23_遺跡見学 トレジャーハンター2
モンスターを一旦外に集め、火で燃やす前に地下十階へ行くことになった。
「未開の場所って何があるんだ?」
ディープは二人のテンションの高さが気になっていた。
「そりゃ、わからないから楽しみなんだよ」
「手つかずなら、遺物がある。お宝があンだよ、つまりそういうことだ」
さっそくエレベーターに乗り込み地下十階へいくボタンを押す。
地下10階に到着し、扉が開くと一面白い空間となっていた。壁、床、天井が淡く白く光っている不思議な部屋だった。中央には台座が存在しており、三人は警戒しながら部屋の中央へと向かった。
その台座には何も置かれておらず、遺物らしい遺物も見当たらないあたり一面白いただの部屋だった。
「見た所、何もないな」
エナとノインは罠が存在しないか警戒しながらあたりを注意深く見渡し、何か変な箇所はないか探していた。ディープはエレベーターが勝手にとじないのか、気になっていたが上に戻るボタンも壁にあることから警戒心は低めだった。
「こういう場所ってゴーレム的なのが存在するよなぁ」
「やめろ、面倒くさいことを言うンじゃねぇ」
エナが余計な事を言ったが特に何も起きず、台座まで来る。
台座を二人が調べるものの、何も見つからず困惑する。
「まさか避難場所、とか?」
ディープはあり得るかもと思った言葉を口にするものの、エレベーターで来る場所を避難場所として設定するのも何かおかしいと感じたのだった。
エナとノインが台座の周りに何かないか調べていたが、真四角の台座の周りに取っ手やボタンのようなものがないか、触って確かめていたリしていた。
「もしかして、すでに誰かここに来て遺物を回収し終えた後とか?」
ディープは二人が真剣になっているのを見て口に出したのだった。
「いや、それはないな。この部屋に入った形跡がまるでない、あるのはオレたちのモンスターの血がついたり足跡だけだ」
エナはそういうと台座を調べ続け、ノインは壁の方へ行き触れながら何かないか探していた。
そういうものかと、ディープは台座の前に立ち、真っ白な台座の表面に手を置いて撫でてみた。触り心地がつるりとして、不思議な材質だなと思うのだった。
すると四角い台座円形の中央に穴が出現し、ディープの手がその場で固定された。
「なっ!?」
エレベーターへの扉が閉ざされ、やばいと感じるディープは固定された手を引き抜こうとするが台座の空中に固定されていた。すると手には光る中央が穴が開いた円のようなものが現れ、それを握れという思念のようなものが感じたディープだった。
「おい、ディープ大丈夫か!?」
「そこから手を抜け!」
「抜けないんだよ、なんか大丈夫かも?」
ディープは一呼吸し、光った円を手にすると、的を全て壊せと声が脳内に直接命じられた。するとあたり正面に的のようなものがひし形の半透明な板が突然現れ浮遊していた。手は台座から離れ、その淡く光る円で的に当てればこの部屋から出れるのだと直感的にわかるのだった。
「どうやらこれを的に当てればこの部屋から出れるらしい」
「なら、オレたちはあそこで終わるの待ってるぜ」
「そうだな、こういうタイプの遺跡だったとはな」
二人はどこか納得しているのか、安心しきっていた。
「え、もしかしてわかってないのはボクだけ?」
「こういう試練型の遺跡は、クリアすれば出れるし、遺物もゲットできるし楽だよ」
「がンばれよ!」
エナとノインは地面に座り、ディープを応援していた。
ディープは手に持った光る円を使って的を直接当てようと的に近づこうと思うのだが、そういう使い方ではなく投擲武器として使うものだと感じたのだった。
(なんだ? この光る円から使い方が流れ込んでくるような感じがする……)
戸惑いながら、的に対して垂直に円を投げつけるとカーブを描くように飛んでいった。的には横から斬りつけるように当たるとディープはなぜか確信していた。
パリン、という音とともに的は砕け、光る円はそのままディープの元に戻ってきたのですかさずキャッチする。
「おお~」
「やるねぇ!」
ディープの後ろの方でエナとノインがそれぞれ感嘆していた。悪い気がせず、一発で的に当てられた事に誇らしく感じていた。
すると新しく的が現れ、今度は白い床から障害物と思われるものがせり上がり、的がその影に隠れていたリ、難易度が上がったものに変わった。
「まさか、さっきのはチュートリアルだったのか?」
面倒ながらも先ほどと同じように的を当てようと見えている的にめがけて投げ、同じように破壊する。しかし、壊したはずの的が復活し、ディープは一回の投擲で全てを破壊するのがクリア条件だと理解したのだった。
(これは中々、難しいのではないか?)
立体的に障害物があり、障害物を避けて当てなければいけないのかと考え、的の位置を把握するために立っていた場所から移動して確かめる。不思議と的の場所を確かめていくと光る円をどういう風に投げれば、どこにぶつかり、反射し、戻ってくるのか、手に取るようにわかっていった。
その不思議な感覚は違和感はなく、自然に知っていたような感覚で、不快感もなかった。ただ、そういうものかという感覚で満たされていた。それが実際に光る円が持つ遺物の力だとディープは知らずに試練に挑戦したのだった。
今まで遺物の力を間近で見続けてきたエナとノインはニヤニヤとしながらディープが的当てを必死にやっている姿をのんびり見ていた。




