アヤメ
(20XX年5月18日)
今日は知り合いに会った。
あまり親しくなかったから、しばらく思い返すのに時間がかかったけど。
「おー、○○じゃーん」
なんて、親しい友達だとでもいうように。
大学も地元も近くないのに、なんで会っちゃったんだろう。そのままずるずるとお茶して。
今までは会わなかったんだけど、こういうときに限って。
そういえばFace Bookをだいぶ長いこと更新してないや。
皆の動向はたまに確認はしているけど、私のことは何も書かない。
病気のことも、ドイツに行くことも。
突然消えた私のことなんて、きっと思い出すこともしなかったくせに。そう卑屈に思ったりもした。
「今なにしてるの?」
「元気にしてた?」
「久々に皆で会おうよー」
そんなことを口々に話してた。
言ってしまった方がいいんだろうけど、言いたくないからへらへらしてかわす。
そんなあたりさわりのない扱いは得意だから、昔から。
別れ際の「またね」ほど嘘くさいものはないね。
帰ってから、その人たちとのエピソードでも思い出そうとした。
特筆することはなかったように思えるんだけど。
文化祭でたまたま一緒に回ることになって、ピザみたいなものを食べながら談笑したり。
体育の途中で怪我をした子と少し会話したりとか。
ほんと、下らないこと。
意味が分からない。
「アヤメ」
花言葉:良き便り
決して良き便りなんて届かないよ。
おいてきぼり、私一人。そんなの皆を見ればすぐわかる。