プロローグ
「フンフフンフ~ン♪」
どこか調子はずれな歌を歌いながら歩く僕、銀零 蒼鏤。虹刻学園高等部をつい最近卒業したばかり。
4月からは同じ虹刻学園の大学部情報専門科IS専攻に進学予定。今のご時世、大事なことだからね……
え、なんかすごい機嫌よさそうだって? わかっちゃった?
最近、とっても面白いネット小説見つけたからなんだよねぇ~。名前は出せないけど、異世界系の話で光の龍とか闇の龍とか出てくるんだ! 僕、ドラゴンとか大好き……! あとアレも面白かったなぁ~、猫親子の話! 最近のお気に入りはこの話かなぁ。
やっぱり、異世界っていい響き。凄く大変だろうけど、面白そうだよね。テイマーとか魔法使いとか。勇者は……まともな奴は好き。ネジ抜けててなんかぶっ飛んでる系は大っ嫌い。消えればいいと思う。
そんな事を考えながら歩いていると、どこからともなく声が聞こえてきた。
――転生の事を知っているのか ならばなってもらおう……当事者に
「……ん? 何か聞こえたような……」
歩きながら首をかしげていると、急に足元がぱぁぁっと輝きだした。
気のせい……じゃないね。何この足元のやつ。なんか、見るからに魔法陣に見えるんだけど。え、ナニコレ嫌がらせ? グラサン下さい。クッソ眩しい。
えぇ、嫌な予感しかしないし。ちょっと待ってこれなんてファンタジーな話??
「……僕思うんだけどさ。こういうのは物語の中だけでいいって。せめてゲーム」
足元を見て、盛大な溜息を吐いた後……僕はその場から姿を消した。
強制転移から始まる壮大な冒険物語……なんて話は見る専で。
とりあえず、こんなふざけた真似した奴は一発ぶん殴る。否定意見は聞きません。確定事項です。