さようなら
緊急で集会が開かれた。
ホシェフから信じられない言葉を耳にする。
―リウが死んだ。これからはお前らの仕事量を増やす。気を怠るな。―
時が止まったような気がした。
この前まで自分と親しげに話していたのに。
信じられなかった。いや、信じたくなかったのだった。
ホシェフ曰く、自分の拠点で血を流して倒れていたとのことだった。駆け付けた時にはもうすでに息をしていなかったとのこと。
あまりにも衝撃的過ぎて解散後、ミシュパハーは半信半疑でリウの拠点へと向かった。
そこにあったのはただの亡骸だった。
(リウさん!どうして・・・。)
リウの顔にそっと触れる。肌はすでに青白く、氷のように冷たかった。
ふと目を凝らすと、ベッドの下に謎に続く血があった。
ベッドの下をめくると、そこにはダイイングメッセージが残されていた
―ラズファが姉を
殺した―
ミシュパハーは目を見開く。
ラズファが姉を殺したらしい。
ミシュパハーは背筋が固まる。ガスマスクの男が言っていたように、本当にやばい奴ということが分かった。
リウの部屋から去ろうとすると、一つ気になることがあった。
ーあの時の写真がない―
だが、ミシュパハーはすぐその答えが出てきた。
ラズファが盗んだに違いない。と
リウに別れを告げ、今日のノルマのため目的地へと向かった。
だがここでミシュパハーに異変が起こる。
リウを殺された悲しみが本来の人間である”感情”というものが戻ってきたのだ。
今目の前で殺した家族と殺されたリウが重なって見えるようになってしまった。
ミシュパハーはだんだんと正気を取り戻していく。
手についた血を見つめると、だんだん顔が青ざめていく。
ミシュパハーの脳に突然今までの行いがフラッシュバッグして、だんだん過呼吸になっていく。
それほどまでに身内の死が強烈だったのだ。
ミシュパハーは逃げるようにその場を去る。無我夢中で拠点へと走る。
途中で転ぼうが、気にもならなかった。
拠点へたどり着き、呼吸を整える。
だがミシュパハーはこれまで殺してきた人たちの声が脳に響いてくる。
(やめろ・・・!やめてくれ!!!)
自分にそう言い聞かせた。
そこに一つの足音が近づいてきた。
「お前。迷いが出始めてきたな。」
その声はミシュパハーが嫌悪していた”レイダ”だった。
振り返ると手には切断された腕を持っていた。
「お前が殺しそこねたものを片付けしてやったんだ。感謝しろ。」
レイダはそう言うとミシュパハーに向かって腕を投げる。薬指についていた指輪は不気味に輝いていた。
「もしこのままお前が失敗を繰り返すようなら俺はお前のことを”殺す”それだけ耳に入れておけ。」
そういいレイダは去ろうとした。
その時だった。
「兄・・・さん?」
ミシュパハーのその言葉にレイダは驚いて足を止める。レイダの背中がほんの一瞬だけ兄の背中に見えたのだ。
レイダは、もう一度ミシュパハーの方を振り向く。
だがミシュパハーは意識が朦朧として眠ってしまった。
レイダはミシュパハーに近づき、仮面を取る。そして右目の下にほくろがあることに気づく。
(そうか。どうりで・・・。)
すべてを理解したレイダは仮面をつけ戻して去っていった。
「お前は来てはいけないところに来てしまったな。ミシュパハー。いや、・・・。」




