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3話 【暴食】と【色欲】

 リリティアと名乗った女性、いや、少女の挨拶を聞き、俺も返事を返すことにした。


「こっちこそありがとう、焼いたコイツは凄い美味い。俺の名はアッシュ・テンバー……ええっと、リリティア、君はエルフのようだがムッシャムッシャ、どうしてこんな所に? この辺の森は魔物の巣窟のようなものでムッシャムッシャ、エルフが住む森とはまた違ったと思ったが、美味い」


「その前に、食べるか話すかどちらかにして貰えます?」


「…………(ムッシャムッシャムッシャムッシャ)」


「食べる方を選んだんですか!?」


 仕方ないだろ! 美味いんだから! モグモグゴックン!


「で、どうして君はここにいるんだ?」


「あ、はい。ええっとですね……」


 リリティアはそこで言葉を詰まらせた。

 そして濁すように話を切り替えてくる。


「わ、私はちょっと道に迷っちゃいましてね! それよりアッシュさんこそどうしてここに?」


 何か隠したい事があるのなら無理に追及する事もないだろう。

 しかし、俺がどうしてここにいるか、か……俺自身よくわかってないのだが、隠す意味もないだろう。正直に話すとするか。


「仲間と……いや、仲間と思っていた者達とパーティを組んで冒険をしていたんだがな、その内の数人から乱戦の際に暗殺されかけた。結果として生き延びてここまで流れ着いたみたいだ」


「ええええええええ!? なんですかその超絶修羅場人生カミングアウトは!」


 仕方ないじゃん。その通りなんだから。


「でもまあ運が良かったみたいだ、無事生き延びられたし美味いモノも食えた。フォレストウルフが美味とは今さっき初めて知ったよ」


「ああー、魔物を突然食べ始める人なんて初めて見ましたよ! それも生で! うぷぷ……! アッシュさん原人か何かですかあ?」


 初対面の相手に随分ツッコんでくるヤツだな。てかその局面に対して魔法で火を通そうとするお前も中々だ。

 まあいいや。腹も膨れて傷も癒えた。色々あって今更になってしまったが、リリティアの格好が気になってきた。


「で、リリティア、君はエルフだろう? エルフと言えば結構清楚な格好をしているイメージがあったが、君の、その、素敵な服装はなんだ?」


 リリティアの格好は太ももをこれでもかと露出させたレオタード衣装。サイズもピッタリなのか女性らしい身体のサイズも良くわかる。容姿の良さも相成って男の気を惹く姿だろう。


「え? これですか? えへへ! 可愛いでしょう? アッシュさん意識しちゃいました?」


 自分に自信を持つのは良い事だ。

 さほど無い胸を張るリリティアをマジマジと見つめる。

 と、今度はリリティアの反応に変化が起こり始めた。


「あ、あの……あんまりそう、ずっと見つめないで貰えますか? アッシュさん……」


 なんだそりゃ。それならそんな恰好しなきゃいいのに。


「ああ、うん。可愛いのはわかった。それが理由ならそれでもいいや」


「えぇー! こんなに可愛い女の子がいるのに感想それだけですかー!?」


 なんだコイツ。超面倒くせえ。


「違うんですよー聞いてくださいよー、これ、私のスキルに関係するんです」


「スキル、に……?」


「ええ、私のスキル、役に立たない所謂『外れスキル』なんです。実はそれでエルフの森でも役立たず扱いされてて、それで村から追い出されちゃったんです」


 最初の迷子と言うのは嘘で、実際は追放みたいな感じだったという事か。


「どういう事だ?」


「私のスキル、【色欲】って言うんです。どんなスキルかって、私の心の中にナニか別の存在見たいなのがいて、そのナニかが気にいる服着たりしないと息が苦しくなっていくんです」


 お、おう。いや、俺の【暴食】も腹が減るだけだから人の事は言えんが、それはまさに使用者を苦しめるだけのスキルだな。


「それでナニかの声に従うように、昔からこんな恰好したりちょっとセクシーなダンス覚えたりしてたんですけど……私ある日気づいちゃったんです」


「……何に?」


「……男の人にそういう目で見られるの、凄く嫌です」


 そいつぁ最悪の組み合わせだな。


「この服とかは可愛いからいいんですけど、周りの目が本当に嫌になって、村を飛び出しちゃいました」


 追い出されたっていうのももう嘘じゃねーか! 実際は家出かよ。


「でも! 助けて貰ったからでしょうか? アッシュさんになら不思議とそういう気持ちにあんまりなりません! 何か私と近いモノ感じますし!」


 この超絶チョロインが! って、ん? 近いモノ……?


「なんだ? その近いモノって」


「え? そういやなんでしょうね? なんか、こう……感覚ですけど」 


 心の中のナニか。役に立たない外れスキル。確かに何か近いものがある、な。

 ……しかし、だからなんだと言ったところか。めんどくさそうな奴だし。


「うん、そうか。しかしエルフならではの魔法は中々だった。それなら立ち回りを間違えなければ何とかなるだろう」


「ええ凄いでしょ! アッシュさんあんまり使えなさそうですもんね! という訳でしばらく一緒に行きませんか? 今までの場所に戻れなくなった者同士ですし!」


 あーなんかこう言ってくる気がした。このチョロインが。家出のお前と一緒にするなよ。

 そして何より俺は今、あまり女に関わりたくないだよ。あんな事があったばかりなんだ。

 ……邪険に扱うのも気が引ける。やれやれ、理詰めで納得させてやるとするか。


「俺はこれでも名をはせた冒険者パーティの一員だった。一人でも十分生きていける。お前を連れていく事になんのメリットがある?」


「焼いたフォレストウルフ美味しかったでしょ!? 私ならいつでもお肉焼けますし、他の魔法を使えばもっと色々な調理もできますよ!」


 こうして俺達は共に旅をする事になった。

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