三女スクルドの専門用語解説VOL.4
わっはっはっはっはっは!
壮健であるかーみなのもの! うむ、余はばりばり元気じゃぞ! む? その手に持ってるものはじゃと? これはまんじゅうじゃ、こないだの献上品の中にあったやつでの。
知っておったか? 実はこのような和菓子は太りにくいらしいぞ。うむうむ、意外だろう。だがこれで余もウルズ姉に睨まれずに済むというわけだ。はぐっ。んー、うまうま。やはり甘い物は至高であるな!
うむ! 気分も上がったところで、早速いつもの解説いっちゃおうかの!
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【レギンレイヴ】
エインヘル騎士団の本隊ブリュンヒルデの内の一隊にして、ヒイロが所属しておる小隊じゃな。ブリュンヒルデ部門の小隊にはどれも古の戦女神の名が付けられており、レギンレイヴもそのひとつ。レギンレイヴには「神々の残されたもの」を意味するそうだの。ふーむ、なんだか意味深であるな。
【魔女ユリン】
約五百年前に台頭し、アスガルダムを建国した英雄王シグムント。そやつトと共に戦場を駆け、シグムントの栄冠を支えたと言われる四人の英雄騎士の一人がユリンという人物じゃった。紅焔の乙女と呼ばれるほどの赤魔術の遣い手であったようなのだが、シグムントに反旗を翻し、その後に王自らの手によって処刑された反逆者であるらしいぞ。故に現代のアスガルダムでは【裏切りの魔女】と呼ばれ、忌まれておる。
じゃが、王座にまで支え導いた仲間の一人であるユリンが、どうして英雄王を裏切ったのか。むう、気になるの。
【赤の魔素消失事変】
二十年程前にアスガルダムを中心に発生した大異変の名称じゃな。四原色の赤の魔素のみが消失した影響により、アスガルダム周辺から地方にかけて様々な二次的災害が巻き起こった。それにより多くの被害を出してしまい、国民の不満が蓄積され、やがて『魔女狩り』という集団ヒステリーにまで及んだ。当代のアスガルダム王によって事態の対応が急がれた影響により早期に終息したが、この『魔女狩り』の排他的概念が未だ根深く残ってる地方もあるそうだな。
【魔獣リィキンファクシ】
ジオーサ編にて登場した、白い馬の魔獣だの。首元に襟巻トカゲのような傘があり、その傘は孔雀の羽のような模様になっておる面妖なヤツよ。じゃがこやつは首の傘に白く光る魔素を充填し、ビームとして発射することが出来るのだ! うーむ、格好いいの⋯⋯ヒイロがシリアスモードじゃなければ絶対羨ましがっとる場面だろうて。しかも虚仮威しなどではなく、並の魔獣では触れることも叶わぬエエカトルの結界にさえ、穴を開ける程の威力。とんでもないの!
ちなみに時間をかけて充填せずとも、威力は落ちるが光線は放てるらしいぞ。おかげでかのシドウも中々に隙を見つけられず、相当に手を焼いておったな。結果シドウめが撃ち倒したが、手強い魔獣の一匹であることに間違いあるまい。
【魔獣ヒキィムファクシ】
ジオーサ編に登場した、黒い馬の魔獣だの。その体表は魚の鱗に覆われており、鱗の裏から泥の様な汗を流す特性を持っておる。さらに泥汗は魔素を帯びており、弾丸の様に飛ばしたり、掻き集めて盾にも矛にも出来る上、ヒキィムファクシから離れても数秒間内であれば操作も可能なのだ。おまけに泥汗はヒキィムファクシの体内で過剰なまでに生成されておるから、魔素切れは起こらぬ。闘うのであれば長期戦はまず避けるべきだの。
泥汗はこの魔獣にとっての血液の様なものであるので、例えばヒイロがやった様に外側から力尽くで蓋をしたり、強力な凍結魔術で泥汗の循環を狂わせたりなど、攻略法も分かりやすい。だが対処法が確立できぬのであれば非常に厄介な魔獣といえよう。
◆◇【魔術コーナー】◆◇
さてさて今章はリャムという魔術使いも新たに加わり、更に色んな魔術が明らかとなったの。どばーっと紹介していくぞ!
・青
【マーメイドの告白】
〈詠唱文〉
『届け、届け、銀のうたかた。
叶わぬ想いを、せめて塞いで』
なんだか凄くセンチメンタルな詠唱文であるが、『治癒能力』に優れた青の中級魔術なのだぞ。触媒である銀色のストローから吹かれた銀色に輝くシャボン玉が、治癒したい箇所に張り付き、膜で覆い治癒する。場の魔素比率が青に傾いておれば重傷者さえ時間をかけて治せる便利な魔術なのだ。
【ウェンディゴの囁き】
〈詠唱文〉
『凍れ、凍れ、白銀に。
ゆるれり凍れ、刹那に留まれ』
始点となる指先から地続きに凍りつかせていく、青の中級魔術であるな。要は触ったところからカチコチに凍らせる訳だが、その範囲や凍度は場の魔素比率は勿論、術者の技量によって変化する。その点、あっという間に広範囲を凍りつかせたリャムの実力の高さが伺えるものよ。ちなみに凍りつかせた後、そやつらをまとめて粉砕玉砕大ゲフンゲフンする『アイシクルブレイク』なる姉妹合体技もあるらしいぞ! うむ、ロマンだの!
触媒は青く染色した羊皮紙であり、始点となる触媒または指先に口付けるとより威力と精度が増すぞ。うむ、あざといの!
・緑
【ハオカーの招雷】
〈詠唱文〉
『叩け、叩け、雷鼓の芯。
咲けや咲けよや、緑の雷花』
指定した対象の頭上に魔法陣をまたたく間に展開し、エメラルド色の稲妻を落とす緑の中級魔術である。
触媒は何らかの『炸裂音』や『打撃音』と中級魔術の中でもお手軽だの。故に緑の魔術師から多用されておる人気魔術なのだぞ!
【エエカトルの神殿】
〈詠唱文〉
「『飾れ、飾れ、南北双面。
神の抱擁、妨げる事なきように』」
ある地点を中心にドーム状の風の結界を展開する緑の中級魔術だの! だがこの魔術は中級でありながら扱いが高度であり、触媒無しで使用した場合は展開範囲も防衛性能もかなり低い。代わりに万全を期して発動させれば並の魔獣では触れることも叶わぬ結界と化すので、拠点防衛などで用いられる事が多いぞ!
触媒は仮面であり、ドームの南北相反地点にそれぞれ仮面を置くことで真価を発揮する。面妖な仮面だが、余はちょっと被ってみたかったりするぞ!
・黄色
【ノームの鼻】
〈詠唱文〉
『芽吹け、芽吹け、遥かへ伸びろ』
地面から岩盤を隆起させ、相手を穿つ黄色の下級魔術であるな。単純に攻撃するもよし、突如相手の目の前に岩を伸ばして目眩ましにするもよし。威力自体は下級故に低いが、使い方に幅があるのが術者の腕の見せ所よな!
触媒は踵で大地を二回叩くこと。いわゆるノックのようだの。礼儀正しくてなによりであるぞ!
【シルキーの献身】
〈詠唱文〉
『はやく、はやく、お帰りなさい。
貴方の家に。私の胸に』
指定した対象を自分の所へとぎゅーんっと引っ張る黄色の中級魔術だぞ。黄属性の持つ引力という面に特化した魔術で、作中にもあった通り主に危機からの緊急回避策として使う事がメジャーかの。ただ対象と自分の位置が遠すぎては発動せぬから範囲を常に把握せねばいかんし、引く力がかなり強いから急に使われるとめちゃくちゃ怖いのだぞ!
触媒は白いエプロンを纏い、竹箒で足元に魔法陣を描くこと。これにより誘引出来る相手との範囲距離が更に広がるの。ううむ、便利な術だがちょっぴりヤンデレ味を感じるのは余の気のせいであろうか。
◆◇◆◇◆◇
よーし、こんなところであるか。うーむ、今回も見所盛り沢山であったのー。
しかし、憧の境遇がよもやあれほどまでに過酷だったとは。自ら地獄へと進んでしまった感は否めないが、それだけに幼少期にあんな体験をすれば平凡健常といかぬのが自然であるか。
うむ、今まで以上にシリアスなパートなだけあって、余も色々と考えさせられた。考えすぎて疲れたぞ。これは急速に甘味を爆食いせねばならぬなぁ、わっはっは!!
では皆のもの、さらばだ!!
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