第1週第3回
SmileyAzazel&九条 蓮十朗 の二人がお送りする、テーマとジャンルを決めて一週間で完結を目指すリレー小説。
【ジャンル】ファンタジー 【テーマ】妖精
今回は【SmileyAzazel】がお送りします。
「それでは、今回の件に関する調査報告を始めさせて頂きます」
ディルが話を始める。
その姿は先程までとは違い、どこか緊張感が漂っている。
「まず結論から述べさせて頂くと、今回の件は長老の考えておられた通りテプト一派が関わっている可能性が非常に高いと思われます」
「ほう、やはりか…」
長老が何かを考えこむ仕草を見せる。
「奴らはどこを拠点にしておる?」
「はい、どうやら彼らはハーメルンの街の外れにあるソリチュード城を拠点に活動してるようです」
「ふむ…」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!一体何を話してるんだか分からねーよ!」
リドが緊張した空気をやぶる。
「あたしもリドに同意します。少し説明をいただけますか?」
「おお、これはすまんかった!二人を置いて話を進めてしまったな」
「どれ、ディル。二人に説明をしてやってくれ」
長老が申し訳なさそうにディルに促す。
「分かりました」
ディルが佇まいをなおす。
「お二人とも、よく聞いてください」
「お二人は数ヶ月ほど前から人間たちのなかにおかしな様子をした者たちが現れ始めたのは御存知ですか?」
「ああ、あの人形のような人間達だよな?知ってるぜ!」
リドが胸を張る。
「ええ、そうです」
「あの症状を起こしている人間たちは感情というものを抱くことがありません」
「なるほど、だからリドが話しかけても反応がなかったんですね」
「オイラの話を無視するとは全く失礼なやつだ!」
リドがプンプンと怒りをあらわにする。リドは見ていて飽きない。
「心の喪失状態となった人間たちは、その症状を引き起こす数日前にとある妖精一族と接触していたことが判明しています」
「それがさっき話していたテプトという人たちなのでしょうか?」
「うむ、そうじゃ」
ディルが開きかけた口を長老が手で合図をだし遮る。
「テプトについてはワシが話そう」
「テプト一族は非常に優しく、気高い一族たちじゃった」
「人間たちからも尊敬され、また彼らも人間たちを非常に慕っておった」
「しかし、先の人妖大戦が彼らを引き裂いてしまった」
「ワシはあの頃に1度テプトの者たちと話をすることがあったのじゃが、非常に悲しんでおった…」
「人間たちが私たちのことを裏切るはずがない、とのぉ…」
長老がどこか物悲しげな姿に見える。
「ワシには、彼らが人間たちに危害を加えるとは思えんのじゃ」
長老が私とリドの方に向き直る。
「そこで、二人には彼らが拠点とするソリチュード城に調査に向かって貰いたい」
「ええ!?あたしたちがですか!?」
「おお!!オイラたちが!?」
リドと全く同じタイミングで反応してしまった。すこし気恥ずかしくなる。
「うむ、もちろん二人だけとは言わん。このディルにも参加してもらう」
「お二人とも、どうかお力添えをいただけないでしょうか」
ディルが深々と頭を下げる。
「そ、そんなあたし達が力になるだなんて」
「おおお!!!なんだか楽しそうだ!!」
リドが興奮を隠し切れない様子で大声を上げる。
「こら!リド!もしかしたら危ないかもしれないのよ!」
「でもこんなチャンスめったにないぜ!?」
こんな時リドの無鉄砲さに呆れるとともに、少し羨ましくなる。
「もちろん、危険がないと言えば嘘になる」
「しかし、お前たち二人の判断力と勇敢さでならばきっと乗り越えることが出来るとワシは信じておる」
「どうか…、どうかテプトの者たちが無実であることを証明してやってはくれんか…。このとおりじゃ…」
「私からも今一度お願いいたします、どうか二人のお力をお貸しください」
ディルと長老が二人そろって頭を下げる。
「ねぇ!ねぇ!行こうよティッチ!きっと楽しいよ!」
キラキラとした目をこちらに向けてくるリド。
その頭のなかにはきっと様々な妄想とお花畑が広がっているに違いない。
「分かりました、私たちでお力になれるならば光栄です」
「やったーーー!!!」