。後部座背には日本軍の兵隊が四名、警備係として立っている。どうやら軍の輸送トレーラーであるようだ。



「油断は禁物よ、坂場さん。軍の最重要機密を運んでるんですもの。」


茶髪の女性が運転手に言う。


「分かってるよ、奈未(なみ)ちゃん。でもなぁ、中身もろくに知らされてねぇで運べってもなぁ?それに極秘ならなんでこんな人混みんなかわざわざ突っ切ってんだ?もっとルートはあったろうに。」


坂場と呼ばれていた運転手が奈未とよんだ女性に問う。


「仕方ありませんよ。最重要機密の代物のなんですから。先日、日本が所有する国際宇宙ステーションHALの研究施設から内密に地球に運ばれたらしですからね。それに、ひそひそと運んでいたら怪しまれますからね。いつ誰に見られているか分かりませんから。テロ集団に襲撃される事だって考えられます。人混みがあるルートの方がかえって狙われないんですよ。一応日本は中立国だし、他の国もおおやけにヘタな真似はしないはずです。」



「なるほどね。さすが奈未ちゃんだ。じゃ残りも気を緩めないで行こうか。」


そお言うとトレーラーは動き出した。




「あれ、デカイトレーラーだな。何を運んでんだろ?


偶然にも天木の前をトレーラーは通りかかった。






「こちらローグ1。目標を確認。データを送る。全機、確認せよ。」


「ローグ3、確認した。」


「ローグ2、こちらも確認した。」


「ローグ4、了解。」


「ローグ5、同じく。」



天木の歩いている商店街のはるか上空に、飛行ユニットらしき装備を着けた謎の鎧武者達が飛んでいた。ステルス機能を有しており、特殊な電磁波を放つことで身体をカモフラージュし、肉眼で捕らえることは出来ない。


「よし、全機、フライトユニットを降下モードへ移行。オルタエネルギー出力を最大限に留め、エネルギー安定地に到達させ、3分後、一気に目標を叩く。」


「了解。」


「目標を襲撃後、中身は奪取する。傷ひとつ付けるなよ。」



ローグと呼ばれている彼等は、機装歩兵に身を包んでいる。彼等の頭部ヘルメットにあるバイザー内には、目標とされる物体が写し出されている。その目標とは、商店街を走り抜けようとしている軍の輸送トレーラーであった。





「あれ、なんだ、この感じ…?なんか、落ちてくる…?」


何かを感じとり、天木は無意識に上空を見上げた。

すると、肉眼では何も見えないが、確かに何かが急降下してくるのを感じた。



「あれ…?これって…機装歩兵!?」



あぶない!!!皆伏せろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!




確信を抱いた天木は、商店街を歩く人々全てに叫びんだ。



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