9. 俺は血の池地獄の前にいるらしい
そこには真っ赤な池が広がっていた。あちこちから、人の叫び声が聞こえる。なんだ、この地獄のような場所は、、いや、ここは地獄か。この池を泳いで渡れとかいうのか。まさかそんなわけ、
「この池は血の池って言って、この池を泳いで渡るんだぞ!」
嘘でしょ。ムリムリムリ絶対ムリ!こんなの溺れて死んじゃうに決まってるでしょ!いや、もう死んでるから死ぬなんてことはないと思うけど!まあ、でも、学生の頃の水泳の成績は良かったからな、どのくらいかかるのかはわからないけど、数十分泳ぐくらいだよな?いけるだろ!
「ちなみに、一般の人でここを渡った人は大体、10年くらいかかってたな」
「じゅ、10年!?ムリムリムリやっぱり、ムリ!」
「あははは!今回は大丈夫だぞ!いつもなら、鬼としてこの池に死者を落とすんだけど、なんてったって急いでいるからな、例外で免除だ!」
「本当か?よ、よかった」
どうやら、この池を泳いで渡る必要はないみたいだ。命拾いした。案外、地獄って優しいのかもな。
「あ!でも、これだけは気をつけてね、この池、脱走を防止するために一度落ちたらゴールまで上がることは出来なくなってるんだ。だから、椿が足を滑らしたら、10年水泳の始まりだ!」
前言撤去、地獄怖い。