集結
あれからミシュパハーはラズファと共に沢山の人を殺めた。
だが、自身の両親を殺害した兄の行方はいまだに見つからなかった。
ラズファも思ってた以上に手がかりを探すのは難しいと言い、ミシュパハーの兄の捜索は困難になっていった。
そうして月日が経ち、ミシュパハーは15歳になった。
背が伸び、体つきも少しずつ逞しくなっていた。
一度、ラズファと共にボスのもとへと向かったが、15歳以上からでないと入れないと言われボスに会うこともなくその時は終わった。
「15歳の誕生日おめでとう。あっという間に成長したな。」
そういい、誕生日を祝ってくれるのはミシュパハーを助けた恩人ラズファだった。
「ありがとうございます。」
「これでお前も組織の一員だ。ちょうどさっきこれが届いた。着てみるといい。」
渡されたのは、黒いコートと、あの時ラズファがつけていた仮面のようなものだった。
ご丁寧にミシュパハーと同じ髪色をしている。ミシュパハーは言われた通り、コートに袖を通した。
「よく似合ってるじゃないか。サイズもぴったりだ。」
鏡を見て満足そうに笑った。
「さぁ、着替えも終わったし、俺について来い。
ちなみにその服でそれを付けたからには外では絶対に外してはならない。俺たちの命にかかわるものだからな。」
と仮面について念を押された。
仮面をつけ、二人は目的地へと向かった。
二人でやってきたのはいかにも”廃墟”というような大きい建物のところだった。
雰囲気は5年前のあの日と変わらない。ギギィと錆びた門を動かしくぐる。
門をくぐった瞬間から澱んだ空気が全身に伝わる。あまり心地のいいものではない。
ラズファの後をついていき、廃墟の入り口に入る。建物の中は狭くて薄暗い長い廊下が続いていた。壁についたシミをよく見ると人の顔に見えなくもない。
しばらくしてラズファと歩いていると大広間についた。と同時に天井の明かりがつく。
「よく来てくれた新人。」
灯りの先には、赤い髪をした男、黒い髪をした男、黄色い髪をした女の三人が立っていた。
おそらく真ん中にいる黒い髪の人間がここのボスなのだろうと一目見てわかった。
「俺の名は”ホシェフ”だ。そこの黄色い髪の女は”リウ”。赤い髪の男は”レイダ”だ。まぁ普段会うことはないが仲良くやってくれ。」
「リウよ。よろしくね新人君。」
リウはそういい、ミシュパハーの前に手を差し出した。
軽く握手を交わす。
自分より小柄で華奢な人を見て”この人も殺しを行っている”という想像がつかなかった。
一方レイダと呼ばれる男は一向に喋らなかった。
「お前も何か一言言ったらどうだ。レイダ。」
ホシェフに説教を食らう。
「・・・レイダだ。よろしく。」
と一言だけで済ませる。
「すまないね・・・。レイダは内気な性格でね。人と会話をあまり好まないんだ。」
「・・・では俺は任務に行ってくる。」
レイダは姿を消した。
「あぁ!もう行っちゃうの!?つれない子だね本当に。」
とリウは拗ねる。
「相変わらずストイックな性格だよな。あいつ。」
とラズファはレイダを表面上で尊敬する。
「まぁまぁ。ストイックなところは置いといて彼が一番ここに貢献しているからな。お前らもレイダに負けじと頑張ってくれ。」
ホシェフは淡々と話すがその仮面の下には計り知れないほどの歪んだ心が隠れている。そう確信した。
「ミシュパハー君だったな。もう内容は分かっているとは思うが、このことは他言無用だ。外では絶対に話してはならない。そして君の役割は他のメンバーと同じように沢山の人を殺す。1日に一人以上はノルマだ。それが出来なければ君は呪いで死ぬことになる。」
ミシュパハーの顔色が一気に変わる。
「殺す数が多ければ多いほど報酬も弾む。それにこの仕事には大きな”リスク”がある。それを忘れるな。それとガスマスクをつけた男には気をつけろ。」
前にラズファが言っていた男のことだった。
ラズファとリウの雰囲気も少し変わった。その男はそれほどにまで厄介な人間らしい。
「・・・わかりました。」
「今日はこれで解散だ。明日から仕事に励んでくれ。約束を忘れるな。」
ホシェフは一瞬にして消えてしまった。
「ね、ミシュパハー君。いつか私がやってるナイトクラブに来なよ。あなた顔がいいから特別に”タダ”にしてあげる!」
とリウはミシュパハーの手を掴んだ。場の雰囲気を少しでも柔らかくさせたかったのだろう。
「おいリウ。お前はいつもそうやって誘い出して殺すだろ。やめておけ。仲間だぞ。」
ラズファがそれを引き剝がす。
「へへっ冗談よ冗談。でもタダにしてあげるのは本当だからいつか来てね。」
見ればわかる。かなりのやり手なのだろう。口上手なところも男がついていくのがなんとなくわかる
「俺たちも解散するか。」
ラズファの一言で残りの皆が解散した。




