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月日頑固の幽霊なショートショート  作者: 内気でロバ顔
幽霊編
20/31

20.ガン二度み

聞き上手な僕は冷静沈着だ。


ほほう。弟が幽霊とは。新しい展開だ。


というか、それどころではない。まずい。非常にまずいぞ。


トイレに行きたい。このままでは膀胱炎(ぼうこうえん)を発症してしまいそうだ。僕はわさわさと足を組み直したりして、合図をだしている。


合図。つまり、小便にいかせてくれアピールである。


まさか、(一方的な)会話がこんなに長引くとは思いもしなかった。小心者なので、ズケズケと「ちょっとお手洗いにいくね」とか言えないのである。


••••••(15分後)


もじもじアピールが功を(そう)したようだ。


「さっきから挙動が不信だよ。どうした?トイレにいきたいのか?」



「ぁ…はい、…そうです」


作戦は成功だ。トイレに小股の早足で駆け込んだ。後ろで「トイレにいっトイレ」と聞こえたような気がしたが、たぶん気のせいだ。楓がそんなダジャレを言うはずがない。


••••••


ふう。リラックスリラックス。


小便器と向かい合う。


どうやら、お隣さんも使用中のようだ。


慌てていたためぼやけた視界が、クリアになっていく。緊迫がゆるみ、平常心をとりもどしつつあるようだ。


お隣の便器から液状のなにかがぶつかる音がする。


僕も同じような格好で、ポージングしている。


おや。僕のほうが先に用が済んだようだ。チャックを閉めた。そして、手を洗いに向かった。


すると、お隣で引き続き用を()している方の顔が見えた。


…。


おい。嘘だろ。


僕は目に見えたものを疑った。


「あの時の幽霊が…こここんな」


こんなところでなにしてる。


反応があった。「んー?」と首をかしげてこちらを見た。


「ビックリだ。てめえは、頑固ちゃんじゃねーか」


‼‼‼


身体ごとこっち向くな。首だけでいい。用を足しているときに便器から、的を外すやつがあるか。


「まあくん。それ恥ずかしい行為だと認知したほうがいい」


「まあ。すまんすまん。思わぬ衝撃を受けて的を外してしまった」


まあくん。ハット帽かぶってるし。全身紺色の服装だし。あの時の光景と類似している。十年前のあの幽霊はきみだったのかな。そうなのだとしたら、とんだ勘違いをしてしまったことになる。楓は幽霊ではないんだ。それはとても、嬉しい。


「おやおや。頑固ちゃん、女の子なのに男子トイレ入っちゃ駄目だよー。可愛い顔立ちしてるんだから、自覚ある行動しないと、いつか痛い目にあうよ」


違う…。


僕は…。


「僕は女の子じゃない」

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