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Anonymous Killer  作者: あねき
親として、子として、友として
23/24

いたちごっこ

 親子による壮絶な戦いは治まることを知らなかった。


「そもそもなんで父さんは俺たちにこんなことを!」


 クロ―フがホシェフに問いかける。するとホシェフからとんでもない答えが返ってきた。


「ただの()()さ。」


「なん・・・だと・・・!?」


「俺がただただ気になってやっただけさ・・・。お前ら兄弟は偽の親を、本気で自分の両親と信じこみ、何事もないままに育て上げられ、兄弟の関係に亀裂が入ってここまでに至った。レイダは”お前が生まれる前までは”って言ってたが、それは少し違う。()()()()()()()()()()()()()()。偽の両親は確かにお前が生まれる前に子供を身ごもっていた。だが、生まれた後、俺が取り替えたのさ・・・。」


 常人には考えられない発言と思考で、クロ―フは頭が真っ白になる。


「・・・その子供は、どうした!」


「どうしたって?・・・()()()()。」


 ホシェフのその発言にクロ―フは完全に思考が停止した。


 クロ―フは反射的にホシェフのことを刺した。だが黒い霧となって消え、背後に現れる。


「おいおいだめじゃないか。まだ話の途中だぞ。」


 クロ―フは間髪入れずにホシェフに向けて刺す。それでも当たらない。


「よくない教育をされたな。」


 クロ―フは呆れてものが言えなかった。育児放棄もいいところだった。


「だがこの実験には失敗した。レイダが俺が父親ということに気づいた。あいつの才能には尊敬する。そして、あいつを育て上げたノーランにもだ。だがあいつは掟を破った。だから死んでもよかったな。」


 光を失った翡翠色の瞳にはもはや、何も映っていなかった。


「なぜ自分の子供に、そこまでのことができる。」


「なぜと言われても別に何とも思わないな。お前たちの母親が子供が欲しいといったから願いを叶えただけだ。別に俺は子供に興味なんかない。」


「俺たちは!お前のせいで!こんなに辛い思いをしたんだぞ!ふざけるな!!!」


 クロ―フは喉がはち切れそうなくらいに叫び散らかす。レイダに刺された怪我もあってか、喉の奥から血が遡り、吐き出してしまう。ホシェフはクロ―フの悲痛な叫びを聞いても顔色一つ変えず、睨みつけた。


「だったら何だ。俺の知ったことではない。」


 ホシェフがそういうと両手を前に出し、黒い渦を作り出す。


「しばらく眠ってもらう。先にノーランを痛めつけてからお前をじっくりと(なぶ)り殺してやる。」

 目に見えない速さで目の前に現れ、クロ―フの顔を黒い渦が覆いつくす。

 クロ―フは渦に飲まれる中、意識を失ってしまった。目の前で倒れこむクロ―フを見て、ホシェフはその場を立ち去った。


 _________________



 ノーランの前に二人のホシェフが並ぶ。


「どういうことだ。クロ―フ君はどうした。」


「しばらく眠らせた。お前とはゆっくりと話したいものでな。」


 二人だったホシェフが合体して一人になる。


「ははっ奇遇だな。俺も同じことを思っていたところだ。だが生憎俺は、屑の戯れ言に、耳を傾ける気はないな。」


「言ってくれるじゃないか。俺たちは()()だろ?」


 これまでの大罪を犯しても、けろっとしているホシェフに、ノーランは殺意が高まっていく。


「残念だがもうその関係に戻ることはできないな。たとえ俺たちが死んでも。」


「残念だな。」


 ホシェフは霧になってノーランに襲い掛かる。

 ノーランは剣で防ぐ。このままだと消耗戦になってしまうだけだと察し、ホシェフの弱点を探る。


「戦闘中に考え事とは、のんきな男だな。」

 いやみったらしく笑みを浮かべ、力で押し通そうとする。だが体格的にノーランの方が大きく、なんとか力で押し返した。ノーランは攻撃を防ぎ切ったあと、院内を走り回る。


「おやおや。戦闘中にしっぽ巻いて逃げるというのは、どういうことかな?」


 ホシェフは、逃げまわるノーランに向かって霧で作った黒い槍を投げる。ノーランはそれを避けながら走り続ける。院内の薬瓶が割れ中の液体が所々に散らばり、いろいろな臭いが嗅覚を襲う。

 対策をあれこれ考えていたせいで、その先が行き止まりになっていることを忘れていて足が止まった。


「鬼ごっこは終わりかな?」


 ホシェフが口角を上げてこちらへ向かってくる。その時ノーランはホシェフの異変に気付いた。

ホシェフの歩き方を見るからに、散らばった薬剤を避けて通っている。それにひらめき、ノーランは腰についている薬瓶を取り出すと、蓋を開け自分の武器にかけた。


 結晶の剣と薬剤が化学反応を起こして綺麗な水色に光る。


「まだまだここからだ!」


 ノーランはホシェフめがけて突っ込んでいった。



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