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その歌姫の歌う歌は。  作者: 奔埜しおり
死を歌う歌姫。
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再会。

 ウォルテへの道のりは、驚くほど順調だった。


 結果として、ウォルテからファルンに行くよりも、早くウォルテに到着した。途中でアルフォに寄ったり、色んな村で歌を歌ったりしたことを除いても、やっぱり早い。

 一番の理由はきっと、アーニストに一度も襲われなかったから。

 あの静かで冷たい音も、あれ以来一度も聞こえていない。

 どうしてなのか。

 理由がわからないから、素直に、よかった、と安心できない。

 嵐の前の静けさ。その言葉が一番あっている気がする。


 歩いて歩いて……そして、見慣れた、懐かしいあの塔が視界に入ってきて、私たちはホッと息を吐いた。



 神殿の中に辿り着いたとき。

 そこに今までなかった物があることに気づき、そしてその中にいる人物が誰か理解した瞬間、思わず立ち止まる。

「……」

 女神様のお姉様が、そっとその物、ベッドの中に語り掛ける。もそり。掛布団が動くと、横にいた女神様の騎士が動く。

 騎士に支えられるようにして起き上がったのは、私たちが尊敬してやまない、女神様だった。

「久しぶり、ね。こんな状態でごめんなさい」

 女神様はあいかわらず綺麗で。でも少しやつれているように見える。

「年を取るって嫌ね。久しぶりに全力で歌ったら、すぐに力尽きちゃったのよ」

 フフッと笑う。

 だけど、サアッと顔から血の気が引いていく。

 忘れていた。というか、なんというか。

 女神様だって、歌えば命を削られていく。

 しかも、私たちよりも歌っている年月は長い。

 もう、寿命がいつ来てもおかしくないんだ。

「ごめ――」

「二度と目が開かなくなるよりも前に、もう一度、あなたたちに会えてよかったわ。……欠片が集まったのですね?」

 口調が変わる。

 代表してエラが一歩前に出て、口を開く。

「はい。全て、集め終えました」

「……では、さっそく――」

「すみません。その前に、少し、いいですか?」

 今まで女神様の言葉を遮るようなことはしなかったエラが、女神様の言葉を遮る。

 女神様が、少し驚いたように目を見開く。

「どうしましたか?」

「お訊きたいことがあるんです」

 エラは、謎の音について、ざっくりと説明をする。

 それを静かに聞いていた女神様は、一つ頷くと口を開く。

「それは、アンディス・ウィションの欠片の音、ですね」

「欠片ってことは、その……アンディス・ウィションも割れているっていうこと、ですよね?」

「ええ。……そのことについて、お話します。ただ、このお話は、限られた者しか知りません。誰かに言おうものなら……全勢力をもって、話した者と聞いた者を処分いたします」

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