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8. 俺はこの女の子の名前を知った
「そういえば、自己紹介してなかったな!私はマヒロ!この第一地獄の見習い鬼をしている!よろしくな!」
そう彼女は思いついたように、自己紹介をし始めた。へぇー、見習い鬼だから小さいのか?俺も自己紹介しないとだよな。
「俺は、真中椿、よろしく」
「もっとなんかないのかー?たとえば、生きていたときにしてたこととか」
「そうは言ってもなー、えーっと、俺は中小企業で働いていて、営業を任されてた。だから、人の機嫌を取るのはうまい、と思う、」
「そうなんだな、椿は仕事が命って感じだったんだなーー」
こ、こいつ、俺のことを呼び捨てで呼びやがった。女の子に呼び捨てで名前を呼ばれるなんて数十年ぶりで、動揺を隠せずにいた。この女の子みたいな名前が原因で揶揄われたこともあったけど、結構この名前は気に入ってるんだよな。
そこから歩くこと数分、俺はずっと真っ直ぐで景色も全然変わらない道をマヒロと歩いていた。
「癒しの泉って結局、どこにあるんだ?」
「んー?それはね、、、よし、着いた!この池を超えた先だよ!」
そこには真っ赤な池が広がっていた。