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35話 意外な再会

 洞窟の内部に侵入してからも超音波を発信し、リリティアの照明魔法【トーチ】も展開。視覚でも反響音でも周囲の創りを把握しながら奥へと進む。

 予想に反して魔物は殆ど出てこず、小型の魔物の様な生き物はいるようだが俺達を恐れてかそもそも好戦的な生物でないのか物陰から出てこようとしない。

 地殻変動後に魔物が増えたっていう噂だから、こういう洞窟が魔物発生の原因になっていると思ったんだがな。


「ひっろいですねーアッシュさん、まだ続くんですかー?」


 もう三十分以上は歩いただろうか。特別景色に代り映えはせず、魔物も出てこない為刺激も少ない。

 照明魔法と超音波を出し続けている事による体力と魔力の消耗だけが俺達にのしかかる。


「どれだけ超音波を飛ばしても終点がわからん。まだまだ続きそうだ……ん? いや、これは……」


「どうしたんですかアッシュさん」


 なにかいる。そしてこっちに向かってくるな……この反響の感じ、魔物の類ではなく……


「リリティア、奥から何か来る。……人間かも知れん」


「人? こんな所にですかあ? ……うーん、でもそれらしい足音も聞こえますね……」


 エルフであるリリティアは聴力に優れている。俺の超音波とリリティアの耳の両方で人間だと判断できるならまず間違いなく合っているだろう。

 俺達はそこで立ち止まり、接近してくるソレを待つことにした。


「あら? 貴方達は……」


 奥から現れたのは、リリティアと同じ照明魔法にて周囲を照らしている女だった。

 赤く長い髪に鋭い目付き。コイツはたしか……


「ミスリーさん! お久しぶりです!」


 隣でリリティアが声を上げる。

 そう、ボベリウの町に着いた時にチンピラ数人と喧嘩していたヤケに強い女だ。たしかBランクの冒険者と言っていたな。


「お久しぶり、まさかこんな所で再会する事になるなんてね。……そう言えば貴方達の名前、聞いていなかったわね」


 そう言えばそうだったかも知れん。


「アッシュだ」


「リリティアっていいます!」


 取り合えず手短に名乗っておくが、相手はさほど俺達の名になど興味なさそうに話を続けた。


「貴方達も地殻変動についての依頼で来たの?」


「ああ、そんなところだ」


「ここの奥まで行ったけれど、何もなかったわよ。引き返した方がいいと思うわ」


 そうか。それを信じるならこんな無駄に長いだけの洞窟調べるだけ無駄だ。

 が、エルフの魔力聴覚に俺の色んなスキルがあれば、ミスリーにも見つけられなかったものが見つかるかも知れん。


「情報共有ありがとうよ、だが俺達は俺達でもう少し調べさせてもらう」


「……あら、私の検索能力を疑うのかしら?」


 会って二度目の相手の能力を信頼しろという方がおかしいだろう。


「そんなつもりはない、が、自分達で直接確認しない事には納得しない性分でね」


 やや大げさに肩をすくめて言い返す。

 すると相手はジッとこちらを見つめ返してきた。


「……なんだ?」


「前も少し気になったけど、貴方達おかしなスキル持っているみたいだから、確かに私よりも検索能力も高いカモね。お邪魔じゃなければ、ご一緒させて貰ってもいいかしら?」


 やや高飛車で融通の利かないタイプかと思ったが、こちらを持ち上げて同行を提案するとは中々臨機応変な事もするようだ。

 別に構わんが、それならこちらも一つ聞いておかないとな。


「その、俺達がおかしなスキルを持っている、というのはなんでわかったんだ?」


 ミスリーのスキルの感覚がわかる能力、わかった上での落ち着いた態度、そしてリリティアが初めてミスリーを見た時の『恐い』と感じた事。

 これらの事を考えると、可能性に上がるのはコイツもまた大罪スキルを……


「それが私のスキル【心身鑑定】よ。目で見た相手の事、スキルも含めて大まかに分かるの。貴方達、見たこともない、それも強いスキル持っているようね? 免許持っているスキル鑑定士のような詳しい所まではわからないのだけれど」


 全然ちがったあぁー。

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