ある日の歩道橋
ここから主人公視点です。
「ゔー、寒い。間に合わないぃ〜っ!」
ちらほらと雪が舞う中、駆け足で走る。
あと3分で終電を逃してしまう。
コンビニで肉まんなんて買うんじゃなかったわ。
でも明日1限小テストあるから、帰れないとまずい。
必修で単位落とすとか あり得ない!
バイト先の送迎会で帰りが遅くなった私は、とにかく焦っていた。
急いで駅に繋がった歩道橋を駈け上がり、あと少しで着くという所で、雪が溶けて滑りやすくなった階段を踏み外してしまったのだ。
「――あっ、やば」
落ちるっ!
肉まんから手を離さなかった、私は相当食い意地はってると思う。
――あぁ、これが走馬灯かしら。
明日、テスト終わりに茜と限定ケーキ食べに行く予定だったのになぁ。
あと兄さんから借りた参考書、
大学のロッカー入れっぱだし、
お母さんが送ってくれた野菜も、まだ整理してない。
来月公開の映画も前売買ったのになぁ。
ん?
来月と言えば、私ネットで
「グランディア学園〜エンディングのその後♪〜」
頼んだ気が、、、。
え、死後 自宅に届く感じ?
やばくない?
私が乙女ゲームやってるの、茜しか知らないよ?
一応明るい優等生キャラで通ってるんだけど。
しかも前作の
「グランディア学園 秘密の花園♡」で、
すでに糖度100%だったから、
アフターストーリーなんて糖度120%は堅いね。
イチャコラゲームを家族に見られるなんてっ!
それだけじゃないわ!
一人暮らしに浮かれて、
本棚には参考書に隠れた同人誌がびっしり。
兄さんの冷たい瞳が目に浮かぶわー。
どうすっかなぁー。
茜が上手いこと回収してくれないかなー。
無理だよねー。
こりゃ死ねないわ。
「だって 同人誌にR指定あるものー!」