後輩な彼女
はじめまして。もしくはお久しぶりです。
TS系ヤンキーの時代が来ると聞いて書きました←
だいたいダイジェスト的な何かですが気が向いたら糖度高めで書けたらいいな…と思っています。
「せんぱい!」
いつもの昼休み、3-Bの教室は授業終了5分後丁度に扉が開かれる。
それが2週間ほど前から繰り替えされており、3-Bの中では“またか”と言いたげな空気が流れていた。
『犬が来た』
黒から少し色素の抜けたような灰色の髪に、日本人特有の黒い目。顔だちは何処か幼いが、それでも凹凸のある体系がそれをカバーしていた。
縁なしのデザイン特化のメガネをかけており、これで髪をまとめれば堅物美人といった言葉が似合うのだろう。曰く『ペアルック』らしい。
そういった些か犬と形容するには整った容姿をした少女なのだが、それでも何故か犬の耳としっぽが幻覚で見えてしまうのである。
風貌ではどちらかと言えば猫の耳などの方が圧倒的多数で萌えるだろう。
「綾辻、また来たのか」
彼女のお目当ての人物、春川はやや呆れ気味に少女の立つ入口の方を見る。
一言で彼を表すのなら誕生する歳を間違えてしまったイケメン(死語)
普段から特に顔の表情が動くことがなく、無表情であり、やや角ばった武道家に近い様な体系の少年である。
「め、迷惑だった…か?」
「いや、そのなんだ、迷惑ではないがここまで来るのは大変だろう」
やや涙目になる少女、綾辻は自分より身長の大きい彼の顔を見ようとすると必然的に上目使いになると言う、あざと可愛い技術を素でこなす。
それに対して、通常フェイスから眉を少し歪ませ言い訳をするその様は浮気のばれた夫のごとくである。
「じゃ、じゃあ一緒にご飯食べよう!」
「嗚呼」
入学したての少女が迷うことなくこの教室にやってきて一人の男子生徒に向かい、その男子生徒はよくわからない、と言った感じの少年であり当初こそ変な噂が流れたものの、この青春の一ページの様なやり取りを見ていくうちにクラス内が“もうお腹いっぱいです派”と“リア充爆発しろ派”の二派閥に分かれてるとかいないとか。
やはり彼女は犬のようであった。
――― ―――
彼女がまだ不良の時、一番最初に彼と出会ったのは二年ほど前の夏だった。
その時は、素行の悪い不良を拳一つで黙らせたのが始まりで、その時は特に不良グループに入っている訳でもなかった不良はまだ、ピアスを開けている程度であった。
原因は前を見ていなかった不良がその当時すでにデカかった彼にぶつかり、「デカいからって調子に乗ってんじゃねえぞ!」と突っかかる不良、当時158㎝の時の事である。
それに対して彼は「…デカくても大していいことはない」と身長の小さい人間に対する最上級の侮辱を吐いたのである。また、同等の威力を持つ“十分身長があるだろ”や“小さくても問題ないって”なども禁句である。
そこからは不良はマジ切れを起こし、腹にパンチをあてるがRPG表記だと『12ダメージ 効果はあまりないようだ』と言った具合になる。
それに対して彼は綺麗な拳骨を少年の頭に落とし、蹲る不良に「そんな変な体勢から撃っても威力は少ない。手首を痛めるぞ」と謎の指摘。
そこから彼は一度も振り返らずに去っていった。
彼の妹に頼まれたアイスを解ける前に家に持ち帰る途中だったので「あの少年、磨けばいい所まで行くかもしれない」と変な後悔をしたのはまた別の話である。
それからしばらくが過ぎ、GWが近くなった頃、隣県の祖父母の田んぼの手伝いに駆り出され、あぜのための周囲の草刈りをするために、田んぼのすぐ近くにある用器具小屋に草刈り機を取りに行く際に、戸が開かなかったので戸を蹴破ると
今からその行為を始める10秒前、と言った感じの男女がいた。
少女の方は薄暗い小屋の中でもわかるほど顔を青く張らせており、顔は涙や鼻水でぐちゃぐちゃであった。
それに対しての男はいかにも社会に抗ってます自分!みたいな時代遅れのリーゼントヘアー。外見の歳は20代後半。あと思い切り、白目向いて気絶をしていた。
あー、これは厄介な場面に出くわした。
と思いつつも、勝手にこんな町からはずれた田んぼのある区域でやるプレイの一環にしては些か人として一歩踏み出していると思ったので、良かったのであろう。
「プレイの最中悪かったな」と自分はこの件にあまり口を挟みませんよと言う指定を持ち口を開こうとすると、少女に抱きつかれた。
…自身のジャージの上からでもわかる柔らかさに動揺するが、
「こわ、こわがっだ」と泣きながら抱きつく少女の前でそれは失礼だと思い、とりあえず落ちつかせるために髪を撫た。
少し落ち着いてからジャージの上着を彼女に貸したのだが、サイズの大きいジャージを着た少女を見るてどこか新しいジャンルを開きそうになった彼がいた。
リーゼントを本来、稲刈りをしたのちにそれを約十作ごとにまとめるのに使う藁でリーゼントの両手両足を拘束。
やはり、どちらかと言えば結束バンドを親指に通して縛る方が効果的だろうと思いながら、警察と救急車をふらっと草刈り機を持ってくるのが遅いと思いこちらに来た祖母が呼び、淡々と進んでいき、田んぼの準備は妹と父と祖父母が頑張ってくれた。
やはり、あれは強姦だったらしくギリギリ少女の純潔は守られたらしい。
事件後入院している彼女の見舞いに行く機会があり、その時に彼女から直接聞いた。
病室から出る時に彼女の両親を名乗る二人組に拉致られ、コーヒーを奢られながら礼を言われた。
曰く彼女は、半世紀ほど前から突如現れた性転換してしまう病気にかかり、家族との混乱の末、家を逃げるように出ていき、一度冷静になり落ち着いた夫婦は娘になった息子を探しにあちらこちらと探している時に警察から事件の事を伝えられたらしい。
あのリーゼントは少年が少し前までいた、不良グループの一人だったらしい。
家を出て行き場を無くし、不良グループの知り合いを頼ろうとした結果が強姦の未遂である。
何故にうちの道具小屋が犯行現場になったかと言えば人目に発見されにくい森の中を車で彷徨った結果たどり着いたらしい。
それに係った少年にお礼を言うために家までいたそうだが、偶然にもこちらに見舞いに来ていると聞き、大慌てでこちらに来たそうだ。
何度も繰り返される感謝に少年は頬を指先でかきがなら一言。
「しっかりと目を合わせて本音を伝えてください、親に裏切られるのは辛いことですから」
幼い頃に母親に暴力を加えられまくった末に父の離婚と裁判などでそこから逃げることができた少年が、心から思った一言であった。
その言葉に少し“はっ”とした夫婦に深いお辞儀をされながら少年は去っていった。
それから、春を迎え再び少女は少年の元へと向かった。
病院に見舞いに来た彼の服装が学生服であり、その校章から高校を探しだし、彼女には不可能に近い偏差値であったのもの、もう一度会いたいと言う気持ちの前には些細なことらしく、彼女は主席で入学試験に合格した。
男の時よりもやや伸びた身長に謎の空しさを感じつつも、彼に近づいたような気がして少し頬が緩んだ。
入学式、新入生代表の挨拶は多くの少年少女を魅了するも、その表情に浮かぶ笑顔は、ただ一人の少年だけに向いているものだと言うことは彼女にか知らない。
彼女が昼休みに3-Bの教室を開き、憧れの少年に抱きつくまであと少し。
誤字脱字の確認をせずに書いた一時間クオリティーです。
陰キャラな少年TSも萌えるが、TSして明らかに弱くなって幼馴染に守られてなんやかんやでデレる系も捨てがたい(謎の持論)
だいたいダイジェスト的な何かでしたが気が向いたら糖度高めで書けたらいいな…と思っています。
少しでもTS娘が増加することを願っています(震え声)