第一印象
ラズファに別れを告げ、ミシュパハーは一人何もない道を進んでいた。
(ああやって言って出てきたけど正直何も考えていない。最悪僕が住んでいたところに住むか・・・。)
ミシュパハーはかつて家族と暮らしていた場所に移動する。
家族と過ごした日々の面影はなく格子は錆び、ところどころ燃え尽きて黒焦げになっている。
だがまだ住める範囲と言えば住める感じだったので、部屋の隙間から潜って中に入る。
中は酷く淀んでいた。
生温かいような空気が体を通り抜けていく。前は暗くてあまりよく見えない。
ふと足元に何か触れる感触があった。目を凝らしてよく見ると、
切断された人の”腕”だった。反射的に後ずさりをして大きな足音が室内に響く。
― 誰かいる ―
そう確信した。
「気配が丸見えだ。」
その声と同時に首元に冷たいものが当たる。”ナイフ”だ
「何の真似ですか。レイダさん。」
ミシュパハーは冷静を保つ。声の正体は謎に包まれた男“レイダ”だった。
「ここは“俺の拠点”だ。勝手に侵入するな。」
レイダは冷たく言い放つ。
「ここはかつて僕が住んでいたところです。勝手に侵入してるのは“レイダさん”のほうです。」
負けじと反論する。
「知るか。そんなこと。もう住んでないのなら空き地同然だ。わかったならさっさと出ていけ。」
レイダはナイフをかざしていた手をおろした。勝手に好き勝手言われるのに対してだんだんイライラを募らせる。
「なんなんですかいきなり。僕のいた家に勝手に住み始めて住んでいた人に出て行けなんて。」
ミシュパハーの中でレイダの印象は最悪だった。
「じゃあお前。ここより広い廃墟を探せ。そうしたら譲ってやる。」
自己中もいいところだ。ミシュパハーは言い合いをしても無駄だと思い、潔く諦めた。
「じゃあ違うところを探します。僕は初めてまともにあなたと会話しましたけど貴方が“嫌い”です。」
怒りが頂点にまで登っていたのか、言いたいことがスラスラ言えてしまう。
「そうか。」
レイダはただ一言だけそう言った。
ミシュパハーは諦めて自分の住んでいた家を離れた。
来た道を戻り、門を抜けた時だった。
「今度は緑色の髪の子が新しく入ったのか。あの男も切羽詰まってんだなぁ~」
軽快な口調で喋るガスマスクをつけた左目が白い男が立っていた。
ーガスマスクをつけた男には気をつけろー
ホシェフに言われたことを思い出す。
幸いなことにミシュパハーは仮面をつけていたので顔が割れていないことが救いだった。
ミシュパハーはナイフを構える。
「ほほぉ?いい殺気だ。 だがまだ未熟者の目だ。」
そういうと男は手から結晶のようなものを生み出し、結晶の剣を作った。
「死にな。」
その男が向かってきた。




