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22_遺跡見学 トレジャーハンター1

 ドクエクトルにげんなりした様子からエナとノインに気分に誘われたのは近くの遺跡見学だった。

 ディープは遺跡とトレジャーハンターが普段何しているのか純粋に気になったので二つ返事で行くことにした。ただ、見学といっても遺跡に巣食っているモンスターの討伐をするといったものだった。

 

「遺跡で見つかる遺物を見つけるだけがトレジャーハンターじゃねぇしな」

「まあ、こういう面倒な依頼を断るトレジャーハンターもいンだが自分たちは優良トレジャーハンターだからな」


 三人は町から一日程はなれた近場の依頼で指定された遺跡に向かうのだった。


+


 ディープは遺跡の実物を見るのははじめてだったので驚きを隠せずにいた。そこで見たのは、ガラス張りの近代的なビルだった。五階建てであり、長方形に伸びたビルだった。

「もうここは調査しつくされているのもあって、めぼしいものはないが……」

「言っちゃなンだが、観光だよなこれ」

「冒険じゃないな」

 二人が笑っていた。

 

 外側はガラス張りとはいえ、割れていたりしていない。埃だらけで廃れているように見えるが、掃除がされていないただのビルにしか見えなかったのだった。

 

「遺跡ってこういうのが多いのか?」


 ディープの遺跡に対するイメージは石やブロックで建造されたイメージだった。だが、荒野の中でぽつんとビルが建っているので違和感しかなかった。

 

「まあ、突然現れるのが遺跡だ。今回はこういう見た目だが、いろんな形のものがあるな」


 三人で見上げると、ガラスが太陽の反射で眩しく感じたのだった。

 

 遺跡の入口は地下駐車場へのスロープから遺跡の中へ入っていくことになった。中は清掃されてないため、汚れており、人の気配よりもモンスターの気配がしていた。

 ディープは遺跡に踏み入り、こういうタイプのものが存在することに驚きを隠せずにいた。遺跡というよりも廃墟だが、建物そのものは劣化されてなく、清掃すれば普通に住めるのではないかと感じたのだった。

 ビル内は明るく、蛍光灯から明かりが照らされていた。どうやって電気を確保しているのか、疑問に思うものの、遺跡そのものが突然現れるのか気になっていた。

 

「なんで電気が通ってるんだ?」

「電気? この明かりの事か? さぁ?」

 エナはノインの方を向き、何か知ってるかと促すが、ノインは肩をすくめるだけだった。

「そンな事よりも油断するな、ジャッカル型のモンスターだ」

 

 地下駐車場スペースにはモンスターが住み着いていた。すでにディープたちが近くに来たことを臭いでわかっていたのか、スロープで降りた先に六匹のジャッカル型のモンスターが待ち構えていた。

 

「背中に黒い毛皮っぽいところは注意しろ、あそこから刃が出てくる個体もある」

 エナは心創剣(しんそうけん)を召喚し、両手に一振りずつ構えた。

「ジャッカルナイフ、数は六」

 ノインがつぶやき、ディープは腰の剣を抜く。

 

 唸り声をしていたジャッカルナイフは一斉に走り、ディープたちを襲ってきた。

 

 エナは手慣れているのか、一人で突っ込んでとびかかってくるジャッカルナイフの一匹を剣で薙ぎ、すかさず二匹目も斬る。

 ディープはまたか先を越されたと思いながらも、同じようにジャッカルナイフを屠っていくのだった。

 

 討伐依頼の遺跡に巣くうモンスターを三人で難なく討伐していき、死骸を遺跡の外に運び、一か所に集め燃やす事にした。

「内部を探索して、ジャッカルナイフが他にいるか確認してからにするか、それともまとめて燃やすか……」

「血の臭いで他のモンスターがやってくる可能性はあンだろうが、まとめての方が楽だろ」

「内部を探索しながら、モンスター狩り終えてからにしよう」

 ディープはこの遺跡に慣れてない事もあって、モンスターをすべて狩り終えてからの方がゆっくりと見学できると思ったからだった。

 

 エナとノインに内部を案内されながら、地下駐車場から階段を上り、上の階へと上がり、一階ずつモンスターの討伐をしていった。ジャッカルナイフを一匹倒すごとに上の階から援軍のように現れた。

 

「どうやら今ので全てだな」

「ノインがそう言うのなら間違いなさそうだ」

「ここにはもう遺物とかもうないのか?」

「発見されてから大分時間が経ってるからな、ここの遺物は根こそぎ運び出されてるぜ」


 ディープはビルの内部はがらんとしている理由を知り、納得したのだった。だがその割には壁や天井などは傷がついておらず、気になったのだった。

 

「遺跡そのものは壊れないからな、壁や元から遺跡についてるものは取れないんだよな」

「この場所は町の一部に取り入れようと開発が進んでるが、何年かかるやら」


 ディープはその話を聞き、町の発展もこの遺跡に向かった整備されていたのを思い出したのだった。

 そのあと建物の中に巣くっていたモンスターの死体を見る。

「これ、外に運び出さないといけないんだよな……」

「ディープなら一刺しか、そこまで傷をつけずに倒すから楽だろ」

 モンスターが巣くっていたが、排泄物などは遺跡内には存在しなかったのが救いかと思ったのだった。

 あらかた探索とモンスターの排除が終わった事で死体を外に運ぶために、出ようとするがディープはエレベーターが稼働していることに違和感を感じて、二人になぜ使わないのか聞いた。

 二人とも首を傾げた。

「それが何か知っているのか?」

 エナから聞かれエレベーターだと答えるも理解を示さなかった。

 誰もボタンに触れなかったのか、と疑問に思うものの、ディープはボタンを押す。最上階からモンスターの死体を外に出すのは面倒というのもあり、エレベーターを使えば楽だと考えたからだ。

 

 程なくしてエレベーターがやってきて、扉が開かれると何かいるのかもしれないと警戒したが何もなく、ディープはエレベーターに乗る。二人は大丈夫かと心配するものの、大丈夫だろと返した。

 

 何往復かし、モンスターを遺跡から放り出し、片付けをし終える。

 

「このB10Fって書かれてるが、この遺跡の地下に何かあるっぽいけれど、行った事あるか?」

 

 エナとノインにそれを伝えると遺跡の未開地だとはしゃいでいた。

「お手柄だぜ!」

「手つかずのはずだ、じゃなかったら……このエレベーターというのも依頼書に書かれているはずだしな」

 二人はまだ誰も行ってない場所にワクワクしていた。



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