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僕らの思い  作者:
1/2

ゼロ

初投稿です。

「ママが泣いてる・・・パパも・・・凛はここだよ!!泣かないで!!」

私はパパとママの隣にいるのに、気づいてくれない。

パパとママは、ベッドに横たわる傷だらけの私を見て、泣いていた。

「凛・・・凛!!!」

ママは何度も何度も、私の名前を呼んだ。

「ママ!私はここにいるよ。」

抱きついた腕が、簡単にママの体をすり抜ける。涙で目の前が揺らぐ。

本当は、もう分かってた。パパとママが気づいてくれない理由。だけど、認めたくなかった。

交通事故で私が死んだなんて・・・。



早歩きで校舎の廊下を進む1人の少女。その顔は怒りに満ち溢れていた。右手に握られている1枚の紙は原型を留めていないぐらいグシャグシャに握りつぶされ、解読ができるかさえも危うい・・・。

だが、そんなことにはまったく気づいていない少女は、3階から4階へと通じる階段を駆け上がり、重そうな鉄の扉の前に立ち、勢いよく扉を開けた。

バターン!!!っという大きな音とともに、心地よい風が少女の長い髪を揺らす。

今日は、晴天だ。しかしそんなことに構っていられない少女は、屋上の一番奥のフェンスにもたれ掛かるようにして、扉が開く音も聞こえないほど熟睡している少年の元に早歩きで駆け寄ると、

「カナタ起きろ!!!!!」

と、耳元で叫んだ。

「うっうわ!!!」

そんな、不幸な少年は少女の声で、情けない声と共に跳ね起き、周りを見渡した。

どうやら、状況がまだ掴めていないらしい。

しかし、少女はそんな少年---カナタの目の前に、先ほどから握っていた・・・握りつぶしていた紙をちらつかせた。

「ねぇ。カナタどういうこと!!?」

「・・・・・なにが・・・?」

カナタは紙から目をそらし、頭をかいた。

「とぼけないで!!!!この間のテストの結果!!!!何?この点数!!?」

少女は、出来の悪い子供を持つ親、あるいは教育熱心な親が定期的に言うであろう台詞を早口でまくしたてた。

「あぁ・・・。だって全教科白紙で提出したしな。」

少女が持っている紙に書かれている内容はこうだ。


ヘブンズ学園 中等部 第1学期 期末テスト (27班)


アンザイ リン  9教科合計 780点

シラサカ アオイ 9教科合計 712点

ユウキ  チサト 9教科合計 663点

アンドウ カナタ 9教科合計   0点


         4人合計 2155点    

 

100班中 50位  保有ポイント0点


 

と書かれていた。ところどころ切れていたり、何をどうしたらそんなにグシャグシャになるのか。というほどグシャグシャなので相当がんばらないと解読は不可能だが・・・。


「全教科白紙ってありえない!!!!カナタのせいで100班中50位だよ!?」

「いいじゃん。キリがいい数字で。それに俺が真面目にやってたって10位以内に入るのは無理だったって。」

「そんなの、分かんないじゃん!!!みんな一生懸命やってるのに!!!」

何でか知らないけど、涙目になる。それをカナタには見せたくなくて思わずうつむいた。      「まぁ。過ぎたことはしょうがないでしょ。次がんばればいいじゃん?」

カナタはそう言うと立ち上がり、うつむいている少女の脇を通って扉の奥に消えていった。

初めは怒っていたはずなのに、今はすごく悲しい。

カナタが分かってくれないからじゃない。ただ、カナタにうまく言い返せなかった自分が悔しい。  保有ポイント0がそれをさらに大きくする。

「・・・・・こんなんで生き返られるのかな・・・??」

少女の心からの言葉は、真上に広がる青く澄んだ空が静かに吸い込んでいった。  






読んでくださってありがとうございます。

まだまだ分からないことだらけなので、指摘していただけるとありがたいです。

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