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招待状


――コンコン


「お嬢様、入りますよ。」


わっ、アル⁈

何で今日はマリーじゃないのぉ〜


「…どうぞ。」




「おはようございます、お嬢様。

朝食の準備が整いました。」


「ありがとう。」

良かった。

いつも通りのアルだわ。

昨日は色々ありすぎて、疲れてたのね。きっと。

でなきゃ、私が天使に色気を感じるなんて、

あり得ないもの。


「先に行ってますので、お召し替えになられたら

いらして下さい。旦那様と奥様はお揃いですよ。」


「あらもう?

すぐ行くわ!」


――――


――


アルが用意してくれたお部屋用ドレスに着替え、

急いでダイニングへ向かう。


「パパ、ママ。

おはようございます!」


「おはよう、私のかわいいソフィア。」


「おはよう、ソフィー。」


そういえば昨日、王宮の料理食べ損ねちゃった。

今日の朝ごはんは何かしら。


きのこのオムレツに、じゃがいもスープ、パン。


やった、

料理長のオムレツはふわとろで絶品なのよね〜!



「お食事中失礼します!」


珍しくバートンが慌てている。

レアだ。


「どうした。」


「旦那様、これを―――。」


スッとパパに封筒を差し出す。


「――‼︎ これはっ!」


「今しがた、王宮より早馬で届けられました。」


こくりと深妙な面持ちで頷くバートン。


ヤバイものなの?


「あなた、どうしたの?」


「……ソフィア宛に王宮から手紙が届いた。」


はいっ⁉︎


「まあっ!」


「この封蝋は王妃様のものだ…ふむ。」


パパはペーパーナイフで封筒を開け、中を確認する。

入っていたメッセージカードを読み、

苦虫を噛み潰したような顔をした。



「パパ、何が書いてあるの?」

心臓に悪いからやめて。

ゲーム始まる前から終わっちゃったらどうするの!


「…―――ぅだ。」


「あなた?」


「招待状だ。ソフィアを王妃様の茶会に招きたいらしい。」


「そんな、どうしてうちのソフィーが…

やっぱり昨日の?」


嘘だ、誰か嘘だと言って。

逆に昨日のパーティー以外だったら、

ビックリだわ。


「分からない。だがそれ以外考えられない。

しかも殿下と殿下の親しい者だけを集めた、

プライベートなものらしい。」


終わった。


「パパ、断る事って?」


「不可だ。招待という名の強制だ。」


ですよねー


「しかし困ったな。

1人従者を伴って良いと書かれているが、

この日はバートンもマリーも、

客人の世話をしてもらう予定なんだが……」


「いつですの?あなた。」


「3日後だ。」


急。すごく急。

準備もあったもんじゃない。

ていうか着て行くドレスって、

昨日のパーティー以外だと普通のしか……

あ、パパとトルソーがフリフリのドレスも作ってたわ。

着たくないのよねー。


「あの、旦那様!

僕が一緒に参ります!」


「アルっ?」

嬉しいけど、王宮なんて魔の巣窟よ?

変態貴族に目を付けられたら、どうするの!


「アルか、まだ君は12歳だったな。

――――バートン、任せられるか?」


「私かマリーが適任かと思いますが、

他の使用人となると、お嬢様と親しい者はアダルベルトしかおりません。

まだ未熟ですが、知らない者よりも

彼の方がお嬢様も安心するかと。」


「だが、不測の事態が起こったら、

アルに対処出来るのか?」


「アダルベルト、出来るか?」

バートンの鋭い視線がアルを貫く。


「っ、上手く対処するのは難しいかもしれません。

ですが、その時はぼくの首を置いていきます。」


嘘でしょ、アル。

なんて物騒な事を言うの?


「そうか。君は本当にソフィアを大事に思ってくれているんだな。」


「はい!」


「流石バートンの息子だ。」


「はっ、恐縮です。」


「良いだろう、アル。ソフィアをよろしく。」


「必ず、お守り致します!」


キュッと眉を寄せて凛々しく見せようとしてるけど、

尻尾が振り切ってるわ!

かわいい!

大丈夫よ!私がアルを守ってあげるから!


「アル、よろしくね。

私から離れちゃダメよ?」

でなきゃ変態共から守れないわ。


「お嬢様っ!はい、1歩も離れません!」


ブンブン


「ソフィアはアルが大好きだね。

パパ、妬けちゃうな。」


「はぁ、アダルベルト。

浮かれてないで、気を引き締めなさい。」


パパとバートンが呆れていたようだけど、

私もアルもお互いしか見えていなかったから、

気付かなかった。


仕方ないよね。

だって天使(アル)だもん。




―――――――


――――



明後日のお茶会に向けて準備は着々と進んでいく。

ドレスはやっぱりフリフリのやつになった。

デザインが可愛すぎるのよね。

幼く見えちゃうわ。


「ねぇ、マリー。

何かお土産って持って行くべきかしら?」

菓子折り的な。


「お土産、ですか?

そうですねー、奥様とバートンさんに相談しましょうか。」


10年間、毎日私の髪をとかし続けるマリーは、

たった1本のブラシで艶々に仕上げてくれる。

まるで魔法だわ!


「そうね。

うん、今日もありがとう。

マリーのおかげで切れ毛知らずよ。」


「まあ、そんな。

お嬢様の髪が、シルクのように滑らかだからですわ。」


「ふふっ、ありがとう。」

――そうだ!ヘアオイルなんてどうかしら?

貴族の女性って髪長い人ばっかりだし、

つけてもオリーブ油くらいよね。


「マリー!ヘアオイルはどう?」


「ヘアオイル……髪用のオリーブ油の事ですか?」


「違うわ。髪専用に配合したトリートメントオイルよ!」


「はぁ……?」


ピンと来ないか。

ヘアオイルはすごいのよ。

艶々のサラサラなんだから。


「材料さえ揃えば、すぐ作れるわ。

出来たらマリーにあげる!」

だから協力して欲しいの、お願いっ。


「と言われましても、私は何をすれば?」


「今から言うものを集めてきて。

完成したら、艶々のサラッサラよ!」


「艶々のサラッサラ………」

効いてる効いてる。


「そうよ!私の髪なんて目じゃないわ!」


「お嬢様より、艶々な髪にっ。

分かりました!マリーにお任せ下さいましっ!」

そうこなくっちゃ!


「ありがとう!

まずはお庭に咲いてる、ピンクの薔薇をカゴいっぱいに持ってきて。あとゼラニウムも。

それからアルを呼んでちょうだい。」

急いで取りかからなくちゃ!


「かしこまりましたっ。」





「お嬢様、いかがされましたか。」


「アル、待っていたわ。

お願いがあるの!」


「お願い、ですか。」


きょとん、としたアルもかわいい!


「厨房でこれくらいの要らない鍋と小さい鍋。

透明な空ボトルを大小何本か貰ってきて。

あとは、カロン先生からビーカーとマドラー、ロートと薬さじを2つずつ。

半透明のシリコンチューブ……いえ、管を借りて。

それから、誰かにこのメモを渡して、オイル専門店に使いをやって。未精製のものが良いわ。

お願い出来る?」


「すぐに。ですが何をされるのですか?」


「出来てからのお楽しみよ!

アルにも手伝ってもらうわ。」


「かしこまりました!」


ふむ、何とかなりそうね。

オイル屋さんに、椿油かアルガンオイルがあればだけど。



――――30分後


「「お嬢様、ただ今戻りました!」」


2人とも仕事が早い。

ステキっ。


「ありがとう。

じゃあ、薔薇の花びらだけを

このお鍋に入れて。3人でやればすぐよ。」

3人で黙々と花びらをちぎっていく。

あんなにたくさんあった薔薇も、

10分で花びらだけになった。

うーん、良い香り。


「次はこのお鍋を持って厨房に行きましょう。

あとは部屋でやるから、このまま置いといて。」




「おや、お嬢様どうされました?」


「ああ、料理長。

お鍋ありがとう。

少し火を貸して欲しいの。」


「それは構いませんが、料理されるんですか?」


貴族の令嬢が厨房使わせろなんて

ビックリよね。

でも安心して、料理はまだしないわ!


「ううん、このお鍋で薔薇を煮出すの。」


「「「薔薇っ⁉︎」」」


おっと、驚かせてしまったようね。


「飲むわけじゃないから大丈夫よ。

まあ、飲んでも良いらしいけど……」


たしか口臭にもローズウォーターは有効だったはず。


「ま、とにかく勝手にやるから

気にしないで、作業続けて?」

邪魔している私が言うのもアレだけど。





「良し、出来たわ。」

すっごく良い香り!


「うわあっ、お嬢様

とても良い香りが漂ってますぅ!」


そうでしょ?マリーも気に入ったみたいね。


「部屋に戻るわよ。

アル、重いけど持って上がれる?」


「お任せ下さい。」


ひょいっと軽々持ち上げてしまった。

意外、力持ちだったんだ。

そんなアルもステキ!




「次は何をするんですか?」


ふふん、簡易蒸留器でゼラニウムを抽出します。


「アルコールランプを点けて、

この上にお鍋、その中にゼラニウムの花と葉を入れるの。

時間が経てば、この管を通ってこっちの瓶に

抽出された水とオイルがとれるわ。」


「まぁ、そんな事が!」


「ええ、だから少しお茶でもしましょうか。

アル、オイルのお使いはまだかしら?」


「そろそろ戻る頃かと。

お茶の準備して参りますね。」


一応メモに特徴と効能書いたけど、

お店の人、分かってくれたかしら。


「ありがとう。

ティーカップとお菓子は3人分お願いね。」


「かしこまりました。」



さて、ゆっくり待つとしますか。




手作りヘアオイルについてですが、

必要な工程を思いっきり端折ってます。


ゼラニウムの主な蒸留法は水蒸気蒸留法ですが、

手作り装置の場合、お鍋の蓋に穴開けたり、

シリコンチューブを固定したりと大変です。

ちゃんと作れないと蒸留失敗します。


ローズウォーターは今回、センチフォリアローズを想定して書きました。

美容成分を高く抽出出来る(ウォーターの場合)のと、手軽な為、煮出す方法を選びました。


また、ビーカーや瓶の煮沸消毒なども端折ってます!

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