ガスマスクの男
ミシュパハーが態勢をとる。
「隙だらけだ。そのまま首を引き裂いてやる!」
ガスマスクの男はそういい、ミシュパハーの首をめがけて剣を振り下ろした。
ー速い。やられるー
ミシュパハーは反射的に目を瞑ってしまった。
―ガキンッ!―
鈍い音が鼓膜に響く。
目を開けると前にはあれほど嫌っていたレイダがいた。
「おまえ。厄介ごとを増やしてくれたな。さっさと行け!邪魔だ!」
ギチギチと剣同士が擦れる音が続く。
「おやおや、レイダ君じゃないか。久しぶりだな。仲間割れかい?それにラッキーだ。二人まとめて殺してやる!」
そんなガスマスクの男の声を無視してレイダはミシュパハーに再度激怒する。
「何してんだ!早くしろ!走れ!目障りだ!どっか行け!」
ミシュパハーはレイダの言うことを聞き、元来た道を走って去ろうとする。
「おっと!行かすかよ!」
ガスマスクの男はレイダを無視し、ミシュパハーを追いかけようとする。
「チッ。」
レイダは舌打ちをすると、指を鳴らした。
すると、
「オォォォォォ・・・。」
どこから現れたのか、ガスマスクの男の前に禍々しい空気を放った何かが現れた。
足が八本、腕が四本ついていて、それぞれ違う人の四肢を切り取ってくっつけた節足動物のようなバケモノだった。
「おいおい。そんなにあの子のことが大事なのかい?レイダ君。」
ガスマスクの男は諦めてレイダのほうを振り向く。
「関係ないな。死なれるとこっちの仕事量が増えるんでな。あいつよりお前のほうが厄介だ。」
「冷たいこと言うね。レイダ君も。久しぶりの再会なのに歓迎されてないんだから。」
ケラケラと彼を嘲笑う。が、次の瞬間。ガスマスクの男の左目にナイフが刺さる。
「それ以上口を開くな。耳障りだ。」
左目からぼたぼたと血が流れだす。ガスマスクの男はしばらくしてまたケラケラと笑い出す。
「おいおい・・・。そりゃないぜレイダ君。人がせっかくアドバイスしてやって・・
最後まで言い切る前にレイダは禍々しいバケモノを動かして、ガスマスクの腹を殴って貫いた。
ガスマスクの男は口から大量の血が吐き出た。
「言ったはずだ “口を開くな。”と。」
ガスマスクの男は動かなくなってしまった。と同時にバケモノ腕から離れる。
が、次の瞬間彼は水になって溶けてしまった。
「へぇ!腹を貫通するときってこんな感触なのか。体重が少し軽くなったような気分だ。」
彼の声はするが、彼はどこにもいない。
「今日は見逃してやる。面白い体験もできたしな。次会うときは必ずこの俺が殺してやる。」
そういうとガスマスクの男の気配は完全になくなった。
「チッ。拠点を変えなきゃいけなくなったな・・・。」
レイダは自分が拠点にしていた建物を見上げた。




