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30_計画と駒 ドクエクトル編

 星空が全方位に映し出され、座っている場所以外は煌びやかに星々が光っていた。そんな中に不機嫌にしているのはドクエクトルだった。

「はぁ? キャラクターとして存在していないだ、と?」

 彼は自身の所属する組織に情報を照会していた。だが、帰ってきた答えにますます混乱していた。

「そんなわけないだろう、この堕界(ブリジェスト)にいるんだ、ぞ。ログインしようと試せるはずだろう?」

 たとえ異世界から渡ってきた者であっても、この堕界(ブリジェスト)という世界には存在する事になり、不滅者(プレイヤー)として憑依(ログイン)できる対象であるはずだった。

 だが、不滅者(プレイヤー)からは見えない存在というのは想定外だった。エナやノインでさえ、存在しているのに、ディープが存在していないというのは謎だった。

 

「この謎、解き明かす必要があるな……我々(プレイヤー)にとって異世界人同士の混血と同等のイレギュラーだ。エナとノインは固有スキル持ちだからにしても、ディープはなんな、んだ?」

 

 忌々しく舌打ちをし、ぶつぶつと独り言を続けていた。

 

 何もなかった空中に長方形の白い板を出現させ、そこにドクエクトルはディープの顔を表示させる。また別の白い板を出現させ、エナ、ノインを表示させた。

「こいつらを引き剥がす、か」

 エナとノインを引き離す算段をつけ実行する事にしたのだった。

 

 彼はさらに大きい白い板に考えている事を表示させる。

 難易度が高い遺跡をそこそこ実績のあるパーティが見つけるように依頼で誘導し、罠にハメる。緊急依頼が飛ぶとしてもエナとノインの方が達成率が高く、戻ってくるまでにそこそこ時間が必要な場所を洗い出す。

 

 詳細な地形マップを表示させ、未開遺跡の場所を表示させ、どこにするか彼は決めた。

 

「何かあった時用の隠し遺跡。これでエナとノインが死んでしまったら、まあ、駒が減るけれ、ど」


 彼はどうでもよさげにつぶやいた。未開遺跡には脅威度がざっくりと書き綴られていた。上位トレジャーハンターではない場合危険と記され、駆け出しのトレジャーハンターやそこそこの実績では厳しい場所であった。


「踏破しちゃうんだろう、なぁ」

 ドクエクトルは彼らを高く評価していた。二人でトレジャーハンターし続け、大きな負傷などなく続けている時点で評価していた。稼いだ額も相当なものなのに、引退もせずに続けている事も評価していた。

 

 つまり、それほど鼻が利くというわけだった。

 そんな相手に対して、罠を張るにはディープから引き離す、かつ関係ある依頼を自然に出さないといけない。

「あとはあいつを町から引き離して、力づくで聞くしか、ない」


 エナたちをディープから引きはがす大まかな計画のあとは、ディープ本人から力づくで聞くという方法を考えるのだった。


「面倒だけど、盗賊ギルドに連絡して協力してもらう、か……」


 すでにディープをどうやって町から外に引き離すのか、という手段は彼には何通りもあった。エナとノインが行った先の緊急依頼中に荷物を届けさせる、近隣の村にモンスターが出たので退治してもらう、どれも簡単に根回しをして指名依頼させればよかったからだ。

 あとはどうやって戦力を正しく理解し、追い詰め吐かせるか、という事だけだった。それを犯罪者に頼むことも全く気に留めていない。

 

「たしか最近盗賊たちがあの三人に倒していた、な……恨みを持つ者も誰かいるだろうし、その線で誘ってみるか、それ以外にも旨味があった方がいい、か」


 その眼に宿るのはすでに自分以外を駒としか見ておらず、誰がどう死のうが自分には関係のないものだった。自身のギルドが集めた情報から検索し、関係性がある人物を表示させ、現在どのあたりにいるのかを地形データに表示させていた。

 

「へぇ、近場にいる、のか……個人的な恨み? いや、アレと関わりがあるから何かあるのか? んん? ってことはそういう事、か?」


 彼は何か納得してきたのか、しきりにニヤニヤしていた。思考がさえわたっており、上機嫌になっていた。白い板にジャン・ジャックモンドという昆虫をテイムしている盗賊の情報を表示させ満足そうにその経歴を読む。


「このマザカの町のどこかに潜伏してそう、だな」


 大きな町であるマザカには城塞ともいえる外壁が存在しても、火民外が存在し、治安が悪い場所も存在する。そのため、そういった場所に彼が潜伏し、ディープの動向を探っている可能性があるとドクエクトルは判断した。


「利用させてもら、おう」


 ドクエクトルはにんまりと笑い、自分の計画が絶対にうまくいくと確信していた。今までそうやってのし上がり、成り上がってきたという自負もあったからだった。


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