メス猫と朝チュン
今日は天気も穏やかですね。
今日のしろかえではちょっとエチです( *´艸`)
あられもない姿は恥ずかしくもあるが……今はスヤスヤ寝息を立てている颯太の穏やかな人肌を感じたくて……咲愛は仰向けから三分の一回転ほど寝返りを打って、裸の胸を彼の体にくっ付ける。
毛布に絡んだ足さばきが昨日の痛みを少しばかり再現させ、彼女は思わず独り言ちる。
「幸せの痛みって……まったりしたものなのね……それにしても……よく寝てる」
声を立てないクスクス笑いと……ちょっぴりエッチな場所へのキスのいたずらでも颯太が起きない事を確認して……咲愛は颯太のスマホへ手を伸ばす。
別にロックを解除して中を見ようとするのではない。
もうすぐ鳴るであろうアラームを秒で止めたいだけなのだ。
それは、この幸せの朝をずっと続ける為のちょっとしたお膳立て……
◇◇◇
瑞々しい花束の様な香りを感じて颯太は薄っすら目を開けた。
「何の夢だったのだろう……咲愛が居て……ああ、これ、咲愛の匂いだ……」
次の瞬間、彼はこの世で最も柔らかく温かなものを二の腕に感じる。
彼の頭の中に……昨晩、その甘い“果実”を欲し味わった事が怒涛の如く蘇って来て……彼を刺激した。
「ヤバい!!」
彼が天使の様な寝顔の咲愛に気取られない様、ぎこちなく身を離そうとしたら
咲愛は「むううう」とむずがり、白くしなやかな腕を彼の体に巻き付けて来た。
「逃がさないからね」
「起きてたの?」
「今、起きた」
「ちょっと、スマホ取りたいんだけど」
「何、それ! 私よりスマホの方が大事なの?!」
「じゃなくて、今、何時かなって」
「まだ早いんじゃない?朝チュンだって聞こえないし」
「でも、陽射しは明るいよ」
「明るいと都合悪いの? 『見られて恥ずかしい』って言うセリフは女の子の物なんだけど!」
「だったら服着なよ!」
「酷い!! そんな言い方!! 私の事、遊びなの??!!」
「違うよ!!」
「だってあんまりじゃない!! 私は!! 遊びなんかじゃないんだよ! 分かるでしょ??!! 私が覚悟を決めて颯太くんを受け入れたって事!」
「分かってるよ!! ただ姉貴が!!」
「お姉さんが何なのよ!!」
「夜勤から帰って来たらマズいから……」と颯太はようやくスマホを探し当て、時間を確認した途端、大慌てになった。
「とにかく、服を着て!!お願いだから!! 今、こんな所を姉貴に見つかったら申し開きができない」
その言葉に「酷い!!酷い!!酷い!!!」と咲愛は叫び、颯太の腕や胸をバリバリバリと引っ掻いた。
「誤解だって!!咲愛の事、姉貴にキチンと紹介したいから!だから……」
こう言ってる傍からドアの鍵が開く音して
「ただいま~」と姉の翠乃が入って来た。
「姉ちゃん!!」と悲鳴に近い声を上げた颯太と……
大立ち回りで露わになった裸身を取りあえず毛布で覆い、あっけらかんと「お邪魔してます」と言い放つ咲愛……
その二人の有様を見て一瞬俯いた後、物凄い勢いで颯太を睨め付けた翠乃は、ドスの効いた低い声で一喝する。
「アンタ!後で“お白洲”だかんね! 取りあえずこの子と、私と……まあ、アンタの分も買っていいけど!“朝マ●ク”買って来な!」と颯太の前に財布を放り投げると、颯太は大急ぎで服を着て脱兎の如く飛び出して行った。
その様に翠乃はため息をついてベッドの端に腰掛ける。
「今更だけど……あんなのでいいの?」
「もちろん! 颯太くんはお姉さんの自慢の弟さんでしょ?! 私、颯太くんに会う前からずっと憧れてて……初めて会った時は心臓バクバクだったんですよ」
「そんな風に言われるとなんだか責任感じちゃうわ」
「とんでもない!お姉さんこそ……ウチのお兄ちゃんで本当にいいんですか?」
「当たり前じゃない! 孝行さんだって、咲愛ちゃんの自慢のお兄さんなんでしょ?」
「ハイ!」
ここで咲愛は裸身にキチンと毛布を巻き、取りあえずの居住まいを正した。
「お姉さん!」
「何?」
「私のとんでもないお願いを聞き届けてくれて本当にありがとうございました」
「何言ってるの! 私の方が咲愛ちゃんに申し訳なくて……でも私が生きてる限り絶対あの子に責任を取らせるからね!」
「そんな大袈裟な……」
「いいえ! これでもあの子を育てた責任があるからね!」
「じゃあ……お兄ちゃんも私の事をそういう風に思っているのかなあ……でも、心配しないでね! 今回の『メス猫作戦』はすべて私の発案だって事をちゃんとお兄ちゃんに言うからね! お姉さんに謝らせる様な事は絶対させないから!」
その言葉に翠乃は咲愛を抱き締めた。
「ありがとう!私の妹になってくれて」
「ありがとうございます!私のお姉さんになってくれて」
しばし二人共涙模様になって抱き合っていたが翠乃は鼻を啜って思い出し笑いをした。
「しかし……私が入って来た時の颯太の狼狽え様と言ったら……私、俯いて笑いをこらえるのに必死だったのよ」
「『メス猫作戦』バッチリでしたね!」
「まだまだ!アイツはもう少し甚振らないと!」
「ええ~!もう可哀想ですよぉ」
「ダメダメ! 女の子に痛い思いをさせたんだからね! さっきアイツの股間に蹴りを入れてやっても良かったくらいなんだから」
「……それって!やっぱ痛いんでしょうか?」
「そうらしいよ」と翠乃はウィンクして二人、クスクスと笑い合った。
おしまい
まあ、こんな風です(#^.^#)
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