再会。
ウォルテへの道のりは、驚くほど順調だった。
結果として、ウォルテからファルンに行くよりも、早くウォルテに到着した。途中でアルフォに寄ったり、色んな村で歌を歌ったりしたことを除いても、やっぱり早い。
一番の理由はきっと、アーニストに一度も襲われなかったから。
あの静かで冷たい音も、あれ以来一度も聞こえていない。
どうしてなのか。
理由がわからないから、素直に、よかった、と安心できない。
嵐の前の静けさ。その言葉が一番あっている気がする。
歩いて歩いて……そして、見慣れた、懐かしいあの塔が視界に入ってきて、私たちはホッと息を吐いた。
*
神殿の中に辿り着いたとき。
そこに今までなかった物があることに気づき、そしてその中にいる人物が誰か理解した瞬間、思わず立ち止まる。
「……」
女神様のお姉様が、そっとその物、ベッドの中に語り掛ける。もそり。掛布団が動くと、横にいた女神様の騎士が動く。
騎士に支えられるようにして起き上がったのは、私たちが尊敬してやまない、女神様だった。
「久しぶり、ね。こんな状態でごめんなさい」
女神様はあいかわらず綺麗で。でも少しやつれているように見える。
「年を取るって嫌ね。久しぶりに全力で歌ったら、すぐに力尽きちゃったのよ」
フフッと笑う。
だけど、サアッと顔から血の気が引いていく。
忘れていた。というか、なんというか。
女神様だって、歌えば命を削られていく。
しかも、私たちよりも歌っている年月は長い。
もう、寿命がいつ来てもおかしくないんだ。
「ごめ――」
「二度と目が開かなくなるよりも前に、もう一度、あなたたちに会えてよかったわ。……欠片が集まったのですね?」
口調が変わる。
代表してエラが一歩前に出て、口を開く。
「はい。全て、集め終えました」
「……では、さっそく――」
「すみません。その前に、少し、いいですか?」
今まで女神様の言葉を遮るようなことはしなかったエラが、女神様の言葉を遮る。
女神様が、少し驚いたように目を見開く。
「どうしましたか?」
「お訊きたいことがあるんです」
エラは、謎の音について、ざっくりと説明をする。
それを静かに聞いていた女神様は、一つ頷くと口を開く。
「それは、アンディス・ウィションの欠片の音、ですね」
「欠片ってことは、その……アンディス・ウィションも割れているっていうこと、ですよね?」
「ええ。……そのことについて、お話します。ただ、このお話は、限られた者しか知りません。誰かに言おうものなら……全勢力をもって、話した者と聞いた者を処分いたします」




