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12時間がデフォ

作者: れもんじゅーす

今回はいつもと違った感じになっています。

読んでくださりありがとうございます。

感想、評価してくださると嬉しいです!

 しもやけになった自分の手を見てため息をつく。給料日まであと10日。気づけばもうこの会社に就いて2年になる。春夫は携帯の着信音に気付いてポケットに手を入れた。


「もしもーし、春くーん。元気してた?」


 耳元から聞こえてきたのは高校の時の同級生だった。

 名前は春日井玲奈。クラスの中ではムードメーカー的な存在で、高三の時はたしか体育祭の応援団長を務めていた。


「来週の日曜に焼肉屋さんで同窓会やろってことになったんだけどさー春くん行く?」


「ごめん、その日は無理かもしれない。ちょっと予定があって…いきたいんだけど」


 電話越しに少し残念がっているのがわかる。行きたいのに行けない。


 予定があるなんて嘘だ。本当は仕事しかない。


 あの会社に勤めてというもの休みをもらった日があっただろうか。休日でも仕事は当然のようについてくる。

 普通の会社員だったら休日ラッキーと思うかもしれないが、俺にとっての休日は仕事の量が増えるだけの日なのだ。毎週、毎週、休日が来るたびに、気分が下がる。どうしてこの会社に入ったのか、どうしてこの会社を選んでしまったんだろうか。普通の生活を送りたい。もうため息をつくしかない。


 自分が保てなくなってしまうのではないか。そう思うような日々を送る生活がはたして充実しているだろうか、

 答えは、NO,だ。もうこんな会社辞めたい、そう思うができない。やろうとしてもそんなことができる雰囲気ではないのだ。もうこのまま続けるしかないのか。ため息をつく。今日で何回目だろうか?

 数えることすら億劫になってしまう。







 まだ会社に内定をもらった頃は、いきいきとしていた。

 新しい生活が始まり大人への第一歩を踏み出したんだ。

 そう思っていた。母に内定を伝えたときは、すごく喜んでいた。

 やっと立派な会社員になるのか。そう泣いていた。それほど嬉しかったのだろう。

 自分自身も頑張ろう、会社の役に立って給料稼ぐぞ。そう意気込んでいた。



 面接の時も清潔な部屋で面接官もめんどくさい、と思っている人はあまりいなかったと思う。だから不安を感じなかった。社員も生き生きとしているようだった。


 こんないい会社に入れたんだ。よかった。

 自分自身面接に行ったのは数えきれないほどだった。


 だから安心していたのだろう。精神安定剤みたいな役割をしていたのではないか。

 やっと採用されて浮かれていたのかもしれない。



 しかし入るとどうか。


 誰も笑顔ではない。誰も話さない。ただ淡々と仕事を遂行している人しかいなかった。雰囲気は最悪だったとしかいえない風景だった。


 まるで面接の時とは違う雰囲気だった。あの輝きはどうしてしまったのだろう。

 この時俺は感じた。俺もあいつらと同じになってしまうのか。そんなのは嫌だと思いながらも母の思いを無駄にしたくない。そう思うとやめられなくなった。思いをふみにじりたくなかった。母の泣く姿をみたくない。

 そこから俺の地獄生活ははじまった…





 出勤初日。夢であってくれと祈ったもののその願いは簡単に砕けた。まさに粉々に…

 まったくといっていいほど前回と変わらなかった。朝10時に出勤し夜の10時までで、休憩もなかった。しかし春夫は仕事だしこんなものか、と少し戸惑いながらも仕事をこなしていった。



 春夫が就職したのはIT関係の会社で、ネットワークセキュリティのシステム設計や運用が主な仕事内容となっている。配属されたのは業務部で、システム設計以外にも資料作りなども請け負っている。この部署は6人いて、この部署の部長が、



 横田 光雄


 少し白髪が生えた人で、穏やかな性格。年季の入った厚手のコートがお気に入りのようで、冬はあのコート以外を彼が来ているのを見たことがない。




 副部長


 舞川 夏輝


 初めは仏頂面で近寄りがたい雰囲気を醸し出していたが、話してみると面白い人で、家での趣味はネットサーフィンをしてネタ画像や動画を集めることらしく、忙しい時間の合間に時々その彼のコレクションを見せてもらっている。




 (むら)() 美空(みく)

 名前からすると女の子っぽいが男。仕事の処理速度はこの部署で一番。あまり口を日開くことがないので知らないことが多いが仕事のことでわからないことがあったらこの人に聞くと九割方答えてくれるので頼りになる存在。




 春夫と同じ新人


 若宮 俊


 入社したころ毎日12時間の労働に疲労困憊していた頃、彼にはよく励まされた。人懐っこい性格で、職場の雰囲気も彼がいるおかげで明るくなっている気がする。


 とまあポジティブに紹介すると普通の会社のように思えるが、夜10時までの労働と、ほぼ毎日深夜まである残業で、彼らの表情はいつも暗かった。ただ同期がいたことが救いだった。新入社員が自分一人だったらどうなっていたんだろうか。想像しただけでも寒気がくる。





 入社してから2年が経った今も、相変わらずブラックはブラックのままだった。毎週月曜には社長の講話があり、「根性があれば何でもできる!」とか、「みんなで助け合って…」「高い志を持って…」などと延々と精神論を聞かされた。



 そんな散々な春夫だったが、気になることが最近あった。仕事の疲れからか、春夫はネットに逃げるようになり、自宅に帰ったら、寝る前にパソコンを起動していた。

 そんな時、たまたま見つけたサイトなのだが、「あなたのお悩み、何でも解決します」と書かれた怪しげなサイトを春夫は見つけた。なんでも、あなたが困っていることを、このサイト主が、占いで解決してくれるという。

 最初は春夫は全く信じていなかったが、寝ぼけていたのかそのサイトを利用し始めていく。しかしそのサイトはには驚くべき真相が隠されていた…




読んでくださりありがとうございます。

他の作品もあるので読んでみてください。

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