3話
「じーさん、今帰った」
少女は診療所に戻るなりいろいろなビンを取り出した。
奥では、60歳ぐらいの男の人が診察をしていた。
(そういやここ初めて来たな)
アドルフはそんなことを考えながら少女を見ていた。すると少女の姿が一人の女性の姿とがぶった。
「あんたはそこらへんに腰かけていてくれ」
「あ、ああ」
アドルフははっとして近くにあった椅子に座った。
いくつかのビンを机の上に置くとアドルフの前に椅子を持ってきて自分も座った。
「んじゃ、服脱いで傷口見せてくれ」
アドルフは言われた通り服を脱いで包帯を外した。包帯を外すとまだ血が止まりきっていないのか少し血が流れてきた。
「随分と深く刺されたんだな。位置的にはらわたは問題ないだろうが完治まで少し時間がかがるな」
そういうと机の方へ向かい薬の調合を始めた。
(なかなか手際がいいな)
少女の調合技術に関心しているうちに調合を終えて戻ってきた。調合した薬を傷口に塗った。
「っ!」
「痛いか?少し我慢な」
「君女の子なんだから、もう少し優しい言葉を」
「あ?」
「何でもないです」
そんな会話をしていると診療所のドアが勢いよく開いた。
「コハクちゃん!診察して!」
「帰れ」
3人の若い男が同時に入ってきた。
(見ずに言いやがった)
「そんなこと言わずにさー、ん?そこの男は?」
男たちがアドルフのほうを見る。
「ま、まさかコハクちゃんの、か…」
「あたしの患者だ」
真ん中の男が口元を押さえて言おうとした言葉を途中で遮ってコハクと呼ばれた少女がそういった。
「患者がいるんだから静かにしろ。あと用がない奴は帰れ」
「コハクちゃんと話をするという用が」
「帰れ、ここは診療所だ」
コハクはこの間ずっと傷口だけを見ていた。
コハクの様子から今日は構ってもらえないだろうと思ったのか男たちはすごすごと帰っていった。
「君、コハクっていうんだな。」
「そういやまだ名乗ってなかったけか。」
「意外と不自由しないもんだな」
「ちなみにあんたは?」
「ああ、俺はアドルフだ。ところでいつもああなのか?」
コハクは少し顔をしかめつついった。
「ほぼ毎日な。患者の邪魔だから来るなって言ってるのに。あいつらはここを何だと思っているんだか」
薬を塗り終えて傷口に手ぬぐいを当ててその上から包帯を巻く。さっきまでのぐるぐる巻きとは違いきれいに巻かれている。
「ほい、おしまい。傷が開くかもしれないからあんまり激しい動きはするなよ」
「できればそうするよ。お代は?」
コハクは少し考えるような素振りを見せて、
「あんた、薬草の知識があるんだよな?」
「ん?まあ、少しはな」
「あれ知ってて少しかよ。んじゃ、お代はいいや。」
「はあ?」
アドルフが驚いて聞き返した。
「お代がいらないってどうゆうことだよ」
「別にただにするわけじゃない。明日空いてるか?」
「外の見回り」
「んじゃ、明日、薬草取り手伝ってくれ」
「いやだから見回りが」
「薬草摘むのも外だからいけるだろ。手伝ってくれたらそれでちゃら」
おいおいと思いつつまあそれくらいならいいだろとその案に乗っかった。あの薬草結構高いから助かった。
「じゃあ、明日な」
そういってアドルフは診療所を後にした。
翌朝
アドルフは見回りのためにいつも通りに町の外に出た。
「おい、お前」
横から突然聞き覚えのある声で呼ばれた。呼ばれたほうに顔を向けてみると金髪の少女が立っていた。
「おい、こっちだこっち」
アドルフはなぜ呼ばれているのかと少し考えたて、昨日の約束を思い出した。
(そういえば薬草採るの手伝うんだっけ)
アドルフはコハクの後についていった。
「今日はここら辺にするか」
コハクはそう言いながら籠を二つ地面に置いた。
「お前こっち使え」
「え?」
アドルフはつい素っ頓狂な声をあげてしまった。それも仕方がないことでアドルフに渡された籠はコハクの物よりも3倍近く大きかった。
「コハクさん?何でこんなに大きいんですか?」
答えは大体わかっていたが一応聞いてみた。
「お前のほうが力あるんだからそれくらい持てるだろ?あ、あとそれいっぱいになるまで帰さねえから。治療費払うなら別だけど」
コハクはこちらを見ずにそういった。
(もしかしてこっちのほうが高いんじゃ)
アドルフはそんなことを考えたが実際いくらかわからないし金を払わなくていいならそれでいいかと考えて採取に入った。
採取は昼過ぎに終わった。満杯になったかごを見てアドルフは息をついた。
(ここら辺いろんな薬草があるんだな)
ここら辺には薬に使えるものが多く生えていた。もっとも、それ以外のやつはさらに多かったが。
「よし、終わったな。それ私の診療所まで持ってきてくれ。」
コハクはそういうと自分の分の籠をもって歩き出した。
「ちょっとまて、俺はこれから見回りが…」
あるんだけどと言いかけて口をつぐんだ。コハクがこちらを振り返って笑った。ただその笑顔にアドルフは寒気を覚えたからだ。
「しっかしお前かなりの数の薬草知ってるんだな。下手したらじーさんより詳しいんじゃないか」
「いやそれはないだろ。現役の医者には勝てないって。」
「そうか?似たような草があるのに間違えないしここら辺の薬草は大体わかってたみたいだし。親が薬師だからってそこまでわかるようになるのか?」
「毎日のように採取に連れていかれてたからな。それで身についたんだろ。」
「じゃあ何で薬師にならなかったんだ?」
「父親が男なら騎士になれ!って言って聞かなくてな」
「それで修道騎士か。なあいまお前の家族は?」
「」
アドルフは黙り込んでしまった。思い出すのはあの日の夜。
「あ、悪い。嫌なこと聞いたな」
雰囲気から感じ取ったコハクがそういった。
「別に構わないよ。もう昔のことだ」
「そうか、ならいいが」
二人が町に入ったとき二人の前に人影が現れた。




