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Burn with me!!  作者: キノコ飼育委員
俺の見ている第一章
2/6

プロローグその1

この物語は作者が主に更新している作品の煮詰まった時にかいた物です。必然的に超不定期更新です。


あまり練られてないからご都合も超展開も入れまくり。


しかも作者的に一人称の練習用でもあったり。


そんな当作品ですが、一時の暇潰しになれれば嬉しいです。

「こわいねぇ……」


ぺらり、新聞をめくる。


「“メアリー・ザ・リッパーまたも現れる”……うわぁ、ナイフが44本も死体に刺してあったってよ……こわいねぇ」


ぺらり、新聞をめくる。


「こっちは、何だ?“狂犬被害甚大、新たに商店街が襲撃される”……白昼堂々十数匹の大型犬が通行人を襲い子供含む二十四名が重体……こわいねぇ」


ぺらり、新聞をめくる。


パン、花火が遠くで夜空に咲くのが窓から見える。


「ん? “無差別狙撃犯、総督府を狙撃”……昨日午後二時に帝都総督府が銃撃され警備員7名と政治将校3名が死亡……こわいねぇ」


ぺらり、新聞をめくる。


パン、花火が咲く。


暗いこの部屋は、蝋燭一本と花火の光程度では照らしきれないほど広い。


だが内装は凝ってるし、弱々しく照らされた家具は緻密な細工がしてあるな。


「……“帝都、謎の鳴動”……今日未明、帝都全域において一刻ほど唸るような鳴動が起きた。原因は依然として不明……こわいねぇ」


俺はまたもぺらり、新聞をめくる。


パパン、花火が咲く。


そしてふと、


「……」


最近の凶悪事件や不安になる記事の数を指折り数えてみる。


あらら、10越えちゃったよ……。やれやれ、溜め息が出らぁ。


「なんつー()、最近こわいことばっ()だねぇ」


新聞を畳み、目の前の椅子に座る初老の男に言ってやった。


「…………」


椅子に座る、正確には鎖で縛り付けたソイツは応えない。


彼は政治将校であり、さらには貴族である、ようは高い身分の御方だった。


ただし、その顔は今怒りによって赤く、眼光は殺意にみなぎってっけど。


「ん?……あぁすまねぇ。口を塞いでたな。ベリッと」


俺は、ソイツの口を塞いでいた糊つきの紙を剥がした。


すぐさま初老の男の口から怒声が飛び出す。


「貴様ぁ、ベリルの手の者か!」


「あ? ベリル? ベリルってあのベリル・ベリベリーリル?」


噛みそうな名前を聞き返しつつ、俺は床に置いてあった三本の瓶の内一本を手にとる。


ベリルっつったら、確かこのオッサンと違って随分酷い噂を聞く(しかもほぼ真実)クソ貴族の中の貴族様だ。


「あー、まぁそんな()ンジ?」


適当な相づちを打ちつつ栓を抜き、さっさと瓶の中身を撒く。


びちゃびちゃと液体が石床に落ちて飛び散る。


途端、むわっと薫ってきた臭いに、椅子に縛られたオッサンは青ざめた。


あぁそうか、確かコイツはあの大戦で前線に居たんだっけ?


きっとかつての共和国、その力の源だった『機械』に流れる黒き血の臭いを知ってたんだろ。


となると、自分が今から何をされるかはよくわかってんだろうな……こわいだろうねぇ。


「きっ、貴様……ッ!」


その呻きに手を止めることなく、俺はその液体―――ガソリンを撒き続ける。


床だけでなく壁や家具、果てはそのオッサンにもかけていく。


空になったら瓶を捨て、新たにもう一本。


「や、やめろぷっ! ぺっ、よせ、この!」


ぴちゃぴちゃと頭から浴びせられ、青ざめたオッサンはがなる。必死に身をよじり、拘束をどうにかしようとする。


あぁしかし全身がガソリンにまみれてしまう。


あはれあはれ、あはれなり。


オッサンは屈辱に歯噛みし、しかしキッと俺を睨み付ける。


「おのれぇ……だがな、私が倒れようと、私には頼りになる、正義を宿す部下がいる! 帰ってベリルに伝えるがいい! 帝国の未来は好きにさせんとな!」


「ぴっぴかどん」


パン、花火が咲く。


カチッ、どこか遠くで凄まじい爆発。


何となくムカついたので、懐から取り出した短い棒、その先端の赤い突起を押し込んでいた。


窓の外、遥か向こうに火柱と黒煙が踊る。


「『汚ねぇ花火だ』」


俺はそれを見ながら、今は亡き友の言葉を引用する。


「な、なんだ……?」


「アンタの言う、“正義を宿した部()達”とやらの詰め所が吹き飛んだ音さ」


呆然としたオッサンに答えてやれば、目を見開き蒼白になる。


「ば、ばかな! 貴様いったい何をした!?」


「そこはまぁ、企業秘密だ」


教える訳がないだろうに。


戦場の英雄も今は昔、か。


ま、俺みたいな奴にあっさり捕まって杖盗られる時点でわかりきったことか。


魔法使い、媒体無けりゃ、ただの人、ってね。


「何故だ、何故こんな真似をする?」


「ん、雇われたから?」


「嘘をつけ!」


「アララ、バレてら」


なんでバレテンだ?どうでもいいが。


しかし“何故”、か。


ん~そーだなぁ


「アンタ、この国が好き()い?」


「無論だ!」


「弱き民を助けるべきと()んがえてる?」


「当たり前だ!」


おぉ即答。


いいねえ……。


()()()……」


「何がおかしい!」


「……やっぱアンタ最高だ」


俺は、ヒョイと三本目の瓶を手にした。


ガソリンのたっぷり詰まった黒い瓶。


それを俺は、


「憎悪の焔だ」


自分にぶっかけた。


呟かれた言葉はきっと、ガソリンよりドス黒く染まっていた。


「なっ?!」


ドクドクと瓶から注がれるガソリン、それを浴び続け、すぐに全身油まみれに。


顔もガソリンで真っ黒になった、それでも爛々とした眼だけで貴族を射抜く。




 頭の中で燃え盛る焔におかしくなりそうだ。


「何も()も、憎悪の焔で焼けちまえばいいんだよォ……!」


あぁきっと、俺の瞳は今、(ほむら)の色に染まっている。


「その瞳……その長い耳…! 貴様魔人の生き残りか!?」


チッ……喋り過ぎたな。つい()ッとなっちまった。


まぁいい。お開きだ。


なんか喚いてるが知ったことか。


「そんじゃま、お貴族さまよ」


俺は軽く拳を握ってピンッと小指だけ弾く。


「『Burn with me!!』」


指先に幾何学的な紋章が紅く輝き、小さな火を灯した。


一瞬にして辺り全てにぶちまけられていたガソリンに引火、俺たちは部屋いっぱいの炎に包まれる。


「うわ、うわあああああああ!!!!」


しかして悲鳴をあげるは一人のみ。


そこでばたつくコイツのみ。


火火(カカ)ッ……」


同じく火だるまの俺は、大好きな光景に引き吊るように笑う。


「ああああぁぁぁっっっっっ…………」


火火火(カカカ)ッ……」


やがて縛られていたオッサンが焼け死に、それでも火をつけた俺は笑っていた。


可笑しくて可笑しくて、笑っていた。


畳まれた新聞が炎に煽られ舞う。


火の粉が燃え移った。


メラメラとその姿を無くしていく一面記事には、こう書かれていた。



『貴族街、大火災に見舞われ四割が焼失、死者重傷者多数、放火の可能性大』



それを視界の隅に捉えながら、地獄のような焔の中、俺はいよいよ大笑い。


「クァーー火火火火火火(カカカカカカ)!!!」





さぁ始めよう、復讐劇


友の仇を殺りにいき


いざ始めるぞ、復讐劇


憎悪の焔を撒き散らし


『魔導帝国アバロン』よ


この俺様の、お通りだ


『ロンリー・ラビッド』お通りだ♪


しばらく訳のわからない、しかも説明されない言葉が出てきます。


プロローグが終わったら説明入れる予定です。


プロローグは四〜五話で終わる……はず。


できましたらそれまでに『これどうなってんの?』な疑問は感想にぶちこんでください。




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