アダルベルト12歳
一応このお話では、
1〜9まで「才」、10以上を「歳」で書きました。
アダルベルト12歳、執事見習い。
父バートンは、辺境伯家の家令を務める。
ソフィアお嬢様を初めて見たのは2才の時、父さんに連れられて大きな部屋に行くと、そこは色々な熱気に溢れた空間だった。
喜び、安堵、様々な感情が飛び交う中心に、彼女は居た。
元気に産声を上げるお嬢様は、キラキラのブロンド髪に、本物のブルーサファイアと見紛うような瞳をパチクリと瞬かせた。
すごい!本物のお姫様だ!
2才と、記憶があやふやな中で
そう思った事は、鮮明に覚えている。
緊張しながらの挨拶は、正直あまり覚えていない。
ただ、お嬢様が笑顔で応えてくれた事は嬉しかった。
3才になった。
だんだんと言葉を覚え始めて、夫人付のマリーさんや、料理長のブルックからは、賢いと褒めてくれる。
お嬢様に会いたいが為に、父の仕事場に付いていっては、休憩中の仕事人達に遊んでもらった。
今思えば、遊びというより、勉強だった。
茶葉の銘柄や、食器の名前、道具の使い方などをクイズ形式で出された。
それは今すごく役立っているが、3才児にする事じゃない。
マリーさん達がそんなに教育熱心だとは思えないし、きっと父が頼んだんだろう。
そんなわけで、知らずに英才教育を受けていた僕は、同年代に比べて遥かに語彙力、偏った知識があり、4才には見えない男の子になった。
まあそのおかげで、お嬢様2才の誕生日に参加させて頂ける事になったのだけど。
プレゼントは何が良いだろうっ?
今日、お嬢様の部屋に行く時に聞こうか?
でも、お嬢様が欲しいものを用意出来ないかもしれない。
だったら自分で考えよう。
1週間ずうーっと悩み続け、
プレゼントは花の指輪にした。
前に絵本を読んだ時、王子様がお姫様に花の指輪を贈る場面に、お嬢様の瞳が1番輝いていた。
さすがに指輪は買えないから、黄色いコスモスで作った。
本当は、辺境伯領のどこかに生息する、青いコスモスが良かったけど、在りかは旦那様や一部の人間しか知らないらしい。
喜んでもらえるといいな。
雑貨屋で買った綺麗な箱に入れて、リボンで結ぶ。
あと10分で開始だ。
姿鏡の前で、シャツの襟や蝶ネクタイの歪みをチェックする。
よし、行こう。
あぁっ……
可愛い、可愛い、可愛い!
淡いピンクのフリフリドレスと、小さなティアラで着飾ったお嬢様は、本当に可愛かった!
あのふわふわのほっぺをつつきたい。
みんな順番にプレゼントを渡していき、ついに僕の番になった。
大人達の豪華なプレゼントに比べて、僕のプレゼントは見劣りしてしまう。
大丈夫かな?
「ソフィア様、お誕生日おめでとうございます!」
お嬢様の為に、1番綺麗なコスモスを選んだんです。
笑顔で両手を差し出し、僕のプレゼントを大事そうに受け取ってくれた。
良かった!
せっかくだから、今開けてみて欲しいな。
なんて考えていたら、
お嬢様は、爆弾を落としたのだ。
「あだりゅべりゅとくん、ちゅきっ!」
ズキュン――
お嬢様が僕を、僕を好きだと言ってくれた!
嬉しい、可愛いっ、嬉しいっ‼︎
僕も大好きです!と伝えたかったが、残念の事に鬼が現れた。
旦那様は、少し…いやかなり溺愛がすぎていると思う。
お嬢様の事になると、心が狭い。
「これは、アルに任せるのは考えなきゃいけないかもしれないね。」
―は?
どういう意味だ。
まさか専属の件か?
何だろう、モヤモヤする。
旦那様に、すごくイライラする。
お嬢様の専属は僕だけのものだ!
次もアルの続きです。
イエローコスモス(キバナコスモス)
→花言葉:野生的な美しさ・幼い恋心
青いコスモスは今のところ自然のものでは存在しないそうです。




