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Anonymous Killer  作者: あねき
親として、子として、友として
22/24

偽善

 爆発音が院内を轟かせる。

 クロ―フは全身傷だらけで歩行することも困難だったのに、脳の警告がその痛みを無視し、飛び上がる。そして、身体を引きずりながら、音の鳴る方へ移動した。


「クロ―フ君。来てはダメだ!」


 ノーランの叫びに、クロ―フは足を止める。


「おっと。いるじゃないかミシュパハー君。だめじゃないか。任務を放棄して・・・。」


「ホシェフ!いや・・・。父さん!」


 ()()()。その言葉にホシェフは反応する。そのことを知っているのは()()()。ただ一人だけだった。


「・・・レイダ。あの男には本当に失望した。」

 自分の長男に対してあそこまで尊敬をしていたホシェフだったが、この一瞬で崩れ去ってしまった。


「いつまでその仮面をしているんだ。ホシェフ。もうバレているのならしなくていいだろう。」

 ノーランがそういうと、ホシェフは仮面を外した。

 その瞳はクロ―フと同じ、綺麗な翡翠色をしていた。


「ミシュパハー君。任務の時間はもうすぐ終わる。失敗すれば()()()()()わかるな?」


 _______失敗すれば”死”________


 だが、クロ―フにとってもう”()”というものに恐怖は一切なかった。


「俺は。お前を殺す!」


自身の父に向ける目は完全に殺意を持っていた。


「クロ―フ君!戦えるのなら、これを使え!」


 ノーランは結晶の剣をもう一本作り出し、クロ―フのほうに投げた。

 クロ―フはそれを受け取る。


「おいおい。2対1とは卑怯じゃないか。なら・・・」


 そういい、ホシェフは魔法を使い、もう一人自分を生み出した。


「これでちょうどよくなったな。お前たちを始末して、また、新しいメンバーを迎えるとしよう・・・。」


ホシェフによく似たもう一体の偽物がゆっくりと近づいて来る。


「はっ。それが自分の息子に対して言えることが異常でしかないな・・・。」


「それをお前の口から言える立場でいられるのが面白い。」


「もう()()()とは違う。お前の計画もここまでだ。」



_________________


 お互いに激しくぶつかり合う。


「それにしても、ここまで君たちが従順だったのは驚きだったな。何も知らず、私の言うことだけに素直に従い、この計画の()()()()()を知らず、哀れなものよ。」


 ホシェフはニヤける。


「お前だけは、絶対に許さない!」


「はははは!!!!もう既に()()()()()()()お前が、父親に対してそんなことを言うのか貴様は。」


「都合よく、父親面するな!!!」


 そう叫ぶクロ―フにホシェフはさらに嘲笑う。


「確かにそうだなぁ!!お前たちをちゃんと一人の子としてみたことがないからなぁ!なら、()()()()と呼ぶか!」



 力で押され、その隙にホシェフに首を掴まれる。


「どうだ!?、憎き父親に痛めつけられる気分は!」


 ホシェフは掴んでいる首に力をこめる。ドクドクと脈打つ感触が手に伝わった。


 すると背後から、ノーランがホシェフのことを切りつけた。

 ホシェフは黒い霧となって消え、数歩前のところでまた復活した。


「クロ―フ君!あまり深く考えるな!今はこいつを殺すことだけを考えろ!でなきゃ死ぬぞ!万全な状態じゃないんだ!気を付け____」


 言い終わる前にノーランの体に鋭い剣が突き刺さる。


「よそ見している場合かな?」


 ホシェフが笑顔で話しかける。だがノーランは水となって消える。


「悪いけど一度たりとも気を抜いたことはないね。」


 ノーランは背後に回り、ホシェフに向かって切りつけた。だがそれもダミーだった。ホシェフは黒い霧となり、消える。


「ははっ。冗談だ。お前はもともと警戒心が強いからな、ノーラン。」


「お前もだ。ホシェフ。」



 クロ―フは乱れる呼吸を整え、剣を構えた。



「ほう。まだ動けるか。」


 もう一人のホシェフがクロ―フを見つめる。


「まだ・・・。これからだ!」



 クロ―フは剣を握る手に力をこめた。


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