歌を歌う日々。
歌を歌う。
高い高い塔の上で。
ルアディス・ウィションが埋まっていたあの塔とは別の塔。
本当は神官たちが見張りとかに使う物、らしいのだけど、私が知っているのは、ここでお昼寝をする神官と、夜、星を見つめる神官くらいだ。
二人とも優しくて融通のきく人だから、小さい頃からよくここに登らせてもらって、村を、そして国を見下ろしていた。
今はその上で、歌を歌っている。
ここなら、国中を見渡せるから。
囚われているエラにも、今不安な思いを抱えているルアディスの民たちにも、トレイさんやタウファさんたち、アイラさんやクレハさん、女神様やそのお姉さま、そしてシスやリターナさん、ヌドクさんにまで届くような気がしたから。
最初は罵る声が大きくて、正直、私の声はきっと、隣にいるヴィルさんと神官さんにしか聞こえなかったと思う。
だけどその声も少しずつ減っていって。
ちょっとだけ、それが嬉しくて。
でも、やっぱり認めてくれない人もいて。生卵や心ない言葉を投げられるのならまだ良かった。石や刃物を投げられたこともあった。
突然大人数に襲いかかられたことも、殺されかけたこともあった。
ショックだった。これはきっと、自分がやってきたことに対しての、返事だから。自分がやったことを、その重さを、突きつけられた気がした。
だけどそのたびにヴィルさんが助けてくれた。
歌い終われば、いつも、嬉しそうに笑うヴィルさんが優しく頭を撫でてくれた。つられて私も笑顔になれる。
毎日、日が昇ってから沈むまで延々と歌い続けること。それをなんとかこなせたのは、きっとヴィルさんのおかげだった。
トレイさんが戻ってきてもその日々は変わらず続いて。
シス達の帰りを今か今かと待つ毎日は、不安と温かい感情とがごちゃ混ぜになっていた。
そして、その日は突然やってきた。




