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目覚めの時 ♯10

2200年4月15日


地球帰還作戦当日を迎えた天照は緊張感に包まれていた。


あれから約3ヶ月、戦闘員114人の手術は急ピッチで進められた。

天照全クルーのバックアップもあり各自滞りなく手術は完了し、碧狼、ルイス、ガネーシャ3隊の隊長を中心として実践訓練を行うほど経過は順調であった。

地球への帰還日は2日後の4月17日に予定され、各員は帰還日に向け準備を進めている。


「それにしても手術には参ったでおじゃるよ。あんな苦痛が続くと知っていたら志願していなかったでおじゃる…。」

「こらこら、隊長は事前に死ぬほど辛いって忠告してくれていたよ。自分の判断を人のせいにしないの。」

「いやいや、隊長の言葉には説得力がないんだよな。俺達に話した時も涼しい顔して言うもんだから、すっかり騙されたぜ。」

訓練の間の束の間の休憩にカルフ、ナラ、イーターは談笑している。


「お前らの言う通りだ。あいつは昔から口下手なんだよ。社会では生きていけないタイプだね。」

「ガネーシャ隊長、他の隊の隊長の悪口を言うのはちょっと…。」

ナラ達3人の会話に割り込んできたガネーシャは碧狼の愚痴に乗っかる形で割り込んできた。

それを心配そうに諭すのはアンクーシャ隊副隊長のヒュドラ・ガラニスであった。


「大の男が小さいことを気にするなよ。」

ガネーシャはヒュドラの背中を思いっきり引っ叩き笑いながら碧狼の元へと去っていった。


「ナラ副隊長、うちの隊長がガサツですみませんね。」

ヒュドラは少しパーマのかかった金髪を触りながらナラに謝っている。

「いえいえ、お互い隊長には苦労しますね。」

ナラも同様に長い金髪を触りながら、ヒュドラに同調していた。


「それにしてもいよいよ明後日ですね。まさか先遣隊として私達オルトロス隊25人とアンクーシャ隊25人で行くとは思っていませんでした。私はてっきり天照に乗ってみんなで帰還すると思っていました。」

「そうですね。僕もそう思っていました。でも天照にいる僕達が最後の人類かもしれないのでリスクヘッジで段階的に帰還するというのは賢明ですね。うちの隊長はガサツで単細胞なのでオルトロス隊に迷惑をかけないよう気をつけます…。」

「こちらこそ、碧狼隊長はただの脳筋で空気を読めない人なので、よろしくお願いします。」

気苦労が絶えない副隊長同士話が合うのか、お互いに謙遜しながら話すのであった。


「ちっ、ヒュドラの野郎私の噂話をしてやがる。あのおせっかい焼きが。…それはそうと碧狼、隊の仕上がりはどうだ。」

「大丈夫だ。後は実戦でどうなるかだな。アンクーシャ隊は?」

「こちらも同様だ。普段から鍛えてたから要領も良かった。それにしてもルイスは笑えたな。先遣隊に選ばれなかったからって拗ねてやがる。」

「話しかけても無視されるのはそういうことか…。」

「まあ、あいつもオセロメー隊として私達より多い64人の隊長なんだから、小さいことを気にするなっていう話だよね。」

「そうだな。あいつは軽いようでやる時はやる男だからな。大丈夫だろ。」

「…結局5人の隊長の内私達しか生き残れなかったな。隊の人数も減っちまったし。」

「…そうだな。」

「あーあ、またあの地獄に戻るのか。P・C共全部死んでくれてれば楽なのになあ。」

「…いつもより口数が多いな。緊張しているのか?」

「…当たり前だろ。逆にお前はしていないのかよ。また部下や仲間が死んじまうかもしれないんだぞ。」

「…怖いさ。…だが俺は地球で死んでいった、あいつらに約束したんだ。人類は絶対に滅ぼさせないって。その約束を守る為なら俺はもう一度あの地獄に戻る。」

「…一人でメソメソしてた私が馬鹿みたいじゃないか。よし、景気付けにルイスでも馬鹿にしに行くか。」


ガネーシャはそう言い、半ば強引に碧狼の肩を掴み、共にルイスの元へ向かって行くのであった。

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