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悪役令嬢として生まれた時はどうしようかと思ったけれど、ずっと好きだった幼馴染が婚約者で良かった

作者: 大木悠樹

短編です。よろしくお願いします!

.


私、アリッサは転生者で悪役令嬢だ。

何を言っているか、わからないだろう。

私もだ。

気づいたら、幼い子供になっており、前世で乙女ゲームの悪役令嬢に生まれ変わっていた。

しかも、婚約者の王太子が前世の幼馴染だった。

5歳の時に宮殿で、親から王太子を紹介され、「最推し、最高……!」と鼻血を出しながら、卒倒された時に気づいたのだ。


これ、幼馴染の優太と反応一緒じゃない?


乙女ゲーを、私よりやりこみながら、悪役令嬢のスチルで悶絶しながら、鼻血を出して、倒れた時を思い出した。


意識が戻った王太子に確認してみると、「え?アリッサ様が、恵梨奈?まじ?」とおよそショタらしくない目でこっちを見られた。


そして、思いっきり抱きつかれたのだ。


「また会えて、良かった。恵梨奈が、電車のホームから落ちて、助けようと思って、俺も飛び降りたんだけど、電車きてて。もう会えないかと思ってた。」


私の記憶には残っていなかったが、泣きながら、きつく抱きしめてくる、優太を見ると、私も涙がでてきた。

その日は、大人に離されるまで、二人でくっついていた。



その為、とんとん拍子で婚約が進み、凄まじい王太子妃の教育をなんとかのりきり、学園の生徒として過ごしていた。


「アリッサ、そろそろヒロインがくる時期だけど、大丈夫そう?」


真剣な顔で言う、優太こと、王太子ショーン。


「……完璧に忘れていたわ。」


王太子妃の教育と優太とのお茶会やダンス練習に忙しくて、それ以外のことは、頭から抜け落ちていた。


「そうだろうなとは思っていたんだ。でも、任せといて。俺は、アリッサ一筋だから。それに、ヒロインに良さそうな相手を見繕っといたから。」


「良さそうな相手?」


「そうそう。うちの社畜真っ青で働いてる宰相。男盛りの35歳。20歳で奥さんなくしてから、まったく女の影を感じさせない、ストイックな男だよ。」


「17歳に35歳を勧めるなんて酷いんじゃない?」


「こっちの世界では当たり前な年齢差じゃん?しかも、侯爵で宰相だから下手な貴族より高年収だし、イケメンだし、変な親戚もいないし。しかも好きになったら、溺愛してくれること間違いないよ?」


「年齢差は確かにそうだけど、私たちと同い年の息子がいるし、しかも溺愛してくれるなんてわからないじゃない?」


「息子の方はダメ。頭はいいけど、プライド高いし、浮気性だし。幸せになれないと思うよ。後、宰相が溺愛するのは間違いないよ。実は理由があるんだけど、後で言うね。でも、間違い無いよ。」


「そうなのね……。実際はどうかわからないけど、ショーンが言うなら様子を見てみるわ。」



そして、やってきたヒロイン。

王太子ショーン以外の、宰相の息子ライや騎士科の年下わんこルーン、担任の先生ハンレーを次々と籠絡し、ハーレム状態になっていった。

良かった、年上も恋愛対象みたいね。

ヒロインは王太子のショーンにもアタックしていたが、適当に流されて、あしらわれていた。

私は、ショーンを信じて、ヒロインを傍観していた。

そのうち、宰相の息子の婚約者や、年下わんこの婚約者が周りを巻き込みながら、ヒロインをイジメ始めた。

最初は、堂々と礼儀がなってないとヒロインに直接言ってたみたいだが、口で言ってわからないとなると、実力行使に出たみたい。

噂だと、物を隠したり、靴に針をしこんだり、したみたい。

私は下手に関わると、悪者にされそうだと思い、絶対に一人にならず不特定多数の女生徒達と過ごすことで、アリバイを作りながら、日々過ごしていた。


そして、ついに卒業式が終わり、パーティー(断罪の場)がやってきた。

ヒロインは、宰相の息子や年下わんこ、担任の先生を侍らせながら、その婚約者達を断罪していった。

なぜか、私もいじめの首謀者として、名があがっている。

青筋のたったショーンが、視界にはいって怖い。


「私の婚約者であるアリッサを、冤罪で断罪するだって?寝言は寝てから言うといいよ。さて、話は変わるけど。宰相、あちらにパトリシア様がいらっしゃいますよ。」


親世代の空気が凍りついた音がした。


「……本当に、パトリシアだ。」


いつも冷静沈着で、落ち着いた所しか見たことがない宰相が、ヒロインめがけて走りだした。


「父上、一体何を……。」


「ライ、どきなさい。」


宰相は息子とヒロインがくっついているのを手で静かに払うと、ヒロインを抱・き・し・め・た。


「あぁ、パトリシア、今まで一体どこに行ってたんだい。探していたんだよ。これからは、ずっと一緒だからね。」


「何を言っているの?私はハナって名前で、パトリシアじゃないわ……!」


「今度はそういう遊びかい?パトリシアはいつも面白い遊びを思いつくよね。なら、君が飽きるまでハナって呼ぶよ。」


そう言うと、宰相はヒロインハナにキ・スをする。

しかも、めちゃくちゃ濃厚でなかなか離れない。

ヒロイン、最初は抵抗してたけど、段々力が抜けて、目がとろんとしてきてる。


「父上、一体なんてことを!!そんなことをしたら、ハナはお嫁にいけなくなります!」


宰相の息子が慌てて、間にはいり、力の抜けたヒロインを支えるが、もう遅いだろうな……。

これだけ、周りに人がいる中で、濃厚なキスを交わしたのだ。

嫁の貰い手は無くなっただろう。


「何を言ってるんだ。おまえの母様が、私以外の嫁になる訳がないだろう。」


結局、断罪もどきはこのアクシデントのおかげで、なかったことになった。

そして、王を除く最高権力者である宰相をとめるものは、このパーティーにはおらず、宰相は息子からヒロインを奪い返すと、抱き上げて、会場を後にしていく。

二人が通ろうとすると、自然と人の間に道ができ、堂々と間を通っていった。


「ち、父上、一体どういうことですか!?」


その後を宰相の息子が慌てて追いかけていく。

年下わんこと担任はぽかーんとしたままだ。


こうして、断罪は終わった。


「実は、ヒロインが、宰相の奥さんだったパトリシアさん、そっくりなんだよね。いつも持ち歩いては、仕事の合間に見ているロケットの肖像画を見た時は驚いたよ。しかも、周りに確認したら、宰相は元々奥さんを溺愛していたらしいんだ。だけど、奥さんを産褥熱で亡くしたことを、受け止めきれてないらしくて、今回の計画を実行したんだ。でも、本当は後日ちゃんとした顔合わせをして、勧めるつもりだったんだよ?それなのに、アリッサのことをいじめの首謀者のように言うからさ。ついかっとなっちゃった。」


てへぺろという擬音が似合いそうな顔で私の顔を覗き込むショーン。


「……そういうことね。宰相の行動には納得したわ。確かにあの勢いなら、溺愛してくれそう。彼女にとっていいことかはわからなかったけど。でも、嫁の貰い手ももうなさそうだし、これが1番幸せになるのかしら。……だけど、なぜ私たちは今、こんな体勢なの?」


ここは、王宮のショーンの部屋だ。

私はショーンの膝の上に座らされ、上から抱きつかれている。


「学園を卒業したんだ。半年後は結婚式。もう我慢しなくていいでしょ?恵梨奈のことは前世からずっと好きだったんだ。しかも、最推しのアリッサ様になるし。でも、ここまで待った俺を褒めてほしいよね。」


ふと、前世の優太を思い出す。

幼馴染で1番近くにいて、ずっと私を守ってくれた優しい男の子。

顔はかなりイケメンになったし、身長も伸びたけど、心は優しいまま変わらない。


「私も前世からずっと好きだよ。」


鳩が豆鉄砲くらったような顔をするショーン。

きょとんとした表情も、前世とあんまり変わらないな。


「煽るなよ。泣かせたら、ごめん。」


それから、私とショーンは夫婦になった。

無事に王様と王妃様になって、かわいい子供達にも恵まれた。そして、有名なオシドリ夫婦として国を無難におさめていった。

そうそう、宰相とヒロインも子沢山に恵まれて幸せに暮らしてるみたい。

悪役令嬢として生まれた時はどうしようかと思ったけど、ずっと好きだった幼馴染が婚約者で良かった。



おしまい。


読んでいただき、ありがとうございます。

ショーンの大きい愛にアリッサが包まれて溺愛されている形です。

二人は死ぬまで、仲の良い夫婦です。

小説書くの難しいですね。

考えてたストーリーと全然違くなりました。

宰相がこんなに出張ってくるのは想定外でした。

ヒロインは宰相にデロデロに甘やかされて、幸せに暮らしたのでご安心ください。

この小説に出てくる登場人物の宰相と乙女ゲームのヒロインが主人公の小説を始めました!

「せっかくヒロインに転生したから、攻略してハーレム作る気満々だったのに、まさかの隠しキャラの宰相に溺愛された」

よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] サクサクととても読みやすかったし楽しい終わり方が感じ良かったです [気になる点] 後半はどちらかというと宰相様に持っていかれた感じ [一言] 宰相様とヒロインの話が単独で読みたいです
[良い点] 楽しく読めました! 宰相さんの最後の活躍に持っていかれた感がありますが(笑) [気になる点] はじめは宰相さんも転生者でヒロイン推しかなと思ってた。
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