疑心暗鬼
目が覚めるとリウはすでにいなかった。
ミシュパハーはお礼を言おうとしたが、またの機会にした。
仮面を付け、自分の拠点に戻ろうとした時、
「おっと?ミシュパハー君?だっけ。こんな時間に一人で・・・呑気なものだねぇ。」
聞き慣れた声が後ろから聞こえてきた。
「貴方は・・・。」
ガスマスクをつけた男だった。
「いつまでこの仕事を続けるつもりだ?」
男はそういう。
「関係ないだろ。貴方には。」
ミシュパハーは質問に対して無愛想に返す。
「そうもいかない。俺の仕事も増えるし。それに・・・。いや、この話はまた今度にしよう。」
男はなにか言いたげだったが、言うのをやめてしまった。
「僕を狙っているんですか・・・。」
ミシュパハ―は警戒する。ナイフを咄嗟に手に取り構える。
「いや、今日は気分ではない。だから、争うつもりもない。」
そういうと男は、その場を去ろうとするが足を止めた。
「あぁ そういえば一つ言うことを忘れていた。 お前随分とラズファに気に入られてるらしいが、 あの男には”気をつけろ”あいつは人じゃない。」
男は消えてしまった。男の忠告が癇に障ったのかミシュパハ―は不機嫌になる。
(一体何だったんだ・・・。腹が立つ。)
ミシュパハーは拠点へと戻った。先程男に言われたことを思い出す。
―あの男には気をつけろ―
ミシュパハーの中では確かにラズファはやばいやつだけど完全に悪いやつではないと確信していた。 その反面、本当にあの男が言った通り自分が思っていたのよりもやばいやつだったらどうしようと悩むのであった。
目の前の焚き火をじっと見つめる。
(僕が殺されそうになったときも、こんな色をしていたな・・・。)
あの日のことを思い出す。
燃え盛る炎の中から見えた兄の背中。兄の手がかりは一切まだ掴めなかった。
地面に描いた地図の印をつけたところを確認し、目的地へと向かった。
いつも通り、ミシュパハーはナイフで殺していく。
体についた血の不快感もだいぶ慣れてきていた。ミシュパハーは目的を終え、拠点へと戻っていく。また同じように池で血を洗い流す。
今夜は満月で、池に自分の顔が反射して写っていた。驚くほどにそこにはなんの感情もなかった。




