デビュタント⑤
すみません、アルは間に合いませんでした。
明日は必ず…
「本年、10歳を迎えられた、あるいはこれから迎える諸君。そして当主の皆様方、おめでとうございます。
――では、これよりOrigo Caerimoniaを開催します!」
―――ワァッ‼︎
宰相の挨拶で、パーティーが始まった。
原作がスタートする5年後では、
もっと老けてげっそりしていたような。
人って5年で変わるのね…
ツライ。
「グランディア王国 国王オッタル・ヴァン・グランディア陛下、王妃フレイヤ・グランディア様、第1王子アレン・ヴァン・グランディア殿下のご入場です。 」
――――パチパチパチパチ‼︎
「見て、ソフィア。アレンの顔っ。」
小さく笑いながら目で促すリオン。
「わぁ、すごい無愛想。」
すごい!皆様輝いていらっしゃいますわ!
「ソフィア、心の声が漏れてるよっ。」
「おっと、失礼。」
用意した賛辞と素直な感想が逆になってしまったわ。
危ない危ない。
ふぅー。
「…いや、アウトだと思う。」
苦笑いを浮かべながら諭してくる。
この短時間で私の性格を理解するとは流石ね。
「何のことかしら?おほほっ。」
「おほほって、ソフィア。
猫は被らなくていいの?」
「あら、家出したみたいよ?」
「そういうものなの?」
「ええ。元はと言えば、リオンのせいよ。」
私は目立たず、ひっそりパーティーを
終えたかったのに!
「うーん、ごめんね?」
「無事、この日を迎えられた事嬉しく思う。
ここに集まった君達が、これからこの国を支えてくれると期待している。
おめでとう!
――さて、めでたい事に、我が息子アレンも10歳を迎えた。
せっかくだ、皆に紹介したい!」
アレン王子が陛下にポンと肩を叩かれて前に出された。
うわー、かわいそ。
「グランディア王国 第1王子アレン・ヴァン・グランディアだ。
まだ周りの助けがなければ、動けない事ばかりだが、今日この場に居る皆と共に成長し、国を支えていきたい。」
――国王陛下バンザイ!アレン殿下バンザイ!
すごい盛り上がり!
でも随分殊勝な挨拶ね。
てっきり、俺は王子だ!ぐらいかと思ったのに。
やっぱり王族って大変みたい。
でもこれで反応は別れたわ。
とても優しい、操りやすそうな王子と思って近づく者と。
将来有望な、ただし毒ともなり得る王子だと見抜いて距離を置く者か。
パパと大公様はどちらかしら。
多分、後者かな?
――――――
――――
「ところで、アレン。
宰相から聞いたぞ、随分目立っていたようだな。
どこかの令嬢と。」
ニヤニヤとアレンに問うオッタル。
「ええ、まあ。
少し失礼な態度を取ってしまって、詫びを。」
「ほう、お前が非があると認めるのは珍しいな。
どこのご令嬢だ?」
意外そうに目を開くオッタルは、父の顔をしていた。
「…少し、毛色の違う猫が居ただけです。
それ以上はありません。」
アレンは少し緊張した面持ちで答える。
「そうかそうか、猫…ねぇ?」
どうやら息子をからかいたくて仕方ないらしい。
「陛下、アレン。その辺になさって。
式が始まりますわ。」
「はい、母上。」
「うむ、そうだな。……ああ、アレン。
ソフィア・マクロレンス嬢には気を付けなさい
アダム・マクロレンスは恐い男だぞ。」
アレンを振り返る事なく、国王、王妃は進んで行く。
「ちっ。だから言いたくなかったんだ。」
―――――
―――
きゅっ
「ねぇ、ソフィア…」
「なぁに、リオン。」
私のドレスの裾をきゅっと握った、リオン。
安定のかわいさよ!
「…ごめん。アレン、思ったよりソフィアの事、
気に入っちゃったみたい。」
「――へ?」
リオンにつられて前を向くと、
王子と目が合った。
ぇ、なに⁈
"そこに居ろ"
「そこにいろ?」
口パクじゃ分からない。
〜♪♪♪
優雅なワルツが流れる、、
「さあ、皆様!家族と踊るも良し、友人と踊るも良し。
――――素敵な時間をお過ごし下さい。」
宰相のアナウンスで、会場が色めき立つ。
ちょ、ちょっと待って。
自意識過剰じゃなければ、
王子こっちに歩いて来るんだけど。
周りの人もモーゼみたく、道開けなくて良いから!
「ソフィア、諦めて。」
「リ、リオンっ!たすけ…」
―――ザワッ
「ソフィア嬢、1曲踊って欲しい。」
「………りお、」
「俺と踊って欲しい。」
「よ、よろこんで〜」
居酒屋みたいな返事になっちゃった。
いや、それどころではない!
「ありがとう。」
「――――っ」
笑っただと!
しかも今日初めて見る、優しい笑顔。
くうっ、助けてアル!
「さぁ、行こう。」
スッと私の手を取り中心へエスコートしてくれる王子。
イケメン、、じゃなくて、
中心はいかん。
端っこで踊りましょ?
「殿下?私、その…
このような場で踊るのは初めてでして、
なるべく目立たないようにしたいのですが。」
切実なんです。
「俺もだ。
かと言って王族が隅で踊るわけにはいかない。
大丈夫だ、手ほどきは受けているし、
フォローもするから俺に委ねておけば良い。」
いや全く安心出来ないんですが。
そもそも、貴方と踊るのが嫌なんですー!
とは口が裂けても言えないから、困った。
「そ、そうですか。
ではお願い致します。」
「ああ。」
式の名前ですが、造語です。
ラテン語を引っ付けました。




