あなたが手にかけた人は。
少しだけ、残酷描写有。ご注意ください。
最悪だった。
いろんなことが、最悪な方向に動き始めている気がしてならない。
ホロが、人を殺す歌を歌った。
私たちを守るために。アルフォで。
しかも、そのあともトレイさんと一緒に純アーニストを殺すために歌を歌っていたらしい。
内緒にされていた。
裏切られた気分、なんて、これから他人を裏切る私が言えた口ではないのかもしれないけれど。
同じくらい、最悪なことがもう一つ。
ティアナが死んだ。
殺された。
ホロに。
ティアナはあのあとも、ちょくちょく、様子を見るためと言って、アーニストに紛れて私たちと対峙した。
そしてあの日。
トレイさんとホロの秘密を知ったあの日。
大好きなホロの手で、大好きなティアナが殺された。
首から上が、綺麗に斬れて地面に転がった。助かるはずもなければ、死んでいないはずもない。
あのあと機会を見てリターナにティアナが持っていた分の欠片は回収した。
ホロの人殺しを止めるべきなのかどうか。
わからなかった。
彼女の殺しは、私たちに不利益なわけではない。
そして、もうやってしまったのなら、いまさら何をしても意味がない。
どうすればいいんだろう。
エラを守る術は何とか見つけた。
だけど、どうすれば、ホロを女神にできるんだろう。
あれこれ悩んでいる間に、ルアディス・ウィションの欠片はすべて集まって。
アンディス・ウィションの欠片も、アンディスで拾ったという若者が持ってきてくれたもので、すべて集まった。
*
「私が、リターナさんとヌドクさんと一緒にアンディスへ行く」
ホロに女神になってもらう方法。
それを思いついたのは、ホロが、償いのためにアンディスに行くと言ったからだ。
リターナとヌドクにも伝えた。
二人には、アンディスから残りの人たちをルアディスに連れてくるいい機会だ、と。
私たちがアンディスに行っている間、ホロには歌ってもらう。
そうすることで、民からの信頼を得る。
そんなにうまく成功するかわからない。
とりあえず、暴力からはホロの騎士が守ってくれるだろう。
ただ、途中で寿命が尽きてしまうかもしれない。それはしょうがない。
そうならないように、早めに帰ってくるしかない。
ただ、ホロの歌声には、人を変える力があると、私は信じてる。
ホロをなんとか説得して、私は三人でアンディスへ行った。
アンディスに残っていた人たちを、頑張ってルアディスに送り込んだ。
そして演説をして、エラを、トレイさんを、リターナを、ヌドクを、大切で大好きで守りたかった人たちを刺して、私は――。




