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Anonymous Killer  作者: あねき
親として、子として、友として
20/24

捨てる神あれば

 目を覚ますとミシュパハーは、見知らぬベッドの上にいた。


 薬品のにおいがツンと鼻を掠める。


「やっと目が覚めたか。」


 声がするほうに顔を向けると、ガスマスクの男が立っていた。

 いつものガスマスクをしておらず、ずっと隠していた口元は、痛々しいやけど痕のようなものがあった。


「ここは・・・。」


「廃病院だ。もともと()()()()()()()()()()だったんだがな・・・。」


 ガスマスクの男はもともと医者であり、治療は少々荒いが、評判がいい医者だった。


「まだしばらくは安静にしているといい。なんせお前は兄にあれだけ体を、めった刺しにされたんだ。最期に兄はお前に何かをしたのだが、それが命を繋ぎ止めていたのかもな。複雑な気持ちだと思うが、兄に感謝するんだな。」


 兄という単語が出てミシュパハーは気を失う前のことを思い出す。


「ホシェフ・・・。兄は最期に、俺たちの父親はホシェフだと言っていました。」


 その事を聞いてガスマスクの男は血相を変えてミシュパハーに問い詰める。


「その話は本当か?!」


「兄が、そう言っていました・・・。」


「そうか・・・。」

 それだけ言うと、ガスマスクの男は黙り込んでしまった。その表情はとても悲しそうだった。


「・・・あの。」


 ミシュパハーがガスマスクの男に問いかける。


「貴方のことは、何て呼んだらいいんですか?それと、貴方と兄の関係は・・・?」


「あぁ、そういえばずっと敵だったからな・・・。俺の名は()()()()だ。そういう俺も君のことをなんて呼べばいいかな。ミシュパハー君?それともクロ―フ君?」

 ガスマスクの男はノーランといった。


「僕のことはクロ―フで良いです。ラズファさんには申し訳ないですけどあの名前は()()()()です。僕は本当の名前を知ることができたので。」


「そうか、じゃあこれからよろしく。クロ―フ君。」


 ノーランとクロ―フは軽く握手を交わした。


「レイダ君は、かつて、私の教え子だったんだ。まだ彼が小さいときに、急に私のもとへと訪れてね・・・。『俺に魔法を教えてくれ』と言ってきたんだ。勿論。最初は断った。だが諦めが悪くてね。私が折れてしまったんだ。まさか、お前の家族を殺すために学んだとは思わなくてね・・・。クロ―フの両親を死なせてしまったのは私にも責任がある。すまない。」


ノーランは拳を強く握りしめ、歯を食いしばった。その姿を見て、クロ―フはノーランを宥めた。


「あの、こんな状況で聞くのはアレなんですが、兄の死体はどこに・・・?」


「君の兄は安置所に置いてある。兄だけに限らず、ラズファ君、リウ君のもある。」


「後で、見に行っても・・・いいですか。」


「別に構わないがあまり気分のいいものではないぞ。」


「それでもかまいません。」


 返事はどこか覇気がなかった。

 これ以上言っても言うことを聞くことがないとわかったノーランは諦めて、クロ―フの質問を受け入れた。


「いいだろう。その前に準備をしてくるからここで待っていろ。」


 ノーランは部屋から出ていった。


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