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終末の日 ♯12

「これが会議で聞いてきた内容だが質問はあるか。」

碧狼は先程の会議内容を、部下達に報告していた。


「…理解しました。あの化け物達に復讐できる機会があるなら私は何も言うことはありません。」

レンメルをP・Cに殺されたエマの目は憎悪に満ちている。

そのエマの肩にはレンメルが愛用していたスナイパーライフルがかけられており、レンメルの後ろをついて歩いていたエマの姿はそこにはなかった。

横にはナラが寄り添い、エマを気遣うように手を握っている。


「まあ選択肢が限られているし、しょうがないでござるね。コールドスリープは150年でござるか…。拙者の恋人(抱き枕)と150年添い寝できるなら逆に楽しみで候。」

「こいつまた語尾が変わったよ。まあカルフの恋人のことはどうでもいいが、確かに一理あるな。折角150年眠るなら美女の隣が一番だ。そういえばアンクーシャ隊に良い女がいた気がしたな。後で行ってみるか。」

カルフ、イーターの2人は変わらずマイペースを貫いている。


「…私はもう戦いたくない。あんなのに人間が勝てっこない。どうせ死ぬなら穏やかに死にたい。」

元々天真爛漫な性格だったムカミだが、目の前で両親と仲間達がP・Cに殺されたことでP・Cに対する恐怖が体に染み付いてしまっていた。その心は時が経った今でも癒えていないようだ。


「もちろんこれは強制ではない。そもそも何も策がないなら俺は地球への帰還は反対する。今は柔軟に考えよう。」

碧狼はそう言いムカミの肩に手を置く。

碧狼の手の温もりを感じながらも、やはりまだ恐怖の記憶を拭いきれないムカミは顔を上げることができず、うずくまって座っているのであった。


「みんな聞いてくれ。天照は今後、様々な要因から総合的に判断し進むべき方向性を決めていく。その判断が正しいのか間違っているのかはわからない。ただやるからには悔いが残らないようにしよう。もちろん皆んなは今の状況が不安だと思う。だがそういう時こそ俺やナラを頼ってくれ。俺もできるだけ意見は聞くし尊重もしたい。部下を守ることができなかった頼りない隊長ではあるがどうか、今一度俺についてきてほしい。」

隊員達に向け頭を下げる碧狼。それには隊員達に対する贖罪など様々な事柄が含まれているようであった。


「隊長、オルトロス隊をみくびらないでください。その証拠にほら。」

ナラは碧狼へ優しく微笑みかける。

ナラに促され頭を上げる碧狼。目の前にはムカミを除いたオルトロス隊、計27名が碧狼に対し起立し敬礼していた。

「ありがとう、みんな。」


碧狼は隊員達に対し短く感謝を述べる。

ふと視線を向けた先には、一本の明るい通路がある。通路の奥には窓からばい煙によって煙がかった地球が見える。

(まだ俺達は負けていない。見ていろレンメル。いつか地球を取り返してやるからな。)


そう決心した碧狼の目は以前の地球のように碧く輝いていた。

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