プロローグその2
はいよーどーも、俺だ。
『ロンリー・ラビット』という名前で最近売り出し中の犯罪者だ。名乗ったことねえが。
ルビふるなら犯罪者だ。
趣味は蝋燭の火をじっと見つめること、特技は火焔放射で好きなことは爆破。嫌いな言葉は鎮火。
これだけで俺のことは八割方わ火ってもらえたと思う。
わ火らん奴はおいおい俺のことを知ってくれ。
さて、俺のお仕事はさっきも言った通り国火転覆を企む犯罪者。
孤独に政府のお偉いさんを焼き殺す火々(ひび)。
一匹狼オレ火ッケー。
……ごほん。
さて、つーわけで、俺は今お仕事しに平民街まできてます。
わーぱちぱちぱち。
……。
……何やってんだよ俺。
はぁ、クソッ……寂しいなぁ悲しいなぁ。
あんまり寂しいから独り言が酷くなる一方だ。
誰に向かって喋ってんだ俺。
前を見る。
帝立魔術学院の制服ローブを着た若い連中が楽しげに談笑しながら歩いてくる。
それを避けつつ右を見る。
落ち着いた老舗な雰囲気の喫茶店、そのオープンテラスで恋人たちが仲むつまじく過ごしている。
それを横目に通り過ごして左を見る。
帝都記念公園の噴水は涼しく、待ち合わせ場所に最適だ。仲間が揃った奴等からそこを去っていく。
どいつもこいつも。
どいつもこいつも誰かが側に居やがる。
ぜってぇ許さねぇ。
この、自分の幸せが当たり前みたいなツラが気に喰わねえ。
その幸せが、いったいどれだけの血の上に出来てるか知ろうともしねえ。
……ま、戦争負けたウチが悪いんだがね。
ともかく。
仕事にかかるかね。
「あぁ、キミキミ」
そこらにいた腕白そうな子供を呼び止める。
「え? ッ!」
ん? 何か目ェ剥いて固まったぞ?
……どうでもいいか。
「ちっと悪いんだが頼まれてくれねぇか? 家に忘れモンしちまってなぁ。コイツを詰め所、ほら、あの有名な勇ましい守備隊長のいる彼処に届けて欲しいんだ」
「な、なんでそんなこと「行ってくれたら銅貨三枚前払い」仕方ないから行ってやるよ!」
おーおー可愛いねぇ。
「んじゃ、よろしくなボウズ」
約束通り銅貨三枚と爆弾小包渡して。
今日のお仕事終わりっと。