第1週第1回
妖精と人々は共存関係でできている。
私達妖精は、人間の精気を分けてもらうことで生きていくことができる。
その代わりに妖精は、人間たちに知識を授けることで人々の生活を豊かにしているのだ。
でも、ここ最近元気が無い人たちが多いみたい。
「お~い!ティッチ!どこにいるんだ~?」
あたしを呼ぶ声がする。
あの声はあたしの家の隣に住む、腐れ縁の幼馴染リドの声だ。
「どうしたのよ、朝っぱらから騒々しいわね」
「あ、そこにいたのか!ティッチ!聞いてくれよ、この間会った人間ったらひどいんだぜ!」
またリドの悪い癖が始まったようだ。
「どうしたの、また妖精の丸焼きにでもされかけたの?」
「あれもひどかったけど、今回はもっとひどいんだぜ!オイラがいくら話しかけても無視するんだ!」
「あら、あたしたちが人間に無視されるなんてよくあることじゃない」
「でもいくらなんでも最近の人間たちはおかしすぎるよ!オイラが話しかけてもそこに何もないみたいにボーとして去っていくんだぜ!?まるで人形みたいだよ!」
「あんたがまたしょうもないこと言ったんじゃないの?この間だってあんたが人間にバカみたいなことを教えるから長老さまがカンカンに怒ってたわよ」
リドにはちょくちょく人間に話しかけては、いたずらを仕掛ける悪いくせがある。
この間も、食べ物に泥を混ぜれば体に良いなんて嘘をついて人間が怒鳴りこんできたばかりだ。
「あ、あれは違うんだよ。人間がなにか美味しい食べ物はないか、なんて聞いてくるから…」
「そ、そういえば長老さまがティッチのことを呼んでたぜ!なんだか急ぎの用事みたいだったぞ!」
「なにかしら、きっとあんたにおきゅうをすえてくれって話でしょうね」
「ひぇぇ…、かんべんしてくれよぉ…」
「ふっふっふ、覚悟して待ってなさい」
恐怖に震えるリドを置いて長老さまの元へ向かう。それにしても長老さまが急ぎの用事だなんていったい何事だろう。