デビュタント②
「父さんっ…」
「来たか、リオン。ご挨拶しなさい。」
えっっ‼︎
めっちゃ美少年!
儚げな雰囲気も良いっ!
コレがどうやったらナンパ男になるのよっ。
「はい。初めましてマクロレンス辺境伯、
リオン・コンラッドにございます。
将軍はお久しぶりですね。」
くっ、かわいい。
私のアルには敵わないけど、
貢ぎたくなるタイプだわっ。
「初めまして、リオン殿。
知っていてくれたなんて光栄だな。
私にも、君と同い年の娘がいるんだ。
…ソフィア。」
もぉ〜、余計な事しないでよ!
「初めまして、リオン様。
ソフィア・マクロレンスです。」
ちょん、と軽めの挨拶をする。
子供同士だし、これで十分よね?
チラリとパパを見やると、無言で頷いてくれた。
「わぁっ、きれいっ!
まるでお姫様様みたいだ!
僕のことはリオンと呼んで?様は要らないよっ。」
おっと、儚げ美少年だから違和感ないけど、
すでに女誑しの片鱗が。
もしかして、素でそれなの?
「ぇ、あの…」
まって、色々処理しきれてない。
そもそも攻略対象を呼び捨てなんてムリ。
私の未来がなくなるっ。
「ハハッ、どうやらリオンはソフィア嬢と仲良くしてもらいたいようだ。」
笑い事じゃないわ、大公!
困ってるんだから助けて下さい。
「良かったな、ソフィア。
同い年の友人はまだいないだろう?」
そういう問題じゃないの、
娘の未来がかかっているのよ、パパ。
うぅっ。
「どうしたのソフィア嬢?涙目になって。
ああ、君は恥ずかしがり屋さんなんだね!」
リオンよ、この涙は悔しさやら何やらのそれであって、断じて恥ずかしさなどではない。
どうしよう、リオンの中で奥ゆかしい令嬢イメージが構築されてしまった気がする。
「違うのです、リオン様。
敬称を付けずに、貴族の方をお呼びした事がないので、戸惑ってしまって。
出来れば、リオン様と呼ばせて頂きたいのですが…」
「うーん、今後そういう機会も増えるだろうし、
僕はリオンって呼んで欲しい!
…ダメ、かな?」
イヤァっ!
中が誑しだったとしても、
美少年の上目遣いなんて耐えられないー!
「わ、分かりましたわ。
では、私の事もソフィア嬢ではなく、ソフィアとお呼び下さい。」
「もちろんだよ!
ありがとう、ソフィア。」
私の手をぎゅっと握りしめて上下に振るリオンは、
悔しいけどかわいい。
どうにかして切り抜けないと。
でも、この手を振りほどけない!
だって、美少年が私の手を握っているのよっ。
「いやぁ、仲良くなったようで嬉しいよ、アダム殿。」
「そのようですね、コンラッド卿。
リオン殿はソフィアの良き友人になってくれるでしょう。」
ん?何かニュアンスが大公様とパパとで違うような?
「ソフィア、どうしたの?
そろそろ中に入ろう!紹介したい子が居るんだ!」
――グイッ
「えっ、ああっ。」
まだ心の準備整ってないのだけど――っ
「コンラッド大公、リオン・コンラッド様。
マクロレンス辺境伯、ソフィア・マクロレンス様。
マックレガー将軍のご入場です。
……どうぞ良いパーティーを。」
受付のお兄さんが、名前を呼び上げた。
最後に私とリオンに向かって笑いかけてくれた。
優しいお兄さん…
出来れば、見逃して欲しかったの。




