34話 洞窟発見
俺とリリティアは、俺の肩から生み出された小人、通称『ミッシュ』の下へ足を運ばせた。
近くまで着くとミッシュが何度も飛び跳ねてこちらに合図を送っている。
仕草は可愛らしくも見えるが顔は童顔にした真顔の俺。正直複雑。
「ミッシュちゃんがぴょんぴょんとしている場所は……なにかおかしいですね、なんでしょうアレ」
「……木の根っこが不自然に持ち上がっている。洞穴のように見えるな……動物の巣か何かにでもなっているのか?」
隣のリリティアと会話をしながらその場までたどり着いた。
洞穴と予想したソレは、概ね間違ってはいなかった、が────
「……中は広そうだな」
俺はその場で大口を開け、超音波を展開した。
ジャイアントバットから取得した、音波の反響を利用し周辺の構造を知る事の出来る能力だ。
「……リリティア、広さが把握しきれない。洞穴というより洞窟。動物や魔物がいるとするなら巣というより生活区になっている可能性もあるな」
「ああ~、それはもう立派なダンジョンですね。ミッシュちゃん、よく見つけました!」
リリティアはその場でミッシュを拾い上げると頭を撫でまわし始めた。
当のミッシュは完全に真顔のまま。ふてぶてしいガキだ。
……いや、よく見たら半眼になってきているな。
「アッシュさん、この子、眠いみたいですよ? ほら、うつらうつらしていますし手もちょっと熱い」
「ほう? 眼はともかく手の熱さは関係あるのか?」
「小さな子供ってそういうものなんですよ。生理の一種じゃないですか? でもどうしましょう、洞窟探索は今度にします?」
普通の子供であれば、抱きかかえたまま洞窟探索などしていては上手くいかないだろうな。しかしミッシュは俺の分身。その活動が鈍くなっているという事は。
「リリティア、ミッシュをこっちにかせ」
「え? あ、はい」
言われるがままにミッシュを俺の方に渡すリリティア。
俺はソイツの首根っこを掴み上げると、
「あ、アッシュさん、猫じゃないんですから!」
リリティアの言葉は無視しつつそのまま肩に乗せた。
するとミッシュは目を閉じたままズブズブと俺の身体と同化して行っている。
キラーツリーとキラーアップルの関係を考えると、生み出された分身は完全に独立した個体になるのでは、とも思ったが、こうやって再び同化も出来るようだな。
もしこれが不可能ならミッシュを生み出すたびに小さい自分を使い捨てながら行動しなければならないので、消耗はともかく視覚的にマズイ。同化も同化で少しキモイがまあマシだろう。
「あぁ~ミッシュちゃん、おやすみなさい」
名残おしそうな顔をしながら沈んでいくミッシュを見送るリリティア。
謎は多いし持続力も低い能力だが、偵察程度には良さそうだな。
……ミッシュに超音波にワイバーンの索敵能力。なんか少しスキルに偏りが出来てきた気がする。
「さて、せっかく見つけた洞窟だ。またなんか美味い魔物もあるかも知れんし、入ってみるか」
「アッシュさん、今回の依頼は『周辺の森での地殻変動調査。及び地殻変動以降、頻繁に出没する魔物の討伐』ですよ。食べる目的じゃなくて依頼にメチャクチャ関係がありそうな所ですけど」
どうせ入るんなら一緒だろ。




