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25_今までの価値観 常識とは

 冒険者ギルドで遺跡に巣くっていたモンスターの討伐をしたこと、遺跡内で未発見の部屋を見つけたことを報告した。未発見の部屋を報告した際には、受付の人が顔を引きつらせていた。エナとノインは詳細について、遺物についてなどは黙秘するので聞かないようにと伝えていた。

 

 一通り報告が終わり、ギルド内のテーブルにいつものように三人で座る。

「なぁ、ところでこの堕界の常識について聞きたいんだけども……」

「常識? ノイン、常識知っているか?」

「いや、常識なンてものはないな。聞いた事もない。」

 エナとノインに常識を聞いても、聞いたことないと言われ、ようやく自分がとんでもない田舎の異世界にきたことを知る。

 常識、という言葉がない世界であり、そのことにディープは気づいたのだった。常識という言葉が出来たのは哲学や人としての社会の枠組みを認知、認識し、互いのコミュニティの境目はどこか、学術的に出来上がってきてから形成されるものだ。

 ディープはこの堕界という異世界の名称は聞いたことがあるものの、その世界の広さを改めて知り、都会へと目指そうと思ったのだった。異世界の門が多く存在している大陸、地域をまず探すところからはじめないといけない事に途方に暮れそうになった。

 文化を形成する、知識、技術、社会がまだ発達していない地域では、帰るよりも帰れない可能性が高いと感じたからだった。

 

「この地域……」

「アレーサ半島のことか?」

「ああ、このアレーサ半島には異世界の門は存在していないのか?」

「話に聞いたことがないな、この地域は異世界の門よりも遺跡が多いくらいだな」

 エナの話からディープはアレーサ半島がどのくらいの大きさなのかもわからない事に気づかされた。

「アレーサ半島ってどのくらい広いんだ?」


 東西に延びたアレーサ半島の大きさはディープは知らない。自分の楽観的な考えや先入観から危機感を募らせた。

「うーん、ジャクダを使えば……」

 エナも大まかな距離を知るわけではなく、大体の日数により算出されたものだった。

「地図、よかったら見せてくれないか?」

 地図を出してもらい、確認するものの、アレーサ半島の全体の地図ではなく一部分だけということがわかったのだった。

 ちらっと見た時に比べた時を思い出し、あの時に気が付いていればと後悔したのだった。この世界は聖界と比べて技術レベルがとんでもなく低いと実感したのだった。

 

 盗賊が平然と存在すること、モンスターの間引きが国の軍や行政が定期的におこなっているのではなく冒険者がおこなっていること、発展途上の世界だったのだと理解したディープだった。


(世界地図すらない、異世界……)


 今まで住んでいた世界の常識で行動していた自分が能天気に、物事がいい方向に行くと思っていたのが恥ずかしく感じていたのだった。だが、同時に面白いと思う自分も存在した。

 

「どうした? なんかいい事でもあったか?」


 ディープの表情は笑っていた。


「冒険、冒険をして見つけるしかないって思うとワクワクしてきた」


 すると二人は笑い出した。

「「そりゃ冒険者だからな」」


「エナさん、ノインさん! 緊急指名依頼です!」

 突然、離している所に受付の人が割って入ってきた。声をかけられた二人は、受付の人の切羽詰まった顔つきからただならぬ気配を感じていた。

 依頼書を渡され、エナがその内容を確認し、ノインに口頭で伝えた。

「未発見の遺跡の調査をしていたトレジャーハンターが遺跡内から帰還せず、トレジャーハンターの数は五人、ランカーパーティであり、生存確認と遺跡の危険度の調査を必要。だってさ」

「このあたりの五人のランカーパーティっていえば……カンガールドッグスか?」

 受付の人は頷き、エナの方を見ていた。

「ノイン、急ごう。場所はここから二日か……」

「今から出ンのか? 構わないが、移動は――」

「ジャクダと荷車は準備してあります、キャンプ地もあるので食料などはこちら側の負担となっています」

 二人は頷き、ディープの方を見た。

「ちょっと遺跡へ行ってくる。多分、七日間くらいかかると思う、ディープはその間は冒険者していてくれ」

「こればかりはトレジャーハンターの自分たちの依頼なンでな、ちょっと行ってくるぜ」

「あ、ああ。気をつけてな」

「余裕だぜ」

「期待してくれ」

 エナとノインは受付の人に案内され、出発していった。

 

 一旦、パーティは解散となったが七日後あたりに戻ってくるみたいなので、それまでは冒険者活動しながらこの世界の「常識」について、知っていこうと思うディープだった。


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