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祖国から15,000海里、遥か先の小さな海 (Ein kleines Meer, 15.000 Seemeilen jenseits der Heimat.)  作者: 蒼野 壮太


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4.第2次世界対戦兵器オタクとUAPS(WWII weapons buff and UAPS)

「この写真を見てくれ。君ならどう見る?」

 私は、以前UAPSの機関誌に掲載する論文を仕上げる際に、いろいろと知恵を借りた第2次世界対戦の兵器オタクである南田陽一と隣駅のファミリーレストランで会っていた。

 咲季には彼と会うことは話していない。咲季に話せば秘書として同行します、と言うに決まっている。三重に行く前の準備ではあるが、咲季の今を揺るがすような話が出てくる可能性もある。

 そんな理由で、咲季には仕事で遅くなるので、今日は早めに上がってくれと言っておいた。

 南田は私より3つほど年下だが、第2次世界対戦に関わるあらゆる兵器、装備、文化、そういったものに通じている。著作もあるし、軍事関係の雑誌に連載も持っている。オタクというよりも軍事史研究者と言った方がいい。だが、本人が第二次世界大戦オタクを積極的に名乗っているのだ。堅苦しい肩書が好きではないらしい。

 ちなみに、私は、自らオタクと名乗る人間が苦手だ。こちらの意図を見透かしているくせに、周辺知識から延々と語り始めることこそが、正しく、親切でさえあると思っているふしがあるからだ。と言っても、頼れる人間は南田しかいないのだが。

「どう見るも何も、ドイツ女子同盟の制服ですね」

「南田くんも、そう思う?」

「小島さんって、お子さんがいたんでしたっけ?」

「いないよ」

「じゃあ、こんな小さな子にコスプレさせて、一体どんな関係なんです?」

「コスプレじゃないんだな。これが。だから困ってるんだよ。南田くん」

「コスプレじゃない・・・?まあ、事情はわかりませんが、左袖に赤と白のエンブレムが見えるじゃないですか。その中心に黒っぽい部分が少しだけ見えていますよね。これ、鉤十字ですよ」

「やっぱりそうか。でもどう考えればいいのかさっぱりわからないな」

「結局これは、いつの写真なんですか?当時の物だとすると、この写真、色あせしていないですね。しかも、戦時中のカラーフィルムは、まだまだ初期段階の技術だったんで、白が飛びやすいし、赤が妙に強調されるんですよ。この写真にはそれがない。色がきちんと再現できている点から考えると割と最近のものに見えますけど」

「10年くらい前?と本人は思っているらしい」

「それだと、戦時中なんてレベルじゃないくらい最近じゃないですか?写っている子の年齢は、7歳か8歳くらいですかね。そうだったら、ドイツ女子同盟は10歳から18歳までが対象だったので、年齢的には該当しないですけどね」

「それって、戦時中はそうだったって話だよね」

「お、鋭いですね。小島さん。そのとおりです」

「じゃあ、日本でこんなユニホームを着るような組織ってあると思う?」

「あ、この子、日本人ですか?まあ、見えなくもないかな。でも、ナチスドイツ言うところのアーリア民族の顔に輪郭は近いですね。この子は黒髪ですけど。そういう小島さんの顔立ちにも少し似たところがありますよ」

「ナチスの民族主義はどうでもいいよ。愚かしい考えだ。今の時代、そんな事を言ってるのは差別主義者だけだよ」

「しかし、悲しいことに、あの時代のナチスドイツ思想ではアーリア民族という定義が厳然とあって、受け入れられていたわけです。この写真の子は、その定義に沿った顔立ちをしているように見える。まあ、そういうことです」

「しかも、ドイツ女子同盟のユニホームを着ているってか?南田くん、これはいったいどういうことだと思う?」

「ところで、小島さん。米軍の『戦術作戦任務報告(Tactical Mission Report)』についての答えは出ましたか?」

 『戦術作戦任務報告』とは、日本本土空襲を担ったマリアナ基地のアメリカ陸軍航空隊 B-29 部隊が、作戦ごとに作成した詳細な報告書の総称だ。空爆目標や当日の気象状況、作戦に参加したB-29の機数と作戦高度、投下した爆弾の種類や量、日本陸海軍の航空機による迎撃や対空砲火の状況、爆撃の効果などが事細かく記録されたもので、戦後、米軍によって機密解除され、日本でも戦史研究サイトなどで電子閲覧可能となっている。

 この記録の中に正体不明の発光物体(Balls of Fire)がB-29をつけ回したという報告が数多くある。南田には、それらの発光物体について、当時の日本陸海軍の兵器と照らし合わせ、その場に存在し得るモノかそうでないか、一つ一つ検証するのに協力してもらったのだ。

 ただし、ここで南田が聞いてきたのは、そういった発光物体のことではない。

「君がわからないって言っていたのに、答えが出るわけ無いじゃないか」

「そうですか?こんな写真を見せに来たんですから、薄っすらと答えはお持ちなんでしょう?」

「実は、そうなんだけどさ。きちんと区別はしておきたいんだ。欧州戦線ではFoo-Fighterと呼ばれていて、太平洋戦線では『戦術作戦任務報告』でB-29の搭乗員から『火の球』(Balls of Fire)と報告された物体は、あきらかにUFOだと考えている」

「UFOって、空飛ぶ円盤って名前で一般化したのは1947年でしたっけ?」

「そう、1947年の6月24日。ちょっと気の利いたカレンダーなら空飛ぶ円盤・UFOの日ってちゃんと書かれてるよ」

「小島さんは、それ以前の目撃記録を探していたんでしたよね?」

「それ以前の、というわけじゃないんだけどね。米軍の正式な報告書に記載されているのなら、証言としての信憑性は非常に高い。見間違いもあるだろうけどね。そういう理由で1947年以前に遡ってしまっただけだよ」

「でも、UFOらしきBallls of Fireの記録はすでに洗い出しましたよね?」

「本題に入らないようにしてるよね?分かってるくせに」

「まあ、だいたい。だから答えは出ましたか?って聞いたじゃないですか」

「だよね。UFOではなさそうだけど、日本陸海軍のものでもなさそう。そういった、どうとも判断できなくて棚上げにした報告があったよね?私はUFO研究者だからね。特に答えは必要なかったんだけどさ。よくよく考えると、あれはあれで得体の知れないモノとは言える。その場にあるべきではないモノという意味でね」

「じゃあ、UFO研究者としての立場を超えて、答えが知りたくなってきたということですね?そうなったのは、さっきの女の子の写真が関係しているわけですか」

「まあね。ドイツ女子同盟の制服を着た写真が出てきた。ということはナチスドイツの思想を持った一定の集団が日本にも存在するということだと思わないか?」

「思いますね。いてもおかしくはない。過激な思想に染まる人間はいつの時代にもいます」

「それが、戦時中から日本にいたとしたら?」

「現代ならともかく、戦時中にですか?それはないでしょう」

「どうして、そう思う?」

「小島さん。僕は第二次世界大戦の軍事マニアとして、断言できますね。だってそうですよね。当時の日本の軍国主義とナチスドイツの思想は共通点がありそうで、実は相性が悪い。ナチスドイツの民族主義が、いつアジア人である日本人排斥に舵を切るかわからないからです」

「しかし、棚上げにした得体の知れないモノは、ナチスドイツが戦時中から日本で活動していたことを示唆しているとも思えないか?」

「たしか、ジェット機やロケット機のようなモノの報告でしたよね?」

「そう。一つは、B-29の搭乗員が頻繁に『桜花』の目撃を報告している点。南田くんどう思う?」

「米軍は『BAKA BOMB』と呼んでいました。愚かな自殺兵器という意味を込めているそうです。それはともかく、『桜花』は艦船用の特攻兵器ですからね。B-29の迎撃用に使われたという記録は全くありません。そもそも、一式陸上攻撃機に吊るされて敵に近づいてから射出するわけです。『桜花』を吊るした一式陸上攻撃機の速度では、B-29のような高速爆撃機に近づくことすら出来ません。技術的にも運用的にも『桜花』が本土空襲の場にいるのは不可能です。したがって、正しくは『桜花型航空機』と言うべきですね」

「『桜花型航空機』報告だけでなく、おそらくは同じものと思われる小型の単発ジェット機が3機、名古屋で2度報告されている。高速で飛んでいたそうだ。同じく名古屋で報告されたドイツのマークをつけた双発、双尾翼のレシプロ戦闘機。岡崎では素晴らしい速度で上昇してくるオレンジの炎を引いたずんぐりとした赤いロケット。呉で報告された新品のような双発のジェット機。いずれも日本陸海軍が当時持っていた航空機とは思えない。こういった報告が正式に米軍の『戦術作戦任務報告』に残されている。どう見る?」

「棚上げしたじゃないですか?」

「棚卸しをしてみようか。南田くんはどう見る?」

「小島さんはすでに答えを持っていて、僕から引き出したいのは、その補強だってことは分かってますよ。でも、僕も第二次世界大戦の軍事マニアとして、確実性のあることしか言いたくないんですよね」

「じゃあ、前提を置いたらどうだろう?」

「あり得ないということを前提としての空想でなら」

「それでいい」

「あり得ないことを前提で、もし、そのように見える航空機を日本陸海軍や同盟国の兵器の中で探すとしたら、『桜花型航空機』や小型の単発ジェット機は『ハインケルHe 162 フォルクスイェーガー』と考えますね。『桜花』に比べると一回り大きいですが、翼幅が短く上から見たシルエットは『桜花』に非常に似ています。ドイツのマーキングの双発、双尾翼のレシプロ戦闘機は『メッサーシュミット Bf 110』。双発のジェット戦闘機は日本でも『橘花』の名前で開発されていましたが、終戦直前にやっと試作機が10分ほど飛んだレベルです。したがって、その試作機のモデルとなった『メッサーシュミット Me 262 シュヴァルベ』。ずんぐりとしたロケットは『秋水』という日本で開発していた試作機もありましたが、やはり試験飛行で終わっています。ですから、そのモデルとなった『メッサーシュミット Me 163 コメート』。最初は真っ赤に塗装されていたそうです。うん。そうとしか見えない」

「本土空襲の初期の頃は、そういった日本上空を飛んでいるはずのない航空機が、B-29に攻撃を仕掛けてきたという記録もある。しかし、途中からただ飛んでいるだけといった報告に変化するんだよ」

「小島さんの言う本土空襲の初期の頃って、マリアナ基地B-29部隊、第21爆撃軍団の『戦術作戦任務報告』で参照できる最初の方という意味ですよね。まあ、本土空襲の初期の頃という表現でも間違いとは言いませんが、正確性には欠けます」

 南田の、こういうところが扱いずらい。いちいち、うんちくを披露して訂正され、いつのまにか話題がそれたりする。しかし、正確性を重視する姿勢には共感できるものもある。

「そう。『戦術作戦任務報告』の最初の方という意味だ」

「それだと作戦任務第26号、1945年2月の神戸空襲からですね。ドイツの降伏はその年の5月初めです。攻撃しなくなったのは、ドイツが降伏してからじゃないですか?」

「ああ、なるほど。祖国に迷惑がかかるから、降伏以降は戦闘行為は行わなかったということか」

「日本でナチスドイツが米軍に対して戦闘行為を行っていたら、ドイツは降伏したとはみなされなかったかもしれません。そうなったら米国はもっとドイツを徹底的に叩き潰そうとしたかもしれませんね」

「そうかもしれないな」

「あるいは逆に、日本でナチスドイツの残党がまだ戦っていると判断されれば、原爆をもう一個、落とされていたかも知れませんよ」

「う〜ん。たしかに・・・。そっちの線も考えられるな」

「小島さん。僕も話しながら熱が入っちゃいましたが、あくまで、あえて説明するのならば、という前提で、空想を言っただけですからね。もともとあり得ないことなんです。どんどん本当のことのように思われても困りますよ。B-29搭乗員の見間違いと考えるのが適切です。そんな話が本当にあったら、戦後、進駐軍の徹底的な調査の網に引っかからなかったわけがない。そもそもドイツからどうやって戦闘機を運んだんですか?」

「潜水艦でジェット機とロケット機の設計書やエンジンを運んだっていう話があったよね」

「伊号第二十九潜水艦ですよね。フランスのロリアンから出港してシンガポールに立ち寄った後に米軍潜水艦に撃沈されました。日本にまで届いたのは、たまたま空路で持ち出した実況見分調書程度ですよ。ですので無理があります」

「・・・本当に?」

「無理があります」

「そうか。まあ、いいや。うん。十分参考になったよ。南田くん、ありがとう。また、何かあったら協力してもらうからよろしく」

「UFO研究はやめて、架空戦記ものでも執筆するつもりですか?」

「あ、それいいね。おっと、もう一つ架空戦記でいいから聞きたいことがあったんだ。呉や名古屋で、B-29から報告された得体の知れないモノは、どこから来たんだと思う?」

「架空戦記的には、ナチスドイツじゃないんですか?」

「そういう意味ではなく、日本国内から離陸するとしたら飛行場はどこだろう?」

「う〜ん。名古屋や呉を飛行範囲として網羅できるとすると、鈴鹿の海軍航空隊飛行場あたりが好都合ですかね。『He 162 フォルクスイェーガー』や『メッサーシュミット Me 262 シュヴァルベ』の場合は、ですよ。『メッサーシュミット Me 163 コメート』だと、鈴鹿からなら名古屋がギリギリ。呉には届きません。あ、報告は岡崎からでしたね。でしたらギリギリ届きます。ただし、初期のジェット戦闘機や、特にロケット戦闘機は専用の飛行場が必要なんですよ。どちらもコンクリート滑走路が必須です。ジェット機は長さも1キロ程度は必要ですし、ロケット機の場合、長さは必要ありませんが、滑走路が平滑であることが求められます。御存知のとおり、ロケット機の着陸には、車輪ではなくソリを使っていましたから、滑走路がでこぼこだと着陸事故が多発します。そういう理由で、芝生や土を整地しただけの鈴鹿海軍航空隊飛行場では無理がありますね。もしも可能性があるとしたら、それこそ極秘に作られた飛行場ですかね。上空から目立たないように迷彩塗装をしたコンクリート製の飛行場ならまだ可能性はありますね。いずれにしても場所は鈴鹿近辺が好都合でしょうね」

「やっぱり、そう考えるよね」

 咲季の三重との強いつながりを示す記憶改ざんの可能性。咲季の幼少期のBDM風ユニホーム写真。B-29の『戦術作戦任務報告』でのナチスドイツの航空機を思わせる報告。最初は小さな引っ掛かりではあったが、すべてが三重とつながった。

「でもさ、B-29の本土空襲って絨毯爆撃に切り替えたあたりから、ほとんど深夜に行われているよね?極秘飛行場だと照明もつけられない。どうやって出撃したんだと思う?」

「月明かりや星あかりの下、危険を承知で離陸したんじゃないですか。あるいは、小島さんのお考えどおり、緑色の光でぼんやり照明していたか、ですね」

「あ、ばれてた?『戦術作戦任務報告』には、何度も、神秘的な緑色の地上光を見たって報告が出てくるよね。そういった光が、鈴鹿の極秘飛行場の照明にも使われてたということは考えられないかな?」

「人間の暗所視は、緑付近の波長に最も感度が高いんですよ。だから、緑色の光の正体を知っている日本軍機の搭乗員や、地上要員には見やすい。 飛行場の照明としては悪くないです」

「うん。それで?」

「一方で、遠方から見ると赤や橙の炎ほど、目標として直感的に結びつきにくい。つまり、都市灯火や火災には見えず、米軍からすれば攻撃目標として認識されなかった可能性があるとは言えますね。しかも神秘的とまで言って、恐れているわけです」

「なるほどね」

「日本側に、緑色照明を飛行場で使ったと明記している資料や文献はないですが、安全性の高い照明手段として、実際に使われていた可能性はあると思います。しかし、架空の飛行場の夜間照明にまでこだわります?」

「まあね。私は細部に気を回すタイプなんだよ。君と同じだ」

 

 南田とファミレスを出て別れの挨拶をしようとした矢先、若い女性が近づいてくるのが分かった。あれ?咲季だ。咲季がなぜここに?

「先生。嘘ついてましたね?」

 怒った顔をしている。

「なんで、咲季ちゃんがここにいるの?」

「秘書に任命されたときに、位置情報を共有しましたよね?」

「そう言えば、そんなこともしたっけ」

「位置情報を見たら、先生がずっと同じ場所から動かないんです。仕事で遅くなると言っていたのに。おかしいと思いました」

「ああ、そうすると、こういう事もできるんだ!」

「こ、小島さん。あの写真の子って、もしかして……この人?つまり、さっきの写真の子の今がこの人になったんですか?」

 南田のやつ、変な表現で余計なことを言う。しかも、顔を赤らめやがって。

「南田くん。今日はありがとうね」

 そういって、南田を遠ざけつつ咲季と駅へ向かう。

「私にはプライバシーはないのか・・・」

「位置情報共有って、そういうことです。逆に言えば、先生にだって、私がどこにいるのか分かるわけです。私にもプライバシーはありません」

 秘書って、そこまで太い絆が必要なのか?

「で、先生。私の子供の頃の写真をあの人に見せたわけですね?」

「まあ、そういうことなんだ。ごめん」

「おかしいと思ったんですよ。会社を定時17時きっかりに出て、18時過ぎには家に帰り着いているような人が、仕事で遅くなるなんて。絶対、私になにか隠してるなって思ったんですよ」

「ごめん。君の写真を彼に見せて、何を聞いていたか話したほうがいいよね?やっぱり」

「それが普通でしょ?でも、先生が秘書である私にも聞かせたくない話が出てくるかもって思ったんでしょ?」

 だんだん言葉遣いが、荒くなってきた。これは傍から見たら痴話喧嘩か?

「とりあえず、オフィスに戻ろうか。それから車で送って行くで良いよね?」

「お好きにどうぞ」


 吉祥寺までの道のりの間、咲季はハンバーガーにぱくついている。無言だ。

「これまで考えてきたことと、うっすらと見えてきたことを話しておくよ。いい?」

「先生。居場所があるっていいですよね」

「え?えーと、話さなくていいの?」

「先生はいつも私に気を使ってくれる。私はいつもそれに甘えて、ぬくぬくとした居場所を確保している」

「居場所と思ってくれるのは素直に嬉しいと思うよ。それはそれとして、話を聞きたいんだよね?」

「秘書として聞いておくべきだと先生が判断したのなら、話してください。岸本咲季としてまだ聞くべきではないと判断するのなら、先生におまかせします。それでも、いつかは話してくれるんですよね?」

「それはまた、難しいことを・・・。じゃあ、大きな方針だけ話すことにする。細部は曖昧なのでまだ話さない。どっちにしても推測レベルだけどね。それでどう?」

「先生におまかせします」

 機嫌が悪いままなのか、直っているのか、どっちだ?

「三重にすべての謎を解く鍵があることが高い確率で推測できた。すべての謎を解く鍵だ。そのために、すぐにでも三重に行って伝承を調べたい。大学は休めるかな?」

「落としそうな単位はありませんので、休めますよ」

「いや、まだ夏にもなってないのに、もう落としそうな単位があったらおかしいでしょ?」

「ポテト食べます?」

 機嫌は直っていたようだ。

「じゃあ、フニャフニャの長いやつを貰える?意外とそういうのが塩味が染み込んでてうまいんだよ」

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