エンチャンター
目を開けるとそこは見晴らしのよい草原。おかげで街がよく見えた。
どうやら想像とは違い、この街はさほど大きくもなく、門番もいないらしい。街に入ると大きい建物が見えた。俺の予想ではここが冒険者ギルド的な建物なはず!
実はゲームは基本育成系しか基本プレイしないのだが、小学生の時はRPGもしていたので、それなりにわかる。
扉を開けると広い酒場があった。まだ16歳だから酒の臭いはちょっと苦手なんだけどなぁ・・・その奥に冒険者受付と書いてあるので、やはりここが冒険者ギルドみたいだ。とりあえず受付に並ぶ。
「本日のご用件は何でしょうか?」
女性の係員さんが聞いてきた。
「冒険者になりたくて来たのですがどうすればいいですか?」
「それならこの書類に名前と歳を書いてもらえますか?」
書類を受け取り必要事項を書いていく。
あれ?文字とか大丈夫なのかな?多分神パワー的なので翻訳もついてるはず!さっき「冒険者受付」と読めたのも、神パワーだろう。多分。
「ユウタ様ですね?確認しました。それでは、これから基本魔法のメニューについて説明します。メニューは唱えると自分の視界の左半分にステータスやパーティーなどの項目を出して編集することができる冒険者の基本となる魔法です」
なるほど。ゲームのメニュー機能は魔法として使えるのか。便利だなぁ。
「それでは試しにこのカードを持ってメニューと言って見てください」
「メニュー!」
ちょっと張りきって言ってみたら視界の左半分にメニューが開かれる。
「無事にできましたね!この魔法ができないと冒険者にはなれないのでよかったですね!」
何気にこの「メニュー」は試験だったらしい。
「お貸ししたカードは借りの物なので正規の物を発行しますので、この板に利き手を置いてください」
板に手を置くと魔法陣が出てきて、すぐに消えてしまった。
「カードの発行は完了しました!メニューからステータスを開いて見せてもらえますか?」
言われた通り、ステータスを見せてみると・・・
「!!?このステータスは最初から上級職につけますよ!天才並ですよ!喜んでください!」
おお、よくわからないけどマンガにありがちな「主人公は天才」的な展開になってきた。
「失礼しました!こんなに高いステータスは初めて見たので!それでは職の説明をしますね。普通は冒険者から初級職、中級職、上級職と転職を繰り返して強くなるのですが、ユウタ様の場合は最初から上級職でスタートできます!」
おお!すごく得した感がする!さすが俺!って言いたくなるぐらい今テンション高い。
「あ、・・・でも魔力が平均より少し低くて、運がかなり悪いっぽいですね・・・でも他はかなり高いし、攻撃力なんて1000もありますよ!」
運は事故にあってるからしょうがないとしても、魔力は困る。魔法使い系の職になりたいからだ。
「魔力が低いと魔法使い系の職にはなれないんですか?」
「なれないことはないですが・・・ユウタ様には高い攻撃力があるので、戦士系の職をオススメします」
うーん・・・戦士より魔法使いたいんだけどなぁ・・・
「魔法剣士とかないんですか?」
「魔法剣士ですか・・・それならエンチャンターはどうでしょうか?わずかですが、剣に魔力を付与したり、攻撃中に魔法を使えたりしますよ?もちろん魔法もウォーロックには及びませんが、使えます」
「なるほど・・・ならそれにします」
「はい!ステータスに登録しますね!」
こうして俺はエンチャンターとやらになった。
魔方陣→魔法陳に修正