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月日頑固の幽霊なショートショート  作者: 内気でロバ顔
幽霊編
15/31

15.月日頑固の主観 どっちが無自覚?

楓が無自覚?


僕はそんなことを済崩(なしくずし)さんに言ったのだろうか。よく覚えていない。


もしかしたら、回想にふけっている時に、思わず口に出てしまったのかもしれない。


僕の失態なら謝らなければなるまい。


「済崩さんの妹のことを無自覚と言ってごめんなさい」


すると、相手は、憤慨したように眉間にシワをよせた。「むー」と、うなったような声を出す。僕はその仕草の意味がよくわからなかった。


…それにしても、あの紺色の「何か」が楓ではないのだとしたら、いったいあの正体はなんなのだろう?


「見覚えはあったんだけどな」


僕が独り言をつぶやいていると、対面している方から、


「思い違いなんじゃないの?それは100%(かえで)ではないよ。これは、私が保証する」


凄いな。100%って、どれだけ自信があるんだ…。まあ、楓が紺色を着ない人間だとしたら、その可能性は高いのかもしれないが…。そこまで、断言できる理由にならないような気がする。


済崩(なしくずし)さんは、他にも知っていることがあるのでは?


「あの、一つ質問いいですか?」


「ん?ああ、いいよ。好きなようにすれば」


好きなように、質問していいそうだ。人に質問するなんて、下僕のように人の意向を受けいれ、されるがままの僕にとって、珍しいことだ。まあ、それぐらい聞きたいことだったのかもしれない。


「楓さんは、本当に済崩さんの妹なのでしょうか?」



いまの()は何だ。


握りしめていた僕の左手の圧縮が、解放された。彼女は自身の左手を頭の上にのせ、「あっちゃー」とつぶやいた。


あっちゃーとはなんだろう?そういえば昔やったポケモンのゲームでアチャモというキャラクターがいたが、まさか言い間違えたのだろうか?まあ、言い間違えることば誰にでも起こり得るミスだ。もしそうなのだとしたら、寛容な精神で受け入れよう。


「まあ、誰にでも、ミスはつきものです。さて、これからポケモンの話しでもしましょうか。僕の質問は忘れて下さい。今、振り返ると、少し失礼な内容だったと思うので」



だからこの間はなんだ。


彼女は口を開いてこういった。


「よくぞ、見破(みやぶ)った」


…いや、僕はなにも、見破ってはいません。


青いつなぎの作業着の女性は、「ついに、ばれたか…」とつぶやいていたが、無視する事にした。


相手の言葉に、思慮をかたむけ続けるほど、僕は他人に興味がある人間ではない。とりあえず、聞き流そう。


たとえ相手が思い込みの激しい人間であろうと、なかろうと、きっと僕に責任はないだろう。


いや、だから、なんの責任だ。

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