デビュタント
――ゴクリッ
ついにこの日が来た。
私の目の前には、うちのお屋敷何個分?サイズの城がそびえ立っている。
ひぇー!デカイ!
もう10歳かぁ、まだ10歳な気もするけど。
先月の誕生日パーティーは、
それはもう盛大に祝ってもらった。
私もあと5年で成人、とりあえずこのパーティーは目立たず、失敗もせず、空気のように乗り切りたい。
今日はアレン・グランデュア第1王子とリオン・コンラッドも出るはずだから、要チェックね。
……やっぱり王宮だから、豪華な食事とか出るのかしら?
「こほんっ、お嬢様?」
「はっ!すみません、バートン。
あまりに立派なお城でビックリしてしまいました。」
やってしまったわ。
城の大きさに圧倒され、口が半開きのまま固まってしまうなんてっ…
令嬢にあるまじきアホ面だわ。
誰が見てるか分からないもの、
気を引き締めなきゃ!
「さ、旦那様と奥様は先に受付で、ご歓談されています。参りましょう。」
「ええ。」
何で保護者が先に行ってるのよ、この国おかしいんじゃない?
あ、いた。
「おお、ソフィア。
こちらへおいで、私の天使。」
何かしら、パパの周りにいる大人から、
生温かい視線が…
そしてママはどこ。
「はい、お父様」
「おおっ、こちらがマクロレンス領に舞い降りた天使ですな。」
え゛
「いやはや、噂に違わぬご令嬢ですな。
ほっほっほ。」
パッ、パァパァア〜!
あなたのせいねっ⁉︎
「そうでしょう、そうでしょう!
コンラッド卿、マックレガー将軍は流石、
分かっていらっしゃる。
私の娘、ソフィアです。」
コンラッド卿ですって⁈
何このメンツ、公爵…しかも大公に、将軍に辺境伯。
国の重要ポスト揃い踏みじゃない。
「お初にお目にかかります。
コンラッド公爵閣下、マックレガー将軍。
ソフィア・マクロレンスにございます。」
スッとドレスをつまみ、深々と頭を下げる。
カーテシーって結構疲れる。
1度のお辞儀で、太腿、背筋が攣りそう、慣れない。
「ほお、素晴らしい。
流石、マクロレンスのご令嬢だ。
この歳で立派な淑女だね。」
「ありがとう存じます。」
良かった。
家庭教師にしか、フィードバックもらった事なかったから、不安だったけど、お辞儀は問題ないようね。
大公様が言うんだから間違いないわ!
「うむ、これからが楽しみだな。
恐らく今日の主役は、
アレン王子、リオン殿、そしてソフィア嬢だろう。」
おいおいおい、フラグ建てないでよ、将軍!
「おや、今日はマックレガー将軍のお孫さんもいらっしゃるのでは?」
ナイス!パパっ!
「ん?確かにウチのアンネも出席するが、
ソフィア嬢と並べてしまうと、主役の器ではない。」
そんなっ。
「それはご謙遜を。騎士団の訓練にも参加されていると聞き及んでおりますよ。」
へー、すごい!
きっと名前からして女の子よね。
私と同い年の子が訓練に参加するなんて、
カッコいいなぁ。
将来は女騎士かしら?ステキ!
「全くお転婆で困ったものですぞ。ほっほ。」
将軍ったら、困ると言いつつ、顔は嬉しそう!
アンネちゃんだっけ?
会ってみたいかも。
「おっと、息子が着いたようだ。
私は迎えに行って来ます。
どうぞ皆さんはホールに入られて下さい。」
きた!
恋愛関係にだらしないナンパ男のリオンね!
「いえ、コンラッド卿より、先に入れますまい。
せっかくです、ご一緒しましょう。」
それもそうか、大公は貴族のトップだものね。
タイミングがズレたならまだしも、
この場にいて、先に入るのは褒められない行為だわ。
でも一緒には入りたくない!
攻略対象とはなるべく近付きたくないのよ。
それに大公様と一緒なんて、注目して下さいと言ってるようなものじゃない。
もちろん顔は見たいのよ?なんなら声も聞きたい。
「そうですか?私はかまいませんが、アダム殿がそう仰るなら、待っていてもらおうか。」
ああっ!余計な事を!
「ええ、そうしましょう。
ほら、ご子息もこちらに向かわれている。」
来るな、ナンパ男。
もうちょっと後から来い。
―――タタタッ
「父さんっ…」
――残念、来ちゃった。
次回、攻略対象が初登場します。




